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犬の白目が目立たない理由と、犬の目の表情の読み取り方|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.152
犬の目は黒目がちで、白目が目立ちにくいと思いませんか? 今回は犬の白目に注目しつつ、犬の目の表情の読み取り方にも話題を広げます(編集部)。
犬も似たようなもの。
犬が何を考えているか、その本当の心のうちはわかりません(人間も同様)。ただ、今ハッピーなのかブルーなのか、リラックス状態なのかストレス状態なのか、ポジティブな心理状態なのかネガティブな心理状態なのかは、目を見ればわかります。
ポジティブな心理状態のときは、キラキラした目で飼い主を見つめる、といったところが主。バリエーションはそうはない。
一方、ネガティブな心理状態のときのバリエーションは豊富。いずれにしても目およびその周辺の変化はいろいろある(瞬きを増やす、目を細めるなど)。
いろいろあるので、今回は誠に勝手ながら注目するポイントをひとつに絞ります。
今回、注目するのは白目です。
人間以外の動物の白目は目立たない
目配せなどがそのいい例ですが、目の動きがわかる方が他者とのコミュニーションが円滑になり、集団として獲物を得るなどさまざまなことに対して有利に働くのだそうです。
人間は高度で複雑なコミュニケーションを必要とするがゆえに、進化の過程で白目を獲得していったと考えられているようです(白目を獲得していったので高度なコミュニケーションが可能になったのかもしれませんが)。
一方人間以外の動物の目は、白目が目立ちません。
白目があると目の動きがわかってしまい、獲物を得るのにも闘争するのにも逃走するのにも、モノを守るのにも不利に働くからです。
犬も通常では、白目はそれほど目立ちません。
白目が見えるときは緊張状態にあることも
犬の白目が目立つのは、鼻先を向けている方向とは別方向を見たいときです。
例えばそれは、物を守ろうとしているとき。守りたい物に鼻先を向け、物を奪う相手にも注意を払いたい、またはその逆、物を奪う相手に鼻先を向け守りたい物に注意を払いたい。
相手に見られていることを悟られないように相手に注意を払いたいときにも、白目を見せます。相手から視線を外そうと下を向くが、上目遣いで相手を見ようとしている。例えばそうしたときです。
上の2例はいずれも、犬は緊張状態にあるといっていいでしょう。
物を守ろうとしている場合は、手を近づけると攻撃をしてくることもありますので、注意が必要となります。
目を見開くのも緊張状態から
それは目を見開いたときを著したものです。人間の目は横長です。見開くとその横長の目が丸に近くなるので、そうした表現が生まれたわけです。
では、目を見開くのはどういったときか。それは、驚いたときや恐怖を感じたときです。
犬の目は横長ではないので、「目をむく」という表現の方がしっくりくるかもしれません。
そして目を見開くと、犬の場合は普段見えていなかった白目が見えたりします。
下の写真を見てください。奥の犬は耳を大きく寝せ目を見開いています。
「わぁ、何者、目の前にいる相手は、怖いの? 優しいの?」
相手に驚き、不安を感じている。リラックスとは程遠い、緊張(ストレス)状態にあることが伺えます。
緊張状態以外で白目を見せるときも
1つはフセの状態。それもアゴを床につけているフセ。このフセはリラックスしているときに見せる姿勢ですが、このときに飼い主が近づくと上目遣いで飼い主を見上げ、その結果白目が見える。
もう1つは、熟睡しているとき。
もっともこのとき(白目を剥いていても)、眼球がピクピク動いている場合は、眠りが浅い状態(レム睡眠)。足もピクピク動いたりしていれば、そのとき犬は夢を見ている可能性がある。
まぁ何かに追いかけられている夢を見ているのであれば、ストレスと無縁とは言い難いかもしれませんが……。
以上、「白目は心の窓」というお話……アレ?……いやいや「目は心の窓」というお話でした。
西川文二氏 プロフィール
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