犬が好き
UP DATE
伸びるリードは注意してと、あれだけ言っているのに……|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.102
伸びるリード(伸縮リード)を散歩に使うのは、本当はNG。伸びるリードは安易に使うと危険だと、以前このコラムでもお話しました。ところが、正しい使い方をしていたにもかかわらず、西川先生の友人が伸びるリードで大ケガをする事態が発生。先生が再び注意を促します(編集部)。
「そう言うと思った。でも文二が言っていた注意点は守ってたんだよ。それが……」
私(文二)の苦言に対して、そう口にするのは友人のS。
Sは伸縮リードを使用しているときに転倒、運悪く手首の骨を折ってしまったのです。
当コラムVol.26でも、伸縮リードに対する注意喚起を行っています。
当然ですが、スクールの生徒さんや犬と暮らしている友人などにも、同様の注意喚起をしている。
それでも事故が起きた。
そこで今回、改めて伸縮リードに対する注意喚起を致したいと存じる次第です。
注意は守っていた
通常のお散歩では使用しない(伸縮リードでは拾い食い、飛び出し事故、勝手な排泄を防ぐことができない)、長い距離を離れるマテの練習や長い距離からのオイデの練習、または取ってこいなどのボール遊びの際に、つけ替えて使用する。
使用する際は、そのリードの長さの範囲はノーリード状態と考え、他人や犬連れがいないことを確認して使用する。
リードがゆるんだ状態のままにすることは犬や人に絡まることがあり危険、ゆるんだ状態で急に巻き上げることもムチに打たれたのと同様のケガを負うことがあり危険。
犬がアウトオブコントロールになりそうになったら(例えばどこかに行きそうになったら)ストッパーを押し、犬をコントロールできる状況(合図に反応できる状況)ならストッパーを解除し、常にリードがゆるむ状態を作らないように使用する。
Sは、そうした注意を守って、犬とボール投げ(取ってこい)遊びをしていた。
リードがスムーズに巻き戻らなかった
気がつくと人が近づいてくる、Sは注意を守り伸縮リードのストッパーを押し、犬の動きを制した。そして犬を引き戻そうとリードを引く、犬はボールを追うのをやめこちらに向かってくる。
ストッパーが押されたままだと、リードがゆるむので危険。Sはストッパーを解除した。ところがストッパーを開放しても、リードがスムーズに戻らない。
ときどき引っかかってたるみが生じる。
そうした状況の中、犬はSの元に戻ってきた。
Sは気づいていなかった、リードが十分に巻き戻されていなかったことに、そして巻き戻されていないゆるんだリードが自分の足首にまとわりついていたことに。
Sは人がいなくなったことを確認して、先ほどのボールを再度取ってくるように犬に指示を与えた。
犬の体重は23kg。Sはリードに自分の足を払われ、転倒という結果に。
日頃のメンテナンスを怠らずに
リードのナスカン部分が金属疲労を起こしていて、あるとき壊れてリードが外れてノーリード状態に、あるいは胴輪のパッチンするプラスチック部分を犬が噛んでヒビが入っていたのを知らずに装着しその部分が壊れ、リードが外れノーリード状態に。そういった話も耳にします。
伸縮リードに限らず、道具は装着前の点検を怠らないこと。異常を感じたら、そのまま使用しないというのが肝要ということです。
「こういうこともあるので、ぜひとも広く知らしめて」という、Sの遺志もあり……いや死んではいないので意志ですが……その意志もあり、今回改めて伸縮リードの注意喚起をコラムに取り上げた次第です。
みなさま、くれぐれもご注意のほどを。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
UP DATE