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偽善の動物保護団体には気をつけようね、でも本当は。「穴澤賢の犬のはなし」

2018年12月のことだが、『 “殺処分ゼロ”を謳って虐待 偽善組織「ピースワンコ」が摘発された!(デイリー新潮)』という記事を読んで「あぁ、やっぱりか」と思った。広島にピースワンコ・ジャパン(PWJ)という動物愛護団体があるのことは知っていた。
※公開時から記事の一部の表現を修正しました
ただ、ペットの殺処分を扱ったNHKの『クローズアップ現代』で、PWJの代表が話しているのを見たときに少し疑問に感じたことがあった。「2017年に入ってきたのが7億円で、出ていったのが7億5000万円だからプラスではない」というくだりだ。
そのとき保護している1900頭という数も尋常ではないのだが、映像で見る限り、そんなに手厚く世話されていないようだったし、1棟5000万円というシェルターもそんなにかかるとは思えないプレハブに見えた。従業員も少なく、ボランティアに頼っているという。だから「それで7億円もかかるか?」と思ったのだ。
もしかしたら様々な経費がかかるのかもしれない。しかし、NHKの番組では少なくとも犬たちが快適そうには見えなかったし、だとすれば無理してまで過密に保護するのは間違っている。結局それで崩壊したら、犬がさらに不幸になるからだ。しかも運営するお金の大半が寄付だという。そのあたりに疑問を感じていた。
そうしたら、2018年の9月に『去勢手術せず堕胎薬を注射… 獣医師が明かす「殺処分ゼロNPO」の悲惨な光景(デイリー新潮)』という記事を読み、かなりひどいと思っていた。さらに、その告発の記事によると、3億円以上が使途不明だという。そうだとすると、不幸な犬を助けるというのは、本心ではないのかもしれない。
心底理解できないが、実は「怪しい」の動物保護団体は存在する。大半は頭が下がるような活動をしている団体だが、残念ながら一部には怪しい団体も紛れ込んでいる。どこがどうとは具体的に書かないが、これから寄付するときは、少しだけ調べてみてほしい。
私も不幸な犬や猫は少しでも減ってほしいという思いから、運営しているショップの売り上げからできる範囲で毎月寄付し、どこへいくら寄付したのか『報告』しているが、現段階では過去に取材した団体や、知り合いを通じて信頼できる団体に絞っている。今後、少しずつその輪を広げたいのだが、誤解しないでもらいたいのは怪しい団体はごく一部だ。でも表面上ではよくわからないから、気をつけている。寄付するなら、本当に犬や猫のために役立ててもらいたいから。

けれど本心では、そもそも動物保護団体の必要性がなくなる日が来ればいいのにと願っている。保護しなければいけない犬猫の向こうには色々な問題があるとは思うが、ほとんどすべては人間の事情であり、彼らの方から「私を飼ってくれませんかね?」とやって来るわけではないのだから。

※追伸
先日書いた記事について、初期にボランティアをしていた方から、残念ながらご指摘の通りで、最初の頃にいた志の高い社員さんもほとんど辞めましたとメッセージが届いた。実はこのような話は一人ではなく、記事を書く前から複数聞いていました。一応、報告まで。ただ、特定の団体を非難する意図ではなく、将来は動物愛護団体が必要なくなればいいのにというのが本心で書きました。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雪と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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