犬と暮らす
UP DATE
ヒューマングレードとは？ドッグフードの安全性と選び方について解説
ヒューマングレードのドッグフード、イメージだけで選んでいませんか？ フード選びは情報収集が大切です。今回は、話題のフードの正しい理解と安全性、選び方について解説します。
岡田 ゆう紀 先生
Yuki Okada, DVM, PhD, DACVIM, Board Certified Veterinary Nutritionist®
アメリカ獣医内科学専門医（栄養科）
Seven Hills Veterinary Hospital（SF, California）経営パートナー
Veterinary Nutrition Specialty Service（San Rafael, California）代表
●経歴：
カリフォルニア大学バークレー校、ミシガン州立大学獣医学校卒。’05年より加州で一般臨床経験後、’14年より日本獣医生命大学 獣医教育推進室の助教に。’17年同大学にて博士号取得。
現在、サンフランシスコの一次診療病院の経営パートナーの傍ら、アメリカ獣医内科専門医（栄養科）として臨床栄養診療・コンサルティングサービスを提供している。
2022年米国獣医栄養専門学会の口頭研究発表で受賞。「北アメリカヒルズセミナー」「ロイヤルカナンジャポンベテリナリーシンポジウム」等、栄養管理のテーマでのセミナー登壇実績や、学会での講演も多数。
●著書：
“Nutrition for the Hospitalized Patient and the Importance of Nutritional Assessment in Critical Care” in Advances In Small Animal Care（Elsevier） ほか
続きを読む
アメリカ獣医内科学専門医（栄養科）
Seven Hills Veterinary Hospital（SF, California）経営パートナー
Veterinary Nutrition Specialty Service（San Rafael, California）代表
●経歴：
カリフォルニア大学バークレー校、ミシガン州立大学獣医学校卒。’05年より加州で一般臨床経験後、’14年より日本獣医生命大学 獣医教育推進室の助教に。’17年同大学にて博士号取得。
現在、サンフランシスコの一次診療病院の経営パートナーの傍ら、アメリカ獣医内科専門医（栄養科）として臨床栄養診療・コンサルティングサービスを提供している。
2022年米国獣医栄養専門学会の口頭研究発表で受賞。「北アメリカヒルズセミナー」「ロイヤルカナンジャポンベテリナリーシンポジウム」等、栄養管理のテーマでのセミナー登壇実績や、学会での講演も多数。
●著書：
“Nutrition for the Hospitalized Patient and the Importance of Nutritional Assessment in Critical Care” in Advances In Small Animal Care（Elsevier） ほか
「ヒューマングレード」ってどんな意味？
近年注目されている「ヒューマングレード」のドッグフードですが、そもそもどんなフードなのでしょうか。この章では、「ヒューマングレード」について正しく理解するために知っておきたいポイントを解説します。
「人が食べても安全なもの」という意味合いで用いられている
「ヒューマングレード」とは、近年ペットフード業界で用いられるようになった用語です。「human＝人間」「grade＝程度」の言葉が示す通り、人が食べても安全なフードという意味で用いられます。
ヒューマングレードの明確な基準は存在しない
AAFCO（米国飼料検査官協会）によると、「ヒューマングレード」という言葉は以下のように定義されています。
“Every ingredient and the resulting product are stored, handled, processed and transported in a manner that is consistent and compliant with regulations for current good manufacturing practices (cGMPs) for human edible foods as specified in 21 CFR 117.I
全ての原材料と製品の保管、取り扱い、処置、運搬方法が、アメリカ食品医薬品局（FDA）が定める人の食品の「最新の適正製造基準」に値する”
