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ワクチンを何回打てばパピーパーティに参加できる?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.97

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「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
今回は、子犬の飼い主さんからの質問が多い「ワクチンが先か、犬の社会化トレーニングが先か」について。犬の社会化期は、これからの人間社会でストレスなく生活するために、さまざまなことを吸収できるとても大事な期間です。ただその期間は、ワクチンが打ち終わるまでの期間と被るため、どうすればいいかが悩みどころ。長年子犬のトレーニングを行ってきた、西川先生の結論とは……?(編集部)


なかなか手強いですね。コロナってやつは。
感染予防だけを考えるのなら、家から出ない、人に会わない、それが一番。
しかし経済のことを考えるのなら、そうはいかない。生活が成り立たない人も増える。
とにもかくにもこの一年半は、感染予防優先か、経済優先か、その両者の折り合いをどううまくつけるかという話が繰り返されてきました(その折り合いは未だついていないわけですが)。
立場によって異なる意見の折り合いをつけていく。
番犬ではなく、リビングで生活しお出かけにも旅行にも連れて行くコンパニオン・ドッグ(=家庭犬)のトレーニングにも、あったのですね、同じような折り合いが。

飼い始めから生後4カ月齢までの社会化期を、どう過ごさせるか?
感染予防優先か、社会化(しつけのトレーニング)優先か。
もっともコロナと違って、こちらの折り合いはすでについている。今回はそのお話を。

感染予防なら生後4カ月齢まで家から出さない

コンパニオン・ドッグに育てていくために不可欠な社会化(=人間社会で生活する中で遭遇することやモノに慣らすこと)。
その社会化には、それに適した、その時期に始めないと後から取り返すのが難しくなる「社会化期」が存在する。
そして、その時期は生後4カ月齢ごろまで。

ゆえに、社会化のためにしつけ方教室などには、3カ月齢前後から参加すべき。
こうした情報は、少しずつ浸透してきてはいるのですが、「ワクチン3回済んで2週間経過するまでは外に出さないように。しつけ教室への参加もNG」と指導する獣医師が未だいます。
感染症のリスクを下げるためだけなら、確かにそれが一番。
でもそれは、コロナ感染予防のために、外に出ない、人に会わない、というのと同じです。
ワクチン3回済んで2週間経過するのを待っていると、社会化期が終焉を迎える4カ月齢になってしまう。

犬の4カ月齢は、人間でいえば8歳
人間の子どもを8歳になるまで家から一切出さず、保育園や幼稚園、小学校にも2~3年生になるまで行かせなければ、その子の将来はどうなるか。
はたしてその子どもは、一般社会でその後何事もなくやっていけるのでしょうか?
想像は容易かと思います。

社会化重視なら2カ月齢からトレーニング

コンパニオン・ドッグ先進国では、飼い始めの2カ月齢からパピーパーティなどに参加し社会化(しつけトレーニング)開始します。
とある北米のトレーニングに精通した行動学者の日本の講演で、「パルボウイルス感染症の関係で2カ月齢からのクラス参加は危険では?」という参加者からの質問に対して、「パルボウイルス感染症で亡くなる犬と、トレーニングに失敗し安楽死させられる犬とどちらが多いか、それを考えればどうすべきかわかる」と、その行動学者は答えていました。

コンパニオン・ドッグ先進国では、ブリーダーからの直接入手が一般的です。ブリーダーの手から離れ、新しい飼い主の元にやって来るまでの、移動中における感染のリスクはない。
そして、感染していない個体がパピーパーティなどで集まっても、新たな感染は起こらない。
一方日本では、ペットショップで入手するのが一般的。ブリーダーからペットショップまでのその流通のプロセスにおいて、いくつかの拠点を経由している、すなわち離合集散しているケースが少なくない。
コロナ禍においては人流をどう減らすかが重要、と叫ばれます。これは、無症状者(キャリア)たちの移動、離合集散が感染増につながるからです。

いくつかの拠点を経由している日本のパピーたちは、感染症のキャリアである可能性がゼロではないのです。キャリアかもしれない個体がパピーパーティなどで集まるのは、危険です。
しつけに失敗して安楽死させられる犬も日本にはいませんし、こうした入手経路の違いもあり、先の行動学者の話をそのまま日本に当てはめることはできません。
とはいえこの行動学者の話、感染予防優先か、社会化(しつけのトレーニング)優先か、その折り合いのつけ方をどうするか、という話そのものです。
日本なりの折り合いを探るしかない、ということなのです。

Can! Do! Pet Dog Schoolのインストラクター川原が、ドイツのトレーニングスクールへ視察に行ったときのひとコマ。3カ月齢未満のパピー(ほとんどが大型犬のパピー/ワクチンは1回目接種のみ)が基本参加している
Can! Do! Pet Dog School

日本の場合の折り合いのつけ方

日本の場合、2カ月齢の犬がパピーパーティなどで集まるのはリスクが伴う、かといって4カ月齢からの社会化スタート(しつけ教室参加)では遅すぎる。
ではどこで折り合いをつけたらいいのか。

私は22年前、しつけ教室を開講するときに獣医師と徹底的に議論して、この折り合いをつけました。結論は、家に迎え入れて2週間経過かつ2回目のワクチン接種後2週間経過しているというものでした。
パピーの感染症の発症は、家に迎え入れてから2週間以内。その間、2回目のワクチン接種を済ませ2週間経過していて、獣医師の健康診断も受けていて問題がなければ、そのパピーは感染症のキャリアではない。
教室を始めて22年、関わったパピーたちは数千頭。
その折り合いのつけ方は間違っていなかったようで、自ら運営している教室のみならず、動物病院や行政の依頼で開催した教室でも、3回目のワクチンが未接種ということが原因の感染症のトラブルは、今まで一例も起きていません。

感染症予防との折り合い……、
ところで、コロナの方の折り合いはいつつくのでしょうかね。

2回目のワクチン接種前でもクライアント限定で、直前の検便と診察を行い、パピーパーティへの参加を認めている日本の動物病院もある
Can! Do! Pet Dog School

文/西川文二
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can! Do! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『子犬の育て方・しつけ』(新星出版社)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!トイプーぐらし』(西東社)など。パートナー・ドッグはダップくん(16才)、鉄三郎くん(12才)ともにオス/ミックス。

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