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自分が感染した時にも役立つ 「新型コロナに感染した飼い主さんの犬」を預かる時に気をつけること

新型コロナウイルスに感染して入院することになったら、当然、愛犬のお世話はできなくなります。離れて暮らす家族や友人が万が一そうなってしまった時、あなたが犬を預かって世話をする必要が出てくる可能性もあります。
あなた自身やあなたの愛犬への感染リスクを抑えつつ、安全に預かるための注意点や手順を、東京都獣医師会の中川清志先生に教えてもらいました。
犬の頭をなでて
Yuki KONDO/gettyimages

「愛犬のお世話をどうするかが不安だけど準備はしていない」が大多数!

いぬ・ねこのきもちWEB MAGAZINEが、2020年7月に行ったインターネットでのアンケート調査によると、現在犬・猫を飼っている方2,023名のうち、約60%の飼い主さんが「自分や家族が新型コロナウイルスに感染した場合、愛犬・愛猫のお世話をどうするのかが最も大きな不安」と回答しています。
いぬ・ねこのきもちWeb「コロナ禍における犬・猫との暮らしアンケート調査」(2020年7月実施)
いぬ・ねこのきもちWeb「コロナ禍における犬・猫との暮らしアンケート調査」(2020年7月実施)
いぬのきもちWEB MAGAZINE
特に多かったのが、「もし、自分や家族が入院したら犬・猫はどこに預ければいい?」という不安の声。また、「感染が怖くて十分な散歩に連れていってあげられないのが、犬にとってストレスなのでは?」など、感染予防のために行っていることが愛犬にとってストレスになっているのではないか?という不安を感じている声も聞かれました。

しかしその一方で、新型コロナウイルスに感染した場合の準備については、「不安に思うが特に何もしていない」と回答した方が70.2%も。「わかっているけどしていない」のではなくて、「何をしたらいいかわからない」という方が多いのではないでしょうか。
いぬ・ねこのきもちWeb「コロナ禍における犬・猫との暮らしアンケート調査」(2020年7月実施)
いぬ・ねこのきもちWeb「コロナ禍における犬・猫との暮らしアンケート調査」(2020年7月実施)
いぬのきもちWEB MAGAZINE
そこで、東京都獣医師会が発信している「新型コロナウイルスに感染した人が飼っているペットを預かるために知っておきたいこと」をもとに、感染した場合の対処法や注意ポイントをご紹介します。
飼い主が感染した場合の犬の状況や、普段から気をつけること、さらに万が一、自分が感染してしまった場合の対応方法としても、ぜひ参考にしてください。

「感染したら犬とはできるだけ接触しない」が原則

犬のいたずら。ジャック・ラッセルは、靴下を弾いて、ソックスを口に盗む。
smrm1977/gettyimages
新型コロナウイルスは、犬や猫が人にうつしたという報告はなく、その可能性は依然として低いと考えられています。

しかし極めて稀にですが、人から犬への感染の可能性はあるため、新型コロナウイルス感染症にかかっている人は、犬のお世話を家族に依頼するなどして、できるだけ犬との接触を避けるのが原則です。
そして、新型コロナウイルス感染症だけに限らず、普段からペットと接する際には、まず手洗いをきちんと行うことや、過剰なふれあいを避けることは、“人と動物の共通感染症”から自分の健康を守るための基本事項であることも知っておきましょう。

飼い主が感染した場合、犬の体にもウイルスがある可能性大

新型コロナウイルスに感染した人の住まいには、大量のウイルスが存在したり、付着したりしています。そこで生活している人や物にもウイルスは付着しますし、人には感染する可能性があります。
同じ環境にいた犬の体にも、ウイルスがついているかもしれません。場合によってはすでに感染し、体内にもウイルスが存在している可能性があるので注意が必要です。
イラスト提供/公益社団法人 東京都獣医師会
公益社団法人 東京都獣医師会
ただし、AVMA(アメリカ獣医師会)によると、飼い主のくしゃみや咳で飛び散った唾液などが犬の被毛に付着しても、唾液などの水分が被毛に吸収され、ウイルスも毛に吸着されるため感染しにくくなるとのこと。必要以上に怖がったりせず、冷静に落ち着いて対応することが大切ですね。

犬を預かる際は、予防用アイテムと消毒液を用意

犬の輸送箱や袋旅行の準備
damedeeso/gettyimages
新型コロナウイルスに感染した飼い主の犬を預かることになった時、最初に行うのが犬の受け取りです。それには犬を「飼い主が連れてくる場合」と、「預かり側が飼い主宅に行って受け取る場合」があります。

いずれも、注意するポイントは人から人への感染を防ぐこと。受け取りの際は、飼い主本人からではなく、飼い主と濃厚接触していない第三者に引き渡し役をしてもらうと安心です。そのうえで、以下の手順と注意点を守って受け取りましょう。

