犬が好き
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犬を救うことは、自分を救うこと。障がいのある犬・未来ちゃんと「命の授業」
自分を好きになれば、じつは犬にも人にもやさしくなれる
今西さんは「命の授業」の中で、たくさんの質問を子どもたちに投げかけます。
大人には伝わりにくいことでも、子どもの心には敏感に伝わっている手ごたえがあるからだといいます。
だからこそ今回の授業でも、子どもたちにある重要な質問を問いかけました。
「麻里子さんが本当に助けたかったのは、誰ですか?」
その問いに「自分(麻里子さん自身)のこと!」という子どもたちの声が返ってきました。
もちろん麻里子さんは、目の前の事実として子犬の命を助けたかったでしょう。
でも心の奥には、「自分自身を救いたい。自分を救って自分を好きになれば、人にも犬にもやさしさや幸せを分けられるようになるから」そんな思いがありました。
自分を救うことがじつは人や犬の命を守ることにつながると説く今西さん。
今西流「命」の問いかけに反応する子どもたちを見ると、授業を続ける意義があると今西さんは話します。
授業が終わっても、子どもたちとの交流は続く
「命の授業」や著書の感想は、日々今西さんのところにたくさん届きます。
そのなかには子どもたちの悩みも多く寄せられるとのこと。
「きっと未来にはなんでも話せるんでしょうね。未来あてに届く手紙が多いんですよ」と今西さん。
本を読んだ子どものなかには、「命の授業」で影響を受けて獣医師を目指そうと決めた少年もいたそう。
その後彼は目標に向かって進学した際に、「未来ちゃんは自分の人生を変えてくれた」と、わざわざ会いにきてくれたそうです。
やさしさが実れば、捨てられる犬や猫はきっといなくなる
冒頭の小学校の児童たちからも感想文が届きました。
授業の際、未来ちゃんの姿を見て涙した児童からの感想文も。
皆、今西さんの問いかけに心を揺さぶられ、実際に未来ちゃんに触れることで、自分を好きになることや幸せになること、そして命について、おのおの思いをめぐらせたことが文面から伝わってきます。
「柔軟な心を持った子どもたちに伝えられる『命の授業』は、これからもずっと続けていきたいですね。
子どもたちの“やさしさの木”が花を咲かせ、たくさんのやさしさが実り、やがて大きな木になったら、きっと捨てられる犬は1頭もいなくなるはずです」
※各情報は2018年12月5日現在の情報です
出典/「いぬのきもち」2019年2月号『犬のために何ができるのだろうか』
撮影/浜田一男、取材・撮影・文/尾﨑たまき
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