成長過程の犬は、自我が芽生え、いやなことから逃れるために吠えるようになることがあります。この「イヤイヤ吠え」を放置してしまうと、吠えグセなどのお困りごとが将来増えてしまう可能性も。そこで今回は、イヤイヤ吠えの理由と正しい対処法について解説します。
自我の芽生えから起こるイヤイヤ吠え
犬にとって、生後7カ月から3歳未満の時期は、新しい環境にも慣れ、成長に合わせて脳も発達して自我も強くなってくるころ。サークル内にいたくない、体に触ってほしくない、という、嫌なことから解放されたくて吠えることがあります。
さらに体験したことをどんどん覚えていく頃合いでもあるため、この「イヤイヤ吠え」に誤った対応をしてしまうと、吠えることを覚えて頑固な吠えぐせにつながってしまいます。
この時期に正しい対処をすることができれば、愛犬の吠えに悩まされずに生活できるでしょう。イヤイヤ吠えの原因と、その対処法を見ていきましょう。
体に触られるのが嫌なときのイヤイヤ吠え
自我が強くなるにつれて、体に触られることを嫌がって吠える犬もいます。このイヤイヤ吠えを放置して、吠えたら触るをやめてしまうと、歯磨きやブラッシングなどのお手入れや、抱っこさえできない子に育つ可能性も。
対処法
犬が嫌がっているのに無理に触ると、余計に人の手が苦手になってしまうことがあります。まずは片手でおやつを与えながら、背中などの犬が嫌がりにくい箇所からゆっくり触っていきましょう。触れられること自体に、慣れさせることが肝心です。
サークルに居るのが嫌な時のイヤイヤ吠え
サークルやクレートにまだ慣れていない犬は、狭いところが嫌で吠えてしまう場合があります。このときに「かわいそうだから」と要求に応えてサークルから出してしまうと、次から、出してくれるまで延々と吠え続けてしまうことも。
また、犬がサークルやクレートに慣れないと、イタズラや粗相が心配でお留守番をさせられない犬に育ってしまう可能性があります。
対処法
犬が吠えている間は徹底的に無視し、絶対にサークルから出さないように心がけましょう。犬がふて寝をするなど、諦めて静かになったタイミングで出してあげてください。このとき、おやつなどを与えて過剰に褒めるのではなく、声だけでクールに褒めることがポイントです。
音の刺激に対するイヤイヤ吠え
成長期の犬は、家の中などの環境には慣れる一方で、正体不明のものへの警戒心が強くなる時期です。特に耳慣れない音は、犬にとって大きな刺激になります。犬の刺激となる音としては、チャイムの音や雷、外を通る人や車の音などが挙げられます。こうしたあらゆる音に対して犬を慣れさせる必要があります。
対処法
人には何でもない音でも、犬には何かが起こる前触れのうように感じられることがあります。刺激になりそうな音が聞こえたら、まずは犬の様子をチェックしてください。吠えてしまった場合は、犬の名前を呼ぶなどして音から意識をそらしましょう。
その際に「大丈夫だよ」などと、落ち着いたトーンで声をかけるとベター。また、音を気にしつつも吠えずにいられたら毎回すかさずアイコンタクトし、「いいこ」と声をかけて体を撫でながら褒めましょう。
イヤイヤ吠えは、その都度正しい対処を繰り返すことが、解決への一番の近道です。吠えている最中に根負けしてしまうと吠えグセがついてしまいますので、愛犬を信じて待つ親心が大事なのかもしれませんね。
参考/「いぬのきもち」18年4月号『年代別 愛犬の吠えに一生困らないための 吠え攻略ガイド』(監修:ぬのかわ犬猫病院 獣医師 石田陽子先生、日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター 戸田美由紀先生)
文/Un
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください