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4歳になった福助へ「穴澤賢の犬のはなし」
4歳になった福助へ
タヌ吉こと福助が、2018年1月で4才になった。
千葉の動物愛護センターに収容される前の経緯は不明である福助の誕生日は、推定で2014年1月11日としている。その年のゴールデンウイークにわが家にやって来たわけだが、この連載ではそのあたりの話をほぼリアルタイムで書いてきた。
だから、昔から読んでくれている人は、最初は怯えて抱き上げることさえ困難だったのも、スピーカーの前でおしっこすることに悩まされたのも、破壊活動に手を焼いたことも「そういえば、そんなこともあったねぇ」と覚えているかもしれない。その福助が、もう4才なのだ。びっくりしてしまう。
RCサクセションの「ダーリンミシン」という曲の歌詞に、「お前の涙に苦しんだことが、卒業してしまった学校のような気がする」という一節があるが、まさにそんな心境だ。当時は本当に「なんでわかってくれないのか」とあれほど悩んだのに、今ではちょっと微笑ましいくらいの思い出になってしまった。
性格も、当時の怯えていた姿からは想像もつかないほど物怖じしない図太い奴になった。たしか大吉は2才ころから雷や花火、バイクの音に怯えるようになったが、福助は4才になる今も、何事にもまったく動じない。雷にブルブル震える大吉の横で、「ヘソ天」で寝ていたりする。
野良経験があるからか、何かあるとすぐおなかがゆるくなったり、皮膚がかぶれたりする繊細な大吉とは違い、福助は丈夫だ。そんな福助の1日の最大の楽しみは、私がビールをプシュッと開けたときにあげる「ルール」になっているおやつタイムのときだ。どう聞き分けているのかわからないが、ビールグラスを出しただけで、すっ飛んで来てキラキラした目を向けてくる。
そして、彼が一番愛しているのは、大吉かもしれない。もちろん私たち人間のことも好きに違いないが、大吉は別格らしい。大吉を洗うとき、姿が見えなくなると心細くなるのか、今でもキュンキュン泣いている。
ひとりっコ時代のある大吉とは違い、福助はひとりでいる時間がほぼない。必ず人か大吉がそばにいるのだ。たまにはひとりになりたいときはないのかと思うが、ないらしい。
4才になった福助に、何か言いたいことはあるだろうかと考えてみたが、何もなかった。元気でいてくれれば、それでいい。
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