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「震災で愛犬を亡くしても、その悲しみを誰にも言えなかった」被災者に寄り添うチームうーにゃんの活動を聞いた
今回は、不遇な状況に置かれた動物をレスキューする「チームうーにゃん」を結成した画家・絵本作家のうささんの活動について紹介します。
「震災で消えた小さな命」のためにできること
その悲しみを少しでも癒すために思いついたのが、亡くなった犬や動物たちの絵を描いて、被災された飼い主さんにプレゼントするプロジェクトでした。
うささんは、仕事を通じて知り合った画家、イラストレーターの方々に呼びかけて、飼い主さんから受け取った犬や動物たちの写真などをもとに丁寧に絵を制作することにしました。なかには愛犬の写真もすべて津波に流されてしまったという方も。そうした飼い主さんからは愛犬の特徴などをよく聞いて、何度も修正を重ねて仕上げたそうです。
そしてでき上がった絵は、「震災で消えた小さな命展」として、被災地ほか全国で巡回展示をすることに。うささんとプロの画家によって描かれた愛犬ほか動物たちの表情はどれも生き生きとして、生前の姿をそのままとどめたものでした。
「最終的に、被災された飼い主さんからの絵のご依頼は300件近くもきて、ボランティアで絵を描いてくださる画家の方たちも口コミで約100名が集まりました。このプロジェクトで皆さんの悲しみをやわらげる一助ができればと思いました。
また、避難できずに命を失った動物たちが数多くいたことを巡回展を通じて多くの人に知ってもらいたかった」とうささん。このとき描かれた動物たちの絵とそのエピソードは、うささんの著書『災害で消えた小さな命』で紹介されています。
災害時は愛犬と「同室避難」できることが重要
と愛犬がいっしょに避難所の室内に入れることが大切」と力説します。
東日本大震災では、愛犬を避難所の室内に入れることができず、屋外につないでおいたことから、津波によって亡くされた方が。また、動物たちと避難所に行けないため自宅にとどまり、命を落とされた方も。うささんはこれを教訓に、「ペット同室避難」のガイドラインを作り、各自治体へ働きがけをする活動もしています。
「このとき、現地で被災した動物たちを救う活動をしていた個人ボランティアさんたちと知り合い、今後はチームとして活動しよう、となって誕生したのが『チームうーにゃん』です」
写真/田尻光久
写真提供/チームうーにゃん
取材・文/袴 もな
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