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いぬのきもち【獣医師監修】シニア犬介護のポイントとは? トイレの介護法や夜鳴きの対策も

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犬も長く生きて老犬になると介護が必要に。今回は老犬介護の基本的な考え方や、食事、散歩、トイレなどの介護方法について解説します。また、夜鳴きや認知症などの困りごとの対策についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。



監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)

老犬介護の基本の考え方とは?

なでられる犬
getty

老犬介護の心の準備をする

犬は高齢になると、体だけでなく行動にも変化が出てきます。そんなとき、飼い主さんは「どうして今までできていたことができなくなったのだろう?」と不思議に思ったり、不安に感じたりするかもしれません。しかし、“老犬はできないことが増えてくるのが当たり前”なのです。犬が年をとるとどのようなことができなくなるのかを知り、心の準備をしておけば、余裕をもって愛犬の介護ができるのではないでしょうか。

介護とは、犬ができなくなったことを手助けすること

愛犬の行動の中で、今までできていたのにできなくなってきたことを見つけたら、まずは体に異変がないか、痛がっている部分がないかなど確認しましょう。治療により違和感や痛みがなくなれば、これまでの生活に戻れるかもしれません。
しかし、加齢によるものだった場合は、飼い主さんがこの先、手助けする必要があるでしょう。老犬介護の形はさまざまです。愛犬の状態や好み、飼い主さんの生活スタイルなどに合った方法を見つけ、無理せずに取り入れていくことが大切です。では、老犬介護のポイントを見ていきましょう。

食事の介助について

エサと犬
getty

食事介護の重要性

老犬になると、元気そうに見えても、噛む力や飲み込む力が弱くなったり、食べる姿勢を保ちづらくなったりすることがあります。食も細くなり、消化機能も衰えがちに。そうなると必要な栄養素がとれず、筋肉量も落ち、免疫力の低下や貧血を招くことも。愛犬の食べる力が弱くなった様子が見られたら、しっかりと栄養を消化吸収できるように手助けすることを考えましょう。


犬の様子飼い主さんができること
食が細くなった・小分けにして食事の回数を増やす・フードをふやかす・消化吸収のいいフードに変更する
食べる姿勢が取りづらそう・犬の食べやすい高さに食器を置く・食事台の前に滑り止めのマットを敷く・食べている間、飼い主さんが後ろから支える
噛む力が弱くなった・フードをふやかす・フードをすりつぶす・ペースト状の介護食に変える
何も口にしなくなった・口当たりのいいものや愛犬の大好物で食欲をわかせる

散歩について

リードと犬
getty

散歩の重要性

散歩は老犬にとっても大切です。毎日、適度な散歩をすることによって筋力を維持し、健康で長生きできる体をつくります。また、好きなことができる場所や楽しい場所を歩けば、脳が活性化されてよい刺激にもなります。そのため、愛犬の歩く力が弱くなっても、飼い主さんが手で支えたり、歩行補助器具などを使ったりしてサポートしながら、愛犬の体力に合った散歩をなるべく続けられるように工夫してあげましょう。ただし、老犬は歩く力だけでなく、聴力や視力も衰えて急な物音に驚いたり障害物につまずきやすくなったりすることがあります。もし、愛犬にこのような様子が見られたら、散歩を安心して楽しめるように、静かで障害物の少ない道を選びましょう。

歩くときによろけるようになったら

愛犬のペースに合わせて歩くようにしましょう。よろけてもすぐに抱っこせず、ひと休みさせて再び歩きだすようにします。

もし尻もちをついてしまったら

① 犬の後ろに回り込み、両手で腰を支えて上に持ち上げます。
② 次に後ろ足の裏が地面につくように下ろし、歩けるか様子を見ます。よろける様子が続いていたら、腰を支えて歩きやすいようにサポートしましょう。

後ろ足に力が入らなくなったら

補助器具やタオルを使って支えます。タオルの大きさは小型犬ならフェイスタオル、大型犬ならバスタオルがよいでしょう。大型犬の場合やタオルが前にずれてしまう場合は、タオルに穴を2つあけて足を通すようにすると、使いやすくなるかもしれません。

タオルを使った犬の支え方

① タオルを犬のおなかの下に通したら、犬側の手でタオルを束ねて持ち、腰を持ち上げます。このとき、後ろ足が地面につくように持ち上げるのがポイント。
② もう片方の手でリードを短く持ちます。犬が前足を使って一歩進んだら、後ろ足を浮かせ気味にし、前足の動きに合わせてついていきましょう。

