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ペットロスの悲しみとどう向き合えばいい? 自身も愛犬を亡くした心理カウンセラーが伝える「心の整え方」
<プロフィール>
木附千晶先生:「CAFIC(ケフィック)子ども・おとな・家族の総合相談 池袋カウンセリングルーム」主宰。臨床心理士、公認心理師。16年ともに過ごした愛犬ケフィを亡くした経験から、ペットロスカウンセリングも行っている。近著に『いつかくるペットの死にどう向き合うか』(扶桑社)電子書籍版がある
愛犬が亡くなり、つらい日々を過ごす
亡くなる数週間前から立ち上がれなくなり、ほとんど眠って過ごしていたケフィちゃんは、家族に見守られ16才で永眠しました。
「日常生活を送ることはできているのに、ケフィが亡くなって3、4カ月間はとてもつらい時期でした」と木附先生は当時を振り返ります。
駅やスーパーなど、思わぬところで悲しみに襲われ、涙が止まらなくなることもありました。そんなときは、駅のトイレや車の中で泣いたそうです。
自分を否定せずに悲しみを受け止める
愛犬を失った人のなかには、愛犬の死を悲しむ自分を否定し、早く立ち直ろうと無理をする人もいます。そうすると悲しみはいつまでも心にくすぶり続け、「何もする気が起きない」などの抑うつ状態になることもあります。
「自分で自分の悲しみを受け入れる、それだけで気持ちは落ち着くものです。月日とともに、ふいに悲しみに襲われることも減ってきますよ」
愛犬の老いを受け入れて、心の準備を
先生が主宰するペットロスセミナーを訪れる人のなかには、愛犬の老いや病気の兆候に気づけなかったと後悔したり、罪悪感を持ったりしている人もいます。
「後悔や罪悪感は、『もっとできることがあったはずだ』という思いを強くし、愛犬を失った悲しみを大きくしている」と木附先生。
できるだけ愛犬との生活を後悔しないためには、愛犬の老いや病気を受け入れ、向き合うことが大切といえるでしょう。
「私たち家族が、病気の検査や治療法、介護の仕方など悩みながらも選んだことは、それでよかったと思えます。ケフィのために自分の時間やエネルギーを使いきった、愛しきったという思いが残っているのは幸せなこと。皆さんもペットロスをつらいものにしないために、後悔のないように愛犬と過ごしてくださいね」
参考/いぬのきもち2021年2月号「ペットロスのときの心の整え方 「その日」と向き合うために」(監修:臨床心理士 木附千晶先生 ほか)
撮影/殿村忠博
文/伊藤亜希子
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