先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。
昨年まではそうでもなかったが、今年の夏は八ヶ岳も確実に気温が高くなっていると実感した。そのため、私の仕事部屋についにエアコンを設置した。「エアコンなかったの?」と驚くかもしれないが、標高1450メートルでは朝夜20℃前後、昼間でも30℃いくかどうかという感じなので必要なかったのだ。
猛暑の影響がとうとう八ヶ岳に
それが今年、昼間に仕事部屋の温度計がちょいちょい28℃になるようになった。母屋は25〜26℃くらいをキープしているので、たぶん狭い部屋に私と大福がいるせいだと思う。湿度がそれほど高くないから人間は平気なのだが、福助が28℃を境にハァハァいいだす。
冬場に使っていたサーキュレーター(薪ストーブで暖められた空気を循環させるため)を扇風機代わりに使っていたけれど、この先もっと気温が上がると困る。手遅れになる前に手を打っておこうと導入することにした。使用頻度は多くないが、これでひと安心。
というように、八ヶ岳も確実に暑くなっている。それでも腰越(鎌倉市)時代は24時間エアコンフル稼働で、毎朝5時起きで散歩に行っていたのに、今は朝7時過ぎでも平気なことを考えるとずいぶん涼しい。
この前、用事があって横浜で一泊してきたが、尋常じゃない暑さだと感じた。電車から降りて徒歩5分の建物に入り、用が済めばまた徒歩5分で駅まで戻り電車に乗るという感じで、ほとんどエアコンの効いたところにいるにも関わらず、その移動の5分で汗だくになった。当然、犬と散歩している人なんて1人も見かけなかった。
涼しい長野においでよ
八ヶ岳に戻ってから大福を連れて再び
女神のテラスに行ってみると24℃で、子ども連れやカップルよりも、犬連れの人が圧倒的に多かった。あぁ、どこへも行けない犬の不満を解消するべく来てるんだろうなと思った。
実際にその日、「穴澤さんですか?」と声をかけてくれた人と話してみると、私の
インスタグラムを見て女神のテラスへ行ってみようと、埼玉県から犬を連れてやって来たとのことだった。「もう日中は庭に出すのも無理」と言っていた。来年、再来年はどうなるんだろうね。
「女神のテラス」から散策路を往復1時間くらいのところにある『
蓼仙の滝(りょうせんのたき)』に行ってみると、なんと滝周辺は22℃だった(起伏の激しい道で汗だくになったけど)。
近所にキャンピングカーで犬と全国を回っている人がいるのだが、その人曰く八ヶ岳(標高1400メートル)と北海道の富良野は同じくらいの気候だという。
北海道に行くのは何かと大変で時間もかかるけれど、都内から八ヶ岳なら車で約3時間ほど。それで富良野と同じか、それ以上に涼しいところに行けるなら、ずいぶんハードルは下がるのではないだろうか。
『
女神のテラス』(標高1800メートル)だけではなく、『
車山』(標高1900メートル)、『
入笠山』(標高1900メートル)、『
美ヶ原高原』(標高2000メートル)など、八ヶ岳には他にも涼しいスポットがたくさんある。
犬がどこへも行けず「最近つまんねーオーラ」を出し始めたら、ぜひ遊びに来てみてください。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。