小型犬は10才頃から、中型犬は9才頃から、大型犬は8才頃からが「シニア犬期」とされますが、この時期になると、老化による衰えなどが原因でかかりやすい病気が増加します。
そこで今回は、シニア犬期にかかりやすい皮膚・目・内分泌の病気について、獣医師の野矢雅彦先生にお話を伺いました。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液でアレルギー症状を起こし、腰背部を中心に激しいかゆみが出る病気です。ノミ1匹でも強い症状が出ます。アレルギー症状が出るまで数年以上かかる遅延型アレルギーのため、シニア犬期になってからの発症も多いようです。
ドライアイ
何らかの原因で目の表面が乾き、角膜の痛みや結膜の炎症が起こる病気です。白い目ヤニが増えたり、結膜の充血が見られたりします。
痛みから目をこすりつけて角膜を傷つける、角膜表面の慢性的な刺激を受けるなどすると、角膜にメラニン色素が沈着しはじめ、それが広範囲に及ぶと目が見えなくなることも。
シー・ズー、ヨークシャー・テリア、パグなどが発症しやすいといわれています。
白内障
水晶体の表面に変性したたんぱく質が沈着することで白く濁り、視力が失われてしまう病気です。進行性網膜萎縮、糖尿病、外傷、非常に強い紫外線などが原因で発症します。犬は人と違い、老化が原因で発症することはほぼないと考えられています。
白内障を改善するには、手術を行う以外の方法はありません。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
コルチゾールと呼ばれるホルモンが副腎皮質から過剰に分泌され、異常な食欲が出たり水を大量に飲んだりする症状が出る病気です。「よく食べて元気」と思われて、病気を見過ごされてしまうケースも少なくありません。
治療は、ホルモン分泌を抑える薬を用いて付き合っていくのが一般的です。
甲状腺機能低下症
甲状腺から出ている、全身の新陳代謝をつかさどるホルモンの分泌が少なくなる病気です。寝てばかりいる、寒がる、食べないのに太る、皮膚病を繰り返すなどの症状が出ます。このような症状を老化現象と勘違いして、病気だと気付かないこともあります。
ご紹介したように、シニア犬期はさまざまな病気にかかりやすい時期です。異常が見られたら早めに動物病院を受診して検査をしてもらうとよいでしょう。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「いぬのきもち」2025年6月号『かかりやすい犬種&タイプもわかる! ライフステージ別 気をつけたい病気・トラブル』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。