「急に目ヤニが増えた」「ドロドロした目ヤニが出る」といった、犬の目のトラブル。もしかしたらそれは、深刻な病気やケガのサインかもしれません。今回は気をつけたい“目の分泌物”について、獣医師の近藤仁先生にお話を伺いました。
そもそも分泌物って?
イラスト/ハニュウミキ 「いぬのきもち」2025年1月号『病気のサインが隠れています!気をつけたい犬の分泌物リスト』
生物の体には、体内に必要な物質を蓄えておき、必要なときに外に出す働き(=分泌)をする細胞集団があります。その分泌されたものを「分泌物」といい、汗や唾液などもそのひとつです。分泌物には外分泌物と内分泌物の2種類がありますが、外分泌物は体外に排出されるため、体内で異変が起こっているときに病気に気づくヒントになります。
正常な目の分泌物
目ヤニは、目の新陳代謝でつくられる分泌物です。半透明や黒、焦げ茶などの色でも、量が多すぎなければ正常といえます。
気をつけたい目の分泌物1:大量の目ヤニ
参考・写真/「いぬのきもち」2025年1月号『病気のサインが隠れています!気をつけたい犬の分泌物リスト』
目にある分泌腺からは涙が、そしてまぶたにあるマイボーム腺からは脂が分泌され、眼球が乾かないように膜をつくっています。しかし、何らかの原因でどちらかが欠けると目ヤニの量が増加します。
ドライアイ
何らかの原因で涙の量が減少し、炎症が引き起こされる病気です。角膜が傷つきやすい状態になり、目ヤニの量も増えがちです。
アレルギー
食べ物や花粉など何らかの原因でアレルギー反応が起こると、涙の分泌量が増加して目ヤニが増える場合があります。
異物
目の中に毛や草などの異物が入ると、眼球が刺激を受けて涙の分泌量が増加。アレルギーと同様に目ヤニの量が増加します。
気をつけたい目の分泌物2:血が混じった涙
涙に血液が混じっていたり、目から出血していたりする場合は要注意。白目部分に外傷があり、そこから出血している可能性があります。最悪の場合は失明するおそれもあるので、なるべく早く受診しましょう。
角膜穿孔
参考・写真/「いぬのきもち」2025年1月号『病気のサインが隠れています!気をつけたい犬の分泌物リスト』
角膜が深く傷つくと、穴があいて角膜穿孔(かくまくせんこう)になることがあります。激しい痛みを伴い、出血することもあり、視覚障害が残るケースも。
白目部分の外傷
参考・写真/「いぬのきもち」2025年1月号『病気のサインが隠れています!気をつけたい犬の分泌物リスト』
目に枝が刺さる、同居犬とケンカするといったことで白目部分が傷つくと、出血を伴うことがあります。
膿状の目ヤニ
目の中に細菌や異物などが侵入すると、体内で免疫反応が起こり、膿のように黄色くネバネバした目ヤニが出ることがあります。結膜炎や細菌感染症、角膜潰瘍(かくまくかいよう)といった原因が考えられます。
結膜炎
ホコリや花粉が入るなど、何らかの原因でまぶたの内側にある膜(結膜)に炎症が起こる病気です。
角膜潰瘍
外傷やドライアイなどで、目の表面にある透明な部分に炎症が起こり、深く傷ついた状態です。
急に目ヤニの量が増えたり、いつもと違う涙や目ヤニが出ていたりしたら注意が必要。緊急性が高い場合もあるので、早めに受診してください。
お話を伺った先生/近藤仁先生(「こんどう動物病院」院長 獣医皮膚科認定医)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年1月号『病気のサインが隠れています!気をつけたい犬の分泌物リスト』
イラスト/ハニュウミキ
文/柏田ゆき
※記事と写真に関連性がない場合もあります。