犬の歩行補助器具には、歩行補助ハーネスや車椅子があります。歩行補助ハーネスはタオルと同じように後ろ足を支えて、犬のペースに合わせて飼い主さんが一緒に歩く場合に使います。車椅子は前足が元気に動かせて、犬が自由に自分の力で動きたがる場合に使用してみるといいでしょう。完全に歩けなくなる前から使用すれば、リハビリの効果も期待できそうです。

前足も後ろ足も力が入らなくなった場合

前足・後ろ足ともに支えられる歩行補助器具を使う

①前足と後ろ足をそれぞれベルトで支え、4本の足が地面につくように犬の全身を持ち上げます。
②犬が足を動かしたら、そのペースに合わせて、犬の体を前方に移動させましょう。無理せず短い距離をゆっくり歩かせるようにしてください。

犬用カートの利用

支えて歩くのが難しいようなら、犬用カートなどに乗せて、好きな場所まで連れていってあげるのもよいでしょう。それだけでも、犬にとっては楽しい散歩になるものです。

困りごと① 老犬の排泄の介護について

粗相しちゃった犬
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うまく排泄できないことがストレスに

老犬になると徐々に筋力が衰えるため、中腰の姿勢がうまくとれず、今までどおりに排泄ができなくなることがあります。思いどおりに排泄できないことは、犬にとってストレスの原因になりますし、皮膚病や膀胱炎(ぼうこうえん)などの病気にかかるおそれも。また、排泄の際の汚れやニオイは飼い主さんの悩みの種になることもあるでしょう。排泄の介護に関しては、飼い主さんの暮らしの快適さを守り、愛犬の病気予防と健康状態に合った方法を見つけることが大切です。

ふらついて、排泄の姿勢がうまくとれなくなったら

足がふらつくと、トイレに移動する間、こらえきれずに粗相をしてしまうことがあるため、いつも休んでいる場所や寝床の近くに、トイレを移動しましょう。

ふらつきながらも自由に行動していたら

・サークルなどで区切った中に愛犬の居場所を作る
・複数トイレを置く
・ペットシーツを敷き詰める
などで、どこに排泄しても問題がないようにしましょう。

失禁が続くようになったら

粗相が目立つ場合や、長時間留守番させるときは、紙おむつを使用するのもよいでしょう。犬専用の紙おむつは、ペットショップやドラッグストア、ホームセンターなどで購入できます。ただし、紙おむつをつけていると蒸れやすいので、こまめに取り換えるようにしてください。

寝たきりになったら

・寝床のマットの上に防水加工のシートやビニールシートを重ね、その上にトイレシーツを敷く
・体の下に小さめのペットシーツを敷いておく。
・排泄後、ペット用ウェットティッシュやドライシャンプーを使って体をきれいに拭き、シートやおむつを交換する

寝たきりになると血行不良になって床ずれが起きやすくなります。床ずれを防ぐためには、適宜寝返りを打たせる必要があります。床ずれ防止マットやクッションを使うと、寝返りを打たせたときの負担を軽くすることができるため、寝たきりになったらすぐに用意するとよいでしょう。

自力で排尿や排便ができなくなったら

寝たきりになり、お尻周りの筋力が弱まると、排泄がしにくくなる犬もいます。

・排尿の補助
下腹部をさすって刺激する。なかなか出ないときは、下腹部の膀胱のあるところをやさしく両手で挟んでお尻側に押して圧迫。
オシッコが膀胱に残っていると、細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎などの病気になってしまうことがあるため、できるだけすべて出し切るようにしましょう。

・排便の補助
肛門付近の筋肉を刺激します。しっぽを持ち上げて肛門を囲む筋肉を手で軽くもみます。肛門の方に押し出すようにもみほぐすと出やすくなります。

排泄ができなくなった犬の介護は、初めのうちは難しいので、動物病院で指導してもらうといいでしょう。

愛犬の体を清潔に保つために

・しっぽを持ち上げ、肛門付近の毛をバリカンで内側から外側に向かってカットする
・排泄後、濡らしてかたく絞ったタオルやペット用ウェットティッシュで拭き取る

家の中を清潔に保つために

老犬は、思わぬ場所で粗相してしまうことがあります。手早く室内をきれいにできる方法を考えておけば、飼い主さんのストレスを減らせるかもしれません。

・フローリングの場合
①雑巾やタオルで拭く前に、ペットシーツでオシッコなどの水分を吸収する
②その後、洗剤を使ってタオルや雑巾などで拭く

・カーペットの場合
① ペットシーツで水分を吸い取る
② タオルなどで汚れを拭き取る
③ 重曹をまいて、1~2時間後に掃除機で重曹を吸い取る

困りごと② 老犬の夜鳴きについて

あくび
getty

夜鳴きの対応はどうすればいいの?

