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犬の散歩で安易に「伸びるリード」を使うと危険が。本当の使い方とは?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.26
今回は、伸びるリードのお話。伸びるリードは多くの飼い主さんが愛用する人気アイテムですが、実はこれ、中~上級のトレーニングを積んだ犬と飼い主さん用のアイテムだと知っていますか? 安易に使うと危険がいっぱい! 散歩を安全に行うためにも、本来の使い方を見直してみてください(編集部)
そんな張り紙が、一時期、私の教室の周辺に何枚も貼られていました。
伸びるリードは、街中のお散歩で、結構な頻度で目にします。
使用している理由が、勝手気ままに犬が歩くので、普通のリードだとずっと引っ張られている状態。伸びるリードだとそうならない。といったもの。
でも、特に街中のお散歩で伸びるリードを用いるのは、事故や迷惑のもと。犬の安全も、周囲の安全も担保できません。
事故や迷惑のもととなる伸びるリード
命にかかわる拾い食いをさせてしまうかもしれません。
マーキングも防げません。マーキングは周囲にとって迷惑な行為です。
排泄を飼い主から離れた場所ですることもできるので、夜道では排泄した場所を特定できない、結果ウンチはそのまま放置。
被害を被った側の声としては、飛びつかれた、自分の犬が噛まれた、自分の周りを走り回られリードでぐるぐる巻きにされた、自転車で走っていたら出会い頭に犬が飛び出してきて転倒した、などなど。
もちろん、伸びるリードが悪いわけではありません。その使い方に問題があるのです。
伸びるリードはトレーニングツールとして
犬が突進しそうになったときにストッパーを瞬時に押し、リードが伸びないようにする。これだけでも、練習が必要です。できなければ、突進、噛みつき、飛びつくなどを、防げません。
首輪につける側の一端をご家族に持ってもらい、急に走り出してもらうなど、教室では犬に装着する前の事前の練習を十分に行うように指導します。
伸びるリードの扱いに慣れてきたら、広場や川原、ビーチなどでつけ替えます(移動は普通のリードで。街中などでのお散歩では伸びるリードは使用しない)
そして、伸びるリードいっぱい離れるマテ、離れた状態でフセ→オスワリ→フセの指示にしたがって姿勢を変える、離れた状態からのオイデ、などのトレーニングを行う。
伸びる範囲は、ノーリードと同じと考える
トレーニングは、7メートル伸びるリードだったら7メートル以内に人や犬がいないことを確認して行います。
リードが伸びる範囲内の安全が確保できるのであれば、犬をリードの長さいっぱい走り回らせる、取ってこいなどの遊び、などにも活用できます。
さらに、どんな状況でも(他人や他犬、落ちているものなどを無視しての)オイデができるのであれば、公園内のお散歩などでも用いることができます。
「え? どんな状況でもオイデができるなんて無理」……ですか?
伸びるリードの発祥の地は、ドイツとされています。
リードなしでお散歩が楽しめるように飼い始めのときから確実なオイデができるようトレーニングする、そうした文化の中で生まれてきたツールということです。
そう、伸びるリードは、オイデがそもそもしっかりできる犬が散歩で使う道具なのですね。
まずは、どんな状況でもオイデができる。そのトレーニングをしっかりなさること(とはいえこれ、上級のトレーニングなのですけどね)。
公園内とはいえ伸びるリードでお散歩を楽しむのは、「それからの話」ということです。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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