犬を飼い主側が連れてくる場合

小型犬は、キャリーケースに入れて連れてきてもらいます。中・大型犬の場合、首輪やリードをアルコール除菌スプレーなどで消毒してから犬に装着してもらうようにしましょう。
預かる側は、マスクやメガネなどを身に付け、預かったキャリーケースの外側や持ち手をアルコール除菌スプレーなどの消毒液を含んだ布で拭いてから受け取りましょう。
この時、ケースに直接スプレーすると隙間から犬の体にかかってしまう可能性があるので注意!布などにスプレーして拭き、念のため水拭きをして犬にダメージを与えないようにしてください。

飼い主宅に行って犬を預かる場合

受け取り時間を決め、飼い主宅の玄関前で預かるようにします。
飼い主側は受け取り時間までに犬をキャリーケースの中に入れておき、預かり側はマスク、手袋、メガネ、簡易防護服などと、大きなビニール袋3枚を用意して行きます。
車で移動する場合は、キャリーケースを乗せるスペースにビニールシートを敷いておきましょう。

飼い主宅に到着したら、預かり側はマスク、手袋、メガネ、簡易防護服などを身に付け、玄関に行く前に到着を電話で知らせます。
その後、飼い主側は犬の入ったキャリーケースを玄関前に置きますが、この時、飼い主側と預かり側は直接顔を合わせて会話などをしないことが大切です。

預かり側はキャリーケースを持って飼い主の敷地から出た後、地面に置いてキャリーケースの持ち手、外回りをアルコール除菌スプレーなどを含んだ布で拭き、さらに水拭きしてください。
消毒が済んだら手袋やマスクなど身につけていたものを外し、用意しておいた大きなビニール袋を二重にした中に入れ、すぐに手指を消毒しましょう。
車内のビニールシートを敷いた場所にキャリーケースを置き、運びます。
恋人の所有者とどこか行くバッグの面白い愛らしい子犬犬の選択と集中のクローズ アップ、ポメラニアン
Aonip/gettyimages

簡易防護服はビニール袋や使い捨てレインコートで作れる

防護服は市場で不足していて手に入りにくいので、ビニール袋や100円ショップなどで販売している使い捨てレインコートを、簡易防護服として活用するのがおすすめです。
下記にて簡易防護服の作り方と使用する際の注意点が解説されています。参考にしてください。

公益社団法人 東京都獣医師会「一般の方向け 【預かりペット対応時の防護策】」

シャンプーは無理にしなくてもO K

入浴の犬のゴールドレトリバー
fotoedu/gettyimages
2020年6月30日現在、世界で1,000万人以上の感染者が出ていますが、犬の毛を介した感染報告はありません。AVMA(アメリカ獣医師会)も「必ずしもシャンプーを必要としていない」と示しています。
新型コロナウイルス感染症にかかった人の犬を預かる場合でも、シャンプーは必ずしなければならないものではありません

ただし、犬がウイルスを保有している場合に備えて念のためにシャンプーをしたいという場合は、必ずマスクやメガネをつけて行いましょう。

可能なら最初の14日間は隔離を

犬の窓
Matthew Venker/gettyimages
犬を預かった後は、可能であれば自宅内での居住空間を分けるなどして14日間は隔離すると安心です。隔離している場所や犬用グッズは、アルコール除菌スプレーなどで消毒するようにしましょう。
お世話をする際はマスクやメガネ、手袋などを身に付け、作業の前後に手指を消毒するのも忘れずに。

また、ウイルスを保有している可能性はあるので、犬にキスをしたりお皿などを共有するような「濃厚接触」をしないよう気をつけましょう。

散歩や運動は犬の健康のためにも続けて

女性は犬と一緒に歩いている。夏の街の通りで面白いスパニエルマット
Yolya/gettyimages
犬の散歩や運動については、犬の健康のためにも続けてあげましょう。
ただし、人や犬が多数集まる公園やドッグランなどは避けましょう。散歩や運動に行く際は必ずリードでつないで、人混みを避けたルートを選んでください。飼い主同士の立ち話は避け、通行人や他の動物とは1.8m 程度の距離を保つこともポイントです。
帰宅時には、手洗いなどの感染予防対策をしっかり行いましょう。
ビーグルはソファのあくびで眠って疲れた
Przemysław Iciak/gettyimages
いかがでしたか?ここまで気をつけないといけないのか…と驚いた方も多いのではないでしょうか。

預かった後も感染予防対策が必要なことを学びました。手袋、マスク、メガネ、簡易防護服などの装備をすることや作り方、アルコール除菌スプレーで拭いた後に水拭きも必要なことなどは、預かる場合だけでなく、普段の対策にも役立ちます
新型コロナウイルスへの対応は長期戦になることが確実。いざというときにもしっかり対応して、人も犬も守っていきましょう。

監修/中川 清志先生
獣医師、博士(獣医学)
公益社団法人 東京都獣医師会 副会長
中川動物病院 院長
文/かきの木のりみ(ライター)
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