犬は一般的に、7才を超えるとシニアと呼ばれます。シニア期に入った犬は若い頃に比べるとさまざまな機能が衰え、物にぶつかったりそそうをしたりと、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。
そこで今回は、シニア期に見直したい室内環境やコミュニケーションの方法を、犬の訪問ケア「ドッグケア スマイル」を主宰する清水佐知子先生に伺いました。
愛犬の生活範囲すべてに滑り止めマットを敷こう
フローリングなどの滑る床で生活をし続けると、足腰に負担がかかり、姿勢がゆがむ要因に。また、滑って踏ん張りがきかないと、自力で立てなくなる場合もあるようです。
愛犬の生活域すべての床に滑り止めマットを敷いておくと、足腰の老化予防につながりますよ。
家具の角にクッション材を貼ろう
人も犬も、加齢で足腰の動きや反射神経が衰えたり、目が悪くなったりすると、慣れているはずの自宅内でも家具の角などにぶつかることがあります。特に、短頭種は目をぶつけると危険です。ぶつかったり転んだりしたときのケガ予防として、家具の角に市販のクッション材を貼っておくといいでしょう。
ただし、愛犬がクッション材を噛んだりはがしたりするようなら、危険なので使用は控えてください。
トイレを大きくしたり、増設したりしよう
シニア期になると、そそうをしてしまう犬も増えてきます。トイレからはみ出して排せつをするタイプなら、トイレを大きくしたりトイレの周囲に柵をつけたりする対処法がおすすめ。トイレ以外の場所でそそうをするタイプなら、トイレを増設してあげるなど、そそうの状況に応じて対処をしてあげましょう。
また、犬はそそうをしたくてしているわけではないため、叱ってしまうのはNGです。
投薬の練習をしよう
犬はシニアになると、投薬の機会が増えてきます。特に、若い頃はあまり使う機会がない目薬は、年をとってから急にさされると、強いストレスになるケースがあります。動物病院で練習用の目薬(涙と同じ成分で犬に害がないもの)を処方してもらい、若いうちから練習しておくといいでしょう。
フェイスマッサージをしよう
犬は、老化が進むと口の筋肉が思うように動かなくなり、食事が困難になるケースがあります。口角の周りをなでたり軽く伸ばしたりして顔のマッサージをしてあげると、筋肉や唾液を出す器官が刺激されて、食べる力の維持に役立ちます。
マッサージをする際は優しく、無理強いはしないようにしましょう。
衰えた愛犬のために生活環境を整えることは、飼い主さんの大切な役割です。愛犬がシニア期にさしかかった際は、室内の環境やコミュニケーションの方法を、今一度見直してみましょう。
お話を伺った先生/清水佐知子先生(犬の訪問ケア「ドッグケア スマイル」主宰 動物看護師 ペットケアマネージャー)
参考/「いぬのきもち」2023年5月号『老いのサインに気づいたときが見直しどき 先手を打つ! シニア犬のお世話術』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。