チャイムが鳴るたびに愛犬が吠える「チャイム吠え」、愛犬が飼い主さんに要求があって吠える「おねだり吠え」。この記事では、問題行動としてお悩みの多い2つの「吠え」の原因と対処法について、ペットドッグトレーナーの藤本聖香先生にお話を伺いました。
チャイム吠えの原因は飼い主さんの反応
「チャイム吠え」に対し、飼い主さんは「愛犬はチャイムの音に反応して吠えている」と思いがちですが、じつは犬はチャイムの音ではなく、飼い主さんの反応を見て吠えています。
「一刻も早く対処して吠えを終わらせよう」と意識するほど、飼い主さんの態度にあせりが出がちです。チャイムが鳴る前からそわそわしたり、急ぎ足でバタバタと玄関へ向かったりしていませんか? 愛犬はそんな飼い主さんを見て「何か異変が起きた」と不安をあおられ、飼い主さんのあせりに釣られて吠えているのかもしれません。
チャイム吠え対策は落ち着いた対応が大切
飼い主さんがあせって行動するほど、愛犬の不安をあおり「チャイム吠え」を誘発してしまいます。チャイム音が鳴っても必要以上にあせる必要はありません。とくにバタバタと早足になるのはNG。ふだんと変わらない態度で、あわてず急がず対応しましょう。
第三者に対応をチェックしてもらうのも手
自分ではクールに対応しているつもりでも、節々にあせりが出ている場合があります。チャイムが鳴ったときにあせって対応していないか、家族などの第三者に確認してもらうのも手です。
おねだり吠えは要求に応えるほどエスカレート
「遊んでほしい」「おやつが欲しい」など、愛犬が飼い主さんに要求があって吠える「おねだり吠え」は、勘違いで対応を誤ると、とくに悪化しがちな吠えでもあります。
最初のうちは「今回限りのかわいいおねだり」と思って応えてしまいがちですが、繰り返すうちに「吠えないとおやつがもらえない」と愛犬に覚えさせることに。犬の欲求には天井がないので、飼い主さんがおねだりに応えたぶんだけ「吠えてあげたんだからおやつがもらえて当然!」と認識するため、吠えは悪化の一途をたどってしまいます。
おねだり吠え対策は“静かにしているとき”におやつを
「おねだり吠え」の対処法は、「静かにしていればおやつがもらえる」と愛犬に伝えること。愛犬が静かにしているときにだけおやつを与えましょう。吠え続けるのも体力を消耗するので、吠えなくてもおやつが出てくるほうが犬にとってもおトクといえます。とくにおねだり吠えの出やすい飼い主さんの食事中は、布をかけたクレート内で待たせるようにしましょう。
どうしても「おすそわけ」したいなら長もちおやつを
自分の食事中に愛犬をクレート内で待たせることを、心苦しく思う飼い主さんも少なくないようです。その場合はクレートの中で長もちおやつなどを与えて、静かに食べさせてもよいでしょう。
愛犬の問題行動の原因は、飼い主さんの勘違いにあるかもしれません。愛犬の本当のキモチを理解することで、解決のヒントにしてくださいね。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考/「いぬのきもち」2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか?吠え・噛みetc.犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
文/寺井さとこ
※この特集で登場しているモデル犬と飼い主さんには問題行動を演じてもらっています。
※内容をわかりやすくするため、この特集では犬を擬人化した表現を用いています。