犬は後ろ足から先に衰えるとされており、若いうちからのケアが肝心です。そこで今回は、5分でできる後ろ足の筋力チェック方法や、おうちで気軽にできる「後ろもも筋ストレッチ」について、獣医師の佐々木彩子先生に教えていただきました。
筋力は後ろ足から衰える!?
犬の足は後ろ足から先に衰えるとされており、放っておくと蹴り出す力が弱って歩きにくくなります。脚力を保つには、若いうちからのストレッチやトレーニングが大切です。
5分でできる筋力チェック
まずは、後ろももの筋力を簡単にチェックできる3つの方法をご紹介します。
1. 持ち上げやすい足がないか
愛犬の足を前足から順にひとつずつそっと持ち上げて、反発する力をチェックします。持ち上げにくい足には体重がかかっていますが、簡単に持ち上げられる足は筋力が衰えている可能性も。後ろ足を持ち上げるときは、愛犬のお腹に手を添えて支えてあげると嫌がりにくいですよ。
2. ふくらはぎが張ってないか
もも裏の筋肉が衰えるとふくらはぎに負担がかかります。片手で愛犬のお腹を支えながら、後ろ足のかかとの少し上あたりをやさしく触ります。お尻の下がへこんでいたり、指が沈まないほどパンパンに張っていたりしたら要注意。ほかの足と触り比べるとわかりやすいでしょう。
3. 歩き方にクセがないか
歩き方にクセがあると、筋肉を使うバランスが悪くなって筋力低下につながります。愛犬が歩いている姿を後ろから見て、足先がすべて同じ方向を向いているか、後ろ足がO脚ぎみになっていないか、前後の足で歩幅に違いがないかをチェックしましよう。
ここからは、関節の可動域を広げてケガを予防する「後ろもも筋ストレッチ」を2つご紹介します。
その1:抵抗運動ストレッチ
片手を愛犬のお腹に、もう片方の手を膝に添えて支えながら、足全体を後ろに伸ばします。ひざを押す手を離し、愛犬がひざを引っ込めたら再び押すという動作を5回ほど繰り返しましょう。嫌がる場合は、飼い主さんが曲げ伸ばしをサポートしてあげてもOKです。
ストレッチその2:足首ストレッチ
片手でもものつけ根を支えながら、愛犬の足先を持ちます。3秒ほどかけて足首を関節の可動域に沿って曲げ、次は足首が反る方向にゆっくりと伸ばしましょう。この動作を5回ほど繰り返します。
足首を曲げ伸ばしするストレッチをすると、ももにかかる負担を軽減できるうえ、足全体の筋肉も効果的にほぐせます。無理なく動かせる範囲で試してくださいね。
温め&マッサージをしておくとさらに効果的!
気温が下がる秋冬は、筋肉も冷えてこわばりやすくなります。いきなりストレッチをすると痛がることもあるので、ホットタオルなどを愛犬の下半身にかけて温めるのがおすすめ。そのあと、指先でやさしくつまむ程度の力で後ろ足をマッサージしてから始めるとベストです。
足拭きや散歩のついでに、愛犬の筋力をチェックする習慣をつけておくとよいですね。ストレッチもおうちで簡単にできるので、余裕のあるときにはぜひ取り入れてみてください。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(「キュティア老犬クリニック」獣医師 獣医中医師1級 獣医推拿整体師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
※持病がある犬やハイシニア犬などは、かかりつけ医と相談のうえ行ってください。それ以外でも、愛犬がケガをしていたり体調不良の場合は控えましょう。また、無理はさせず、愛犬につらそうな様子やしぐさが見られたらただちに中止しましょう。
文/柏田ゆき