老犬の介護の中でも、大きな問題の一つとなるのが夜鳴きです。夜遅く、または明け方に大きな声で鳴き続ける場合もあるので、人の睡眠が妨げられたり、近所迷惑になったりと、飼い主さんにとってつらい悩みになることがあります。犬にとっても、夜鳴きはストレスを感じたり、体力を消耗したりします。 完全にやめさせることは難しいですが、少しでも減らせるように対応を考えるとよいでしょう。
老犬が夜鳴きをする原因はいくつか考えられます。愛犬の様子を観察して原因がわかったら、それに合わせた対応をしましょう。


夜鳴きの原因対策
病気やケガなどの痛み食欲に変化はないか、触ると痛がらないかなど、愛犬の状態を確認して受診を
不安水ふだんの居場所や寝床を飼い主さんのそばにする
要求・飼い主さんの負担にならない程度に応える
・トイレの場所や食事の時間を見直す
認知症・DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の入ったサプリやフードを利用する・動物病院と相談する

困りごと③ 犬の認知症について

犬の認知症ってどんな症状?

犬の認知症の症状は以下のとおりです。

□意味もなく単調な声で鳴く
□昼夜逆転する(昼に寝て夜は起きている)
□狭いところにもぐりこみ出られなくなる
□同じ方向ばかりに旋回する
□名前を呼ばれても無反応
□食欲旺盛でよく食べているのに痩せてくる
□トイレの失敗が多くなる

このような症状が1つ、または複数で見られます。飼い主さんの生活と愛犬の健康を守るためにも、認知症が疑われる場合は、早めに動物病院で受診しましょう。

認知症の症状を軽減させる工夫とは?

日常生活の中で、ちょっとした工夫をすることによって、夜鳴きなどの困りごとを減らすことができるかもしれません。

□日光浴をさせる


日光浴は体内時計をリセットさせる効果があるため、脳によい刺激を与えることができるといわれています。

□昼寝をさせないようにする


昼と夜が逆転してしまっている場合、なるべく昼間に起こしておくことが大切です。そこで、日中はこまめに声をかけてあげましょう。動ける犬には、おもちゃで遊ぶなどの刺激を与えるのもいい方法です。

□積極的に運動をさせる


筋肉の衰えや寝たきりを防ぐことは、認知症の進行防止にもつながります。無理のない範囲で散歩に出かけたり、おもちゃで遊んだりしましょう。また、外の音を聞いたり、室内と違うニオイを嗅いだりすることも、とてもいい刺激になります。

□こまめにコミュニケーションをとる


マッサージやボディケアなどのスキンシップで皮膚や足に刺激を与えることが、脳の活性化につながるといわれています。あまり動けない犬にとっては、やさしく名前を呼ぶ、ほめるなどの声かけだけでもいい刺激になるので、コミュニケーションをこまめにとりましょう。

愛犬と末永く楽しく過ごすために

白髪の女性と犬
getty

日本の飼い犬の寿命は年々長くなっています。これから先、愛犬と末永く楽しく過ごすためにも、病気の予防や治療だけでなく、愛犬が高齢になったときの介護についても、早めに考えて準備しておきたいですね。

飼い主さんのストレスにならないように!

今回紹介したようなことを毎日すべてやろうとすると、飼い主さんにはかなりの負担になり、ストレスがたまってくるかもしれません。飼い主さんのイライラが愛犬に伝わり、かえって落ち着きをなくしてしまうことも。できるだけストレスをためないように、無理せずできることから始めてみましょう。

※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。




監修/石田陽子先生
獣医師。川崎市の石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長。
おもに歯科・歯周外科診療と行動カウンセリングを行う。
愛犬は和音くん(オス・12才/4.7kg/ミニチュア・ダックスフンド

石田ようこ犬と猫の歯科クリニック

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