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『101匹わんちゃん』『Dog Training 101』、海外では100じゃなくて101が多い理由 |連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.101

「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
犬の映画といえば『101匹わんちゃん』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。101匹の犬が登場する以外にも、理由があると考える西川先生。他にも海外では「101」という数字が、犬に関してもよく使われているとか。その理由とは?(編集部)

当コラム、おかげさまで前回100回目を迎えまして、今回は当たり前の話ですが101回目。
101回目なので、今回は101がらみのお話しということで。
さて、101。どうも英語圏(アメリカ?)の方々は、この数、字面が好きなようですね。
まず思い浮かぶのは、ダルメシアンがわんさか出てくるあのアニメ映画。
あれを見たのは、小学校低学年の頃だったのでは、いや幼稚園に通っていた頃かも。映画館で見た記憶があります。
なんで101匹なのか。101匹の理由がついぞよくわかりませんが、とにかく101なのですね。101という数、字面がキャッチーなのでしょうか。
他には、書籍のタイトル。
英語の実用書には「101」がタイトルについているものが多い。
『101 Dog Tricks』『Dog Training 101』などなど、犬の書籍にもたくさんある。
もっとも、こちらの101には意味があるようで。
『101 Dog Tricks』。トリックは芸のこと。すなわち、犬の芸入門講座となる
Can! Do! Pet Dog School

書籍のタイトルの「101」の意味

「100の法則」「名著100」「〇〇100選」など、日本だと100が多いのですけどね。英語だと101。
この101の意味するところは日本語でいうところの「いろは」、すなわち「入門講座」「初級編」ということらしい。
さしずめ「101 Dog Tricks」は「犬の芸のいろは(入門講座)」、「Dog Training 101」は、犬のトレーニングのいろは(初級編)」といったところ。

なぜ101が「入門講座」「初級編」なのかというと、アメリカの大学の1年生がまず受けるべき講座に101が使われているから。「PSYCH 101」とあれば、心理学基礎講座的なものを意味するらしい。
寺子屋や尋常小学校でまず学んだのが「いろはにほへと」だから、日本では入門編や基礎講座的な内容のものを「いろは」と呼ぶ、それと同じようなものですね。
101の先は、201、301という風に講義内容がレベルアップしていくとのこと。
ちなみに、書籍のタイトルのみならず101という数は、本の文中にも出てきたりします。
文中に出てくる101。「101 Things To Do With a Box」というエクササイズ名として
Can! Do! Pet Dog School

文中に登場する101

「101 Things To Do With a Box」
これ20年前に手に入れたクリッカートレーニングの冊子に出てくる、エクササイズ名。
直訳すると「箱と行う101(ひゃくいち)のこと」。

トレーニングの内容は、床に置いた箱を見る、箱に鼻をつける、箱の中を見る、箱を前足で押す、箱に鼻を突っ込むなどなど、特定の行動をほめるのではなく箱に対する行動のすべてをほめる(クリッカーを鳴らしてフードを与える)。
犬が箱に対して101もの異なった行動を示すのかと、ずっと疑問に思っていたわけですが、「101が入門編、基礎編を意味する」ことを知って合点がいきました。

このエクササイズは自発的な行動をとらえて教えたい行動へと導いていくクリッカートレーニングの一手法「フリーシャーピング」、それをうまく進めるための「まずは……」的なものとして登場してくる。
ということは、その「101」の意味するところは「いろはのい」なのでしょう。
「101 Things To Do With a Box」とは、すなわち「まず行うべき箱にできること」というニュアンスかと(たぶん)。
「101 Things To Do With a Box」というエクササイズが出てくる、クリッカートレーニングの小冊子(クリッカートレーニングに関しては、コラムVol.20参照のこと)
Can! Do! Pet Dog School

ポジティブマインドが確認できる「101 Things To Do With a Box」

「101 Things To Do With a Box」はこれ自体、何かを教えるトレーニングという類のものではありません。何をすればほめてもらえるかを犬が考え行動する、これでなければこれですか、それともこれですかという自発的な行動を促すためのエクササイズです。
このエクササイズ、試しに行ってみるとおもしろいことがわかります。

訓練、コマンド、号令、命令というワードを重要視しているトレーニングをしてきた犬は、箱に対してのアプローチを自ら取ろうとしません。飼い主から離れずに指示待ちをしてしまうのです。もちろん叱られて育てられてきた犬も、何も行動を起こそうとしません。
コラムVol.21でお話しした、ポジティブマインドの犬か、ネガティブマインドの犬かが、わかってしまうのです。
逆に、ネガティブマインドの犬を、このエクササイズを進めることで、ポジティブマインドの犬に変えていくことができる、ということでもあるのです。

あらら気がつくと、101とは関係ないお話に変わってきてしまいましたね。101がらみの話も尽きてきたということでしょうか。
ということで、今回の101回目のコラムは、このあたりでお開きに。
箱を床に置き飼い主は箱から離れる。あとは犬がその箱に対するアプローチを待つ。箱に対して行動を起こさなければ……。ほめ言葉を理解している犬なら、クリッカーがなくても確かめることが可能
Can! Do! Pet Dog School
文/西川文二
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can! Do! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『子犬の育て方・しつけ』(新星出版社)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!トイプーぐらし』(西東社)など。パートナー・ドッグはダップくん(16才)、鉄三郎くん(12才)ともにオス/ミックス。
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