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【獣医師監修】トイレの悩みを楽にしたい!老犬の介助と便利グッズ
犬も長く生きて老犬になると介護が必要になる場合があります。老犬介護の基本的な考え方やトイレなどの介護方法、経験者に聞いた購入して便利だったグッズについて紹介します。これから介護が必要になる人も、現在介護中の人も、お世話の参考にしてください。

石田 陽子 先生
石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
●経歴:ぬのかわ犬猫病院本院副院長/ぬのかわ犬猫病院中田分院院長 など
●資格:獣医師
●所属:日本小動物歯科研究会/比較歯科学研究会/日本獣医動物行動研究会
老犬介護の基本の考え方とは?
老犬介護の心の準備をする
しかし、“老犬はできないことが増えてくるのが当たり前”なのです。犬が年をとるとどのようなことができなくなるのかを知り、心の準備をしておけば、余裕をもって愛犬の介護ができるのではないでしょうか。
介護とは、犬ができなくなったことを手助けすること
しかし、加齢によるものだった場合は、飼い主さんがこの先、手助けする必要があるでしょう。
老犬介護の形はさまざまです。愛犬の状態や好み、飼い主さんの生活スタイルなどに合った方法を見つけ、無理せずに取り入れていくことが大切です。
うまく排泄できないストレスが!症状別に介護法を見てみよう
思いどおりに排泄できないことは、犬にとってもストレスの原因になることがあります。また排泄の失敗から体を汚して皮膚病を起こしたり、排泄の必要なときにうまく出せなかったり、免疫力の低下から膀胱炎などの病気にかかったりするおそれもあります。
排泄の際の汚れやニオイは飼い主さんの悩みの種になることもあるので、飼い主さんの暮らしの快適さを守り、愛犬の病気予防と健康状態に合った介護方法を見つけることが大切です。
ふらついて排泄の姿勢がうまく取れない場合
そして排泄の際は、後ろ肢が震えて排泄の姿勢がとり辛くなった愛犬のために、お腹や腰のあたりを支えてあげてください。飼い主さんが直接手で支えても大丈夫ですが、介護用ハーネスを使用したり、タオルやマフラーをお腹の下にくぐらせたりして体を支えてあげると、飼い主さん自身の負担が減らせるでしょう。
ふらつきながらも自由に行動している場合
・サークルなどで区切った中に愛犬の居場所を作る
・複数トイレを置く
・ペットシーツを敷き詰める
失禁が続くようになった場合
犬専用の紙おむつは、ペットショップやドラッグストア、ホームセンターなどで購入できます。犬用は少し高めですが、人の赤ちゃんが使うおむつにしっぽの穴をあけて使用したり、尿取りパッドを重ねたりすると、紙おむつ代の節約になるでしょう。
紙おむつや尿取りパッドは蒸れやすいので、使用する場合は陰部や皮膚のかぶれに注意しながら、こまめに取り換えるようにしてください。
寝たきりになった場合
愛犬の体にオシッコが付着したままにしておくと、皮膚炎やニオイの原因になるので、排泄後はウェットティッシュやドライシャンプーを使ってキレイに拭いてあげましょう。
また寝たきりになると血行不良になって床ずれが起きやすくなるので、適宜寝返りを打たせる必要があります。床ずれ防止マットやクッションを使うと、寝返りを打たせたときの負担を軽くすることができるため、寝たきりになったらすぐに用意するとよいでしょう。
自力で排尿や排便ができなくなった場合
・排尿の補助
下腹部をさすって刺激します。なかなか出ないときは、下腹部の膀胱のあるところをやさしく両手で挟んでお尻側に押して圧迫してあげましょう。
オシッコが膀胱に残っていると細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎などの病気になってしまうことがあるため、できるだけすべて出し切るようにしてあげたいです。
・排便の補助
排便を促すためには、肛門付近の筋肉を刺激する必要があります。
まずはしっぽを持ち上げて肛門を囲む筋肉を手で軽くもみます。肛門の方に押し出すようにもみほぐすと、便が出やすくなります。
排泄の介助以外に、飼い主さんができること
愛犬の体を清潔に保つ
毛を短くしても汚れが付着しないわけではないので、排泄後は、濡らして固く絞ったタオルやペット用のウェットティッシュで、汚れを拭き取ってあげてください。
家の中を清潔に保つ
フローリングの場合
- 雑巾やタオルで拭く前に、ペットシーツでオシッコなどの水分を吸収する
- その後、洗剤を使ってタオルや雑巾などで床を拭く
カーペットの場合
- ペットシーツで水分を吸い取る
- タオルなどで汚れを拭き取る
- 仕上げに重曹をまいて、1~2時間ほど置き、後に掃除機で重曹を吸い取る
トイレの介護に役立つグッズ8選
さて、ここで、犬の介護を体験したmakiさんに、実際に使えて便利だったアイテムを教えてもらいました。makiさんは、現在4頭のゴールデン・レトリーバーと暮らしています。愛玩動物飼育管理士2級、JKC愛犬飼育管理士、ホリスティックケアカウンセラーの資格をもち、これまでに補助犬の繁殖ボランティアや寝たきりの犬達の介護、保護犬の活動などを経験されています。
