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犬飼いの防災対策を専門家に聞いてみた〜その3【穴澤賢の犬のはなし】

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犬飼いの防災対策を専門家に聞いてみた〜その3

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少し前に、防災の日に因んで日頃から心がけている防災対策について書いて欲しいと言われたのがきっかけで、実は『特別なことは何もしていない』ことに改めて気がついた。そこで、大吉と福ちゃんを引き連れて「動物と共に避難する」ための情報提供やサポートを行っているNPO法人「アナイス」の代表・平井潤子さんに話を聞きに行ってみた。
今回はアナイスの提唱する3つのRの最後の話。

ペットとの避難には究極の選択が

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NPO法人アナイス代表:平井潤子さん(写真左)

穴澤:阪神大震災のときの話なんですけど、当時三ノ宮に友達が住んでいたんです。で、連絡なんか全然取れないから、大阪からとりあえず原チャリにカレーの材料と水を積んで行って。あの高速道路が倒れている道の脇をのろのろ走って。

平井:そうなんですか。

穴澤:実際行ってみたら友達はサングラスを頭に引っかけて「おう!」とかいって元気だったんですが(笑)。でも住んでいたマンションは倒壊のおそれがあるからと親がやっていた寿司屋の座敷で一時的に暮らしていたんです。それで友達といっしょに三ノ宮の駅前がどうなっているか見に行ったら、ビルがドーンと倒れていて。

平井:倒れていましたね。

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穴澤:そのときに役所にも行ってみたんですが、すごいんですよ。人が押し寄せて怒号が飛び交っていたりして。それを役所の人が一生懸命に対応していたりして。でも役所で働いている人だって、家が壊れた人とかいたはずなんです。

平井:この前の東日本大震災でも陸前高田市の職員の4割くらいの人が被害にあってらしたみたいで、大きな災害になると自治体とか愛護団体もいっしょに被災するということがあるんですね。そんなときでも自治体の職員さんたちは使命として人を助けなければいけないという面はあるとは思うんですが……。

穴澤:そうなんですが、同じように被災しても助ける人と助けてもらう人に分かれるんだなと。自分も大変なのに人を助けようとする人がいたり、文句ばっかり言っている人がいたり。そのときに、俺は少なくとも文句ばっかりいう側の人間にはなりたくないなと思ったんです。

平井:お年寄りの中には本当に支援を必要としている方も実際いらっしゃって、支援に頼らざるを得ないケースも実際にあったりしますね。私たちの立場からすると何とも言えない面もありますが、自立支援も救援側は考えておかなければいけないのかなと思っています。

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穴澤:ちょっと話はそれるんですが、これは実際にあったケースで、津波が来る前に小高い丘に避難していた人たちのところに、ヘリコプターが救助に来たんですって。で、そこに犬連れの人がいて、犬は連れて行けないと言われて、泣く泣く犬を置いて避難した人がいたそうです。自分だったら、どうするだろうなと。

平井:難しい問題ですよね。それこそ、その人の考え方というか。

穴澤:後日談として、その犬は津波では亡くならずに、しばらく放浪していたそうなんですが、そういうシチュエーションってある意味究極の選択なので、自分だったらどうするかは考えておかないといけないなと思いました。

平井:やっぱり子どもや家族のために置いていくのか、それともいっしょに残るのかは最終的な判断かもしれませんね。これはあまり簡単には議論できませんけど。

穴澤:正解はないと思います。その人にはその人の事情があるでしょうし。でも僕は残るほうを選ぶと思います。大吉と福ちゃんが大切だからというのももちろんありますが、それで自分だけが生き残っても後味が悪いから(笑)。

平井:なるほど。

穴澤:実際いざギリギリの状況になったらわかりませんけどね。でもこいつらを置いてはいけないと現段階では思っています。

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平井:ペットを飼うことを突き詰めて考えると「ペットと最後までいっしょにいられるか」だと思います。たとえばある日突然、交通事故で自分が死んでしまった場合に残ったペットをどうするか。誰かに頼んであるとか、そういったことを考えられるかですね。ある意味では、天災もアクシデントも同じですよね。

穴澤:僕は前に独身のときに飼っていた犬(富士丸)のときは、数人に頼んでありました。いつ僕が死んでも大丈夫なように(笑)。

平井:ほかにも散歩仲間とかに、留守の間に何かあったら様子を見に行ってもらえるようなネットワークを作ってくださいとアナイスでは伝えているんです。

穴澤:たしかに。留守のときに地震なんかがあると本当に心配になりますから。

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平井:そういうことが3つのRの最後のひとつ「Responsibility(責任)」でもあると思うんです。この責任は、ペットに対してだけではなく、社会に対しての責任でもあります。たとえば犬が放浪して野犬化したりとか、警戒区域では実際にあった話なので。

穴澤:そうらしいですね。

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アナイスの提唱する同行避難に関するフローチャート(クリックすると別ウインドウで開きます)

平井:その一方で、ペットたちがいるから生きる力になっていることもあると思うんですね。ペットの存在というのは好きな人にとってはすごく大きいので。なんとかそういう人たちがペットといっしょに避難できるようにアナイスでは一応避難フローというのも作っているんですが、何かあってからでは遅いので、少しでも参考になればと思っています。飼い主さんとペットが、できる限り「飼い主共棲ライン」の流れに乗るためには、避難時・避難所・仮設住宅などの節目節目を、どのように乗り切るか、何を備えておけばいいのか、ぜひ考えてみてください。

穴澤:最初に言ったとおり、ダメなときはダメかもしれないですけど、こういうことを参考にしておくのは大切だと思います。今回はどうもありがとうございました。

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