とはいえ、ヒューマングレード自体が新しい言葉であり明確な法規制なども存在しないため、あくまでメーカーの独自の基準であり、商品によって内容が異なるのが現状です。そのため、ヒューマングレードのフードを購入する場合は、明確な基準がないことを念頭に置いたうえで商品を選ぶようにしましょう。
“Every ingredient and the resulting product are stored, handled, processed and transported in a manner that is consistent and compliant with regulations for current good manufacturing practices (cGMPs) for human edible foods as specified in 21 CFR 117.I
全ての原材料と製品の保管、取り扱い、処置、運搬方法が、アメリカ食品医薬品局（FDA）が定める人の食品の「最新の適正製造基準」に値する”
とはいえ、ヒューマングレード自体が新しい言葉であり明確な法規制なども存在しないため、あくまでメーカーの独自の基準であり、商品によって内容が異なるのが現状です。そのため、ヒューマングレードのフードを購入する場合は、明確な基準がないことを念頭に置いたうえで商品を選ぶようにしましょう。
愛犬にはヒューマングレードのフードを与えるべき？
人が食べても安全とされているなら、ヒューマングレードのほうがいいの？ と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。この章では、ヒューマングレードのドッグフードに関する留意点を解説します。
必ずしもヒューマングレードだからよいとは限らない
前述の通りヒューマングレードには明確な基準が存在しないため、ヒューマングレードとして販売されているドッグフードが必ずしも優れたフードとは限りません。その商品が愛犬にとってよいフードなのかは、飼い主さんがきちんと見極める必要があります。
また、ヒューマングレードのフードはそのほかのドッグフードより価格が高い傾向にあります。栄養学の観点からは、原材料よりも商品の栄養面や安全面の方が重要です。しっかりと栄養バランスがとれているか、微生物・カビ・金属などの検査を徹底しているメーカーかを見極めたうえで、購入の判断をしてください。
また、ヒューマングレードのフードはそのほかのドッグフードより価格が高い傾向にあります。栄養学の観点からは、原材料よりも商品の栄養面や安全面の方が重要です。しっかりと栄養バランスがとれているか、微生物・カビ・金属などの検査を徹底しているメーカーかを見極めたうえで、購入の判断をしてください。
犬には「グレインフリー」がいいの？「ナチュラル」「オーガニック」のほうが健康によい？
ヒューマングレードのほかにも、最近は市販のドッグフードに「グレインフリー」や「ナチュラル」「オーガニック」という表記をよく目にしますが、ほかのフードとどう違うのでしょうか。この章では、これらの用語について解説します。
グレインフリー以外のフードでも問題ない
「グレインフリー」とは、穀物（グレイン）を原材料に使用していないことを表す言葉です。「犬は野生時代に穀物を食べていなかったから、グレインフリーのほうがよい」という情報も見受けられますが、グレインフリー以外のフードでも問題ありません。
犬はオオカミより進化したと考えられており、人間と共に暮らし、進化するにあたって、雑食（炭水化物食）に順応してきたといわれています。また遺伝子解析により、タンパク質を分解する酵素を作る遺伝子が狼よりも活発であることも分かっています。さらにドッグフードに使用されている穀物は、加熱調理により消化性が高められていることから、犬が問題なく消化できることが実証されています。
なお、食物アレルギーのある犬の場合は、グレインフリーは選択肢の1つになるでしょう。
犬はオオカミより進化したと考えられており、人間と共に暮らし、進化するにあたって、雑食（炭水化物食）に順応してきたといわれています。また遺伝子解析により、タンパク質を分解する酵素を作る遺伝子が狼よりも活発であることも分かっています。さらにドッグフードに使用されている穀物は、加熱調理により消化性が高められていることから、犬が問題なく消化できることが実証されています。
なお、食物アレルギーのある犬の場合は、グレインフリーは選択肢の1つになるでしょう。
ナチュラル、オーガニックはあくまで参考指標に
「ナチュラル」なドッグフードとは
「ナチュラル（ネーチャー）」という言葉は、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」の中で“化学的に合成した原材料・着色料を使用していないものに記載してよい”と定められています。