「私が、初めて寝たきりとなった大型犬の介護をしたときは、排泄時に自力で立てないので支えながらサポートしたり、おしっこやうんちで体が汚れてしまうなど排泄のお世話に苦戦しました。何頭も経験していくうちにさまざまなグッズを活用するようになり、お世話が前よりずっと楽になりました。介護の必要となった犬のお世話で実際に役立った大型犬の排泄ケアグッズをご紹介します」
ペティオ (Petio) ずっとね 紙おむつ
【Amazon】ペティオ (Petio) ずっとね 紙おむつ 中型犬用 2L 価格585円 (税込) ※2020年11月の記事制作時
寝床や室内がおしっこやうんちで汚れてしまうとお部屋の掃除も大変になります。できるだけオムツをつける時間を減らしたいと、犬にオムツをつけることに最初は抵抗がありましたが、オムツの着用で排泄のケアがとても楽になりました。ただし寝たきりの犬に長時間オムツを履かせていると、皮膚かぶれやムレ、床ずれの原因となってしまうので、夜間やお留守番時、少し目を離している間などに活用するととても便利です。
寝たきりになると筋肉が落ちて太腿付近に隙間ができて横もれすることがあります。ぴったり合ったサイズでないと漏れの原因となってしまうので、サイズ選びを慎重にすることをおすすめします」
デオシート しっかり超吸収 無香消臭タイプ
【Amazon】デオシート しっかり超吸収 無香消臭タイプ スーパーワイド 23枚 価格2,299円 (税込) ※2020年11月の記事制作時
大型犬のおしっこは量も多く、横になって腰を床につけたまま排泄をすると、背中付近までおしっこがついて、体が不衛生になってしまいます。犬があまり動かないときはオムツをしていると安心ですが、寝床をはうように動き回るとオムツがずれて隙間からおしっこが漏れてしまうこともあります。
この対策として、できるだけ体の汚れと寝床の汚れを最小限に抑えるために、犬の体の下にペットシーツを敷いていました。いろんなメーカーのペットシーツを試しましたが、おしっこの戻りと広がりが少ないデオシートの新聞紙見開きの大きなサイズは、多少動いてもペットシーツで吸収してくれるので安心でした。車で病院へ向かう際にも体の下に敷いておくと車内が汚れないのでおすすめです」
人用の防水シーツ(シングルサイズ)
少しビニール感が強いものだったので、おしっこをした際に体についてしまいますが、寝床やベッド、日中過ごしている場所におしっこが染み込まなくて済むので大変助かりました。
防水シーツの上に寝かせておくと、寝床をお掃除する際にシーツの角と角を引っ張ることで、少しだけ体を移動させることができたので、お掃除の際にも抱きかかえずにタオル交換ができました。小さく折り畳めるので、犬の介護以外でも泥などで汚したくない場所に使えるなど、持っておくと便利なアイテムです」
洗えるペットシーツ
人用おむつ
パンツタイプは取り換える際に両側をハサミで切って交換すれば、汚れが体につきません。しっぽ用の穴からポリマーがこぼれてしまうので、少し太めのマスキングテープで止めていましたが、作業に時間がかかりました。硬いものが切れるような刃が太めで切れ味の良いハサミで力を入れて押し切ると、切り口が縮んでポリマーが出にくくなるので、多少のこぼれは気にせずテープを使う箇所も少なくなりました」
速乾 ソフトメッシュ 防水シーツ(セミダブル)
速乾 ソフトメッシュ 防水シーツ[掛け布団カバー/セミダブル] 170x210cm 価格3,480円(税込) ※2020年11月の記事制作時
いつものベッドをこの掛け布団カバーで丸ごと包んでチャックを閉じて、はみ出た部分をベッドの下に折り返せば、大型犬用の大きなサイズのベッドも、人用の折り畳みマットも感触はそのままで防水仕様になります。防水生地とそうでない布生地と裏表どちらも使えるのですが、乾くのが早いので洗濯時も助かります。さらさらしているので犬が嫌がる様子は全くありませんでした」
ペット用ウェットおしぼり
ペット用身体拭き使い捨ておしぼりタオル ワンダータオル 価格2,341円(税込) ※2020年11月の記事制作時
ウォータレスシャンプー
【Amazon】A.P.D.C. ウォータレスシャンプー 200ml 価格1,650円 (税込) ※2020年11月の記事制作時
愛犬と末永く楽しく過ごすために
日本の飼い犬の寿命が年々長くなっているいま、愛犬と末永く楽しく過ごすためにも、病気の予防や治療だけでなく、愛犬が高齢になったときの介護についても、早めに考えて準備しておきたいですね。
今回紹介したようなことを毎日すべてやろうとすると、飼い主さんにかなりの負担がかかり、ストレスがたまってくるかもしれません。飼い主さんのイライラが愛犬に伝わってしまうと、かえって落ち着きをなくしてしまうので、ストレスをためないように無理せずできることから始めてみましょう。最近は介護を得意としたペットシッターさんや施設もあります。またかかりつけの病院に少し預けるなどして、飼い主さんの休む時間もうまく作ってください。
シニア犬になると、排泄の不便さだけでなく、夜鳴きや認知症の症状もあらわれることがあります。
夜鳴きや認知症のお世話について知りたいかたは、こちらの記事も参考にしてください。
文/こさきはな
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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