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「骨が腫れる、溶ける」犬の骨のがん「骨肉腫」って知ってる?

骨に悪性腫瘍(がん)ができる「骨肉腫」という病気をご存じですか? 全身への転移が早く、四肢の骨に発生すると、患部の足を切断することが治療の第一選択になるという怖い病気。その症状や気をつけたい犬の特徴を獣医師の堀川歴央先生に伺いました。
イラスト/フジマツミキ
イラスト/フジマツミキ

骨にできるがんで、骨が腫れると同時に溶けて折れやすくなり、激しく痛む

骨肉腫は、骨にできる悪性腫瘍(がん)です。進行すると、骨が溶けたり、折れたりして激しい痛みを伴います。大型犬や超大型犬に多く、四肢の骨に起こりやすいです。四肢の骨に発生した場合は、痛みで起き上がることすらできなくなるため、外科手術で患部の足を切断(断脚)し、痛みから解放することが治療の第一選択肢になります。

しかし、骨肉腫は全身への転移が早く、たとえ発見時に転移が確認できなくても、最終的には肺に転移して亡くなることが多いのです。そのため、手術で完治を目指すのは難しいがんです。また、骨肉腫は、大型犬ほどではないものの、小型犬や中型犬にも見られます。その場合、四肢の骨よりもあごの骨や背骨などに発生する傾向があります。

四肢の骨に起こりやすく大型犬に多く見られる

全身のどの骨にも発生しますが、四肢の骨がもっとも多く、骨肉腫全体の75%を占めています。四肢の骨に発生すると、痛みのため足を上げて歩く、触ると痛がる、足の一部が腫れるなどの症状が見られます。原因ははっきりしませんが、大型犬や超大型犬に多いことから、体重が関係していると考えられています。しかし、小型犬や中型犬にも見られることはあり、その場合、あごの骨や背骨などに発生する傾向があります。
イラスト/フジマツミキ
イラスト/フジマツミキ
●おもな症状
・足を上げるなど歩き方がおかしい
・上げている足を触ると痛がる
・痛がる足にふくらみを感じる など

●発生しやすい部位
もっとも多いのは四肢の骨。とくに前足では肘関節から遠い部位、後ろ足では膝関節に近い部位に多発。

●気をつけたい犬
・体重20㎏以上の大型~超大型犬
・セント・バーナード、グレート・デーン、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ドーベルマンなど
・日本で多いのは、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、秋田など

●発生しやすい年齢
多いのは7~9才で1~2才で出ることもある。

強い痛みから解放する目的で、断脚手術が第一選択に

がんによって骨が溶かされる痛み、もろくなった骨が折れる痛み……。進行に伴う激しい痛みを取り除くため、発生部位を切除するのが第一選択肢になります。たとえば、四肢の骨に発生した場合は、断脚手術を行います。痛みから解放され、手術後は再び歩くことができます。しかし、すでにがんは転移していることが多く、治療しても完治は難しい状況です。転移先は肺が多く、それによる肺炎で亡くなる場合が多いです。
病状が進むと強い痛みのために寝たきりの状態に
病状が進むと強い痛みのために寝たきりの状態に
強い痛みのために起き上がることもできなかった犬たちが、断脚手術後に3本足で起き上がり、再び歩けるようになりました。
左前足を断脚した10才のゴールデン・レトリーバー(メス)。写真提供/堀川先生
左前足を断脚した10才のゴールデン・レトリーバー(メス)。写真提供/堀川先生

足のほかにはあごの骨や背骨などで発生し、小型~中型犬に見られる傾向が

骨肉腫の発生部位は、四肢の骨が75%。残りの25%は、あごの骨、背骨、頭蓋骨、肋骨、鼻の骨、骨盤です。四肢の骨以外の骨肉腫は、小型〜中型犬に見られる傾向が。ゴハンが食べにくくなる(あご)、神経症状が出る(背骨や頭蓋骨)など、部位によって症状が異なります。また、下あごの骨肉腫は転移しにくいという報告があるなど、予後も発生部位で異なります。
イラスト/フジマツミキ
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万が一、愛犬の様子で不安に感じることがあれば、かかりつけ医に相談してください。
お話を伺った先生/レオどうぶつ病院院長、獣医師、日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医Ⅱ種 堀川歴央先生
参考/「いぬのきもち」2023年4月号『犬の現代病ファイル』
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文/伊藤亜希子
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