健康を維持するうえで「ナチュラル」なものが、そうでないものより優位であるというわけではありませんので、素材にこだわりたいときの参考指標の1つと考えればよいでしょう。
健康を維持するうえで「ナチュラル」なものが、そうでないものより優位であるというわけではありませんので、素材にこだわりたいときの参考指標の1つと考えればよいでしょう。
「オーガニック」なドッグフードとは
特定の農薬を使用していない原材料で作られていることを示す「オーガニック」や「有機」という表現の使用は、基本的に日本ではペットフードは対象外となっています。アメリカなど認定がある国もありますので、こだわりがある場合は、これらの認定を参考にするとよいでしょう。
ただし、「オーガニック」や「有機」は製品の作り方や原材料に対する説明であって、品質や安全性が高いという意味ではありませんので、あくまで参考指標の１つにするとよいでしょう。
ただし、「オーガニック」や「有機」は製品の作り方や原材料に対する説明であって、品質や安全性が高いという意味ではありませんので、あくまで参考指標の１つにするとよいでしょう。
愛犬に本当に必要な食事とは？ドッグフードの正しい選び方
ヒューマングレードをはじめ多種多様な商品があるなかで、何を指標に愛犬のフードを選べばよいのでしょうか。この章では、正しいドッグフードの選び方を解説します。
国内で流通するドッグフードは安全性や品質が保証されている
フード選びで気になる安全性や品質ですが、日本では「ペットフード安全法（正式名：愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律）」という法律や「ペットフードの表示に関する公正競争規約」というルールによって、ペットフードの安全性や品質が保証されています。したがって、国内で流通している商品であれば、これらについて極端に心配する必要はありません。
「添加物」や「ミール」って実際どうなの？
ドッグフードの添加物は法律で含有量が定められており、科学的に安全であることが確認されています。さらに添加物には、長い間保存されるフードの腐敗を防ぐ、必須栄養素を補うなどの役割があります。
また、ドッグフードに含まれるチキンミールなど動物由来の原材料について、「○○ミールは危険」という情報がしばしば見受けられますが、法律で守られた国内流通のペットフードであれば、危険な材料が使用されることはありません。
逆に、ミール（乾燥粉末）にすることで、水分量や脂質などを調整して栄養素のばらつきを抑える、重量あたりの栄養価を高める、カビの繁殖を防ぐといったメリットも期待できます。
また、ドッグフードに含まれるチキンミールなど動物由来の原材料について、「○○ミールは危険」という情報がしばしば見受けられますが、法律で守られた国内流通のペットフードであれば、危険な材料が使用されることはありません。
逆に、ミール（乾燥粉末）にすることで、水分量や脂質などを調整して栄養素のばらつきを抑える、重量あたりの栄養価を高める、カビの繁殖を防ぐといったメリットも期待できます。
愛犬のライフステージに合った「総合栄養食」を選ぶことが大切
どんなに安全で良質なドッグフードであっても、愛犬の体質や年齢、健康状態などに合わない場合は、健康を損ねる可能性があることも事実です。
犬の食事において大切なのは、栄養バランスです。主食には必ず「総合栄養食」と表記されているドッグフードを選び、パッケージのうたい文句だけにとらわれず、愛犬のライフステージや体質、健康状態に合ったものを選択することが、フード選びの重要なポイントです。
犬の食事において大切なのは、栄養バランスです。主食には必ず「総合栄養食」と表記されているドッグフードを選び、パッケージのうたい文句だけにとらわれず、愛犬のライフステージや体質、健康状態に合ったものを選択することが、フード選びの重要なポイントです。
「総合栄養食」とは
「総合栄養食」は、そのフードと適量の水だけで犬の成長と健康が維持できるように栄養バランスが整えられたフードのことです。
犬の食事で最も重要なのは栄養バランスです。ヒューマングレードなどのうたい文句だけにとらわれず、愛犬の年齢や状態を把握したうえで、それに合った総合栄養食のドッグフードを選ぶことが大切ですよ。
監修／岡田ゆう紀先生（Seven Hills Veterinary Hospital 経営パートナー、Veterinary Nutrition Specialty Service 代表）
文／寺井さとこ
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
文／寺井さとこ
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
CATEGORY 犬と暮らす
UP DATE
