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末っコ犬はみんなそうなのか?【穴澤賢の犬のはなし】

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気がつけば、福助はもう5才になっている。わが家に来たときは、トラウマを抱えた怯えた子犬で、克服したと思ったら大型犬の先住犬・富士丸をも上回る破壊活動を繰り返し、それが治まってからはただの能天気な男になったが、大人になったかというとそんなことはない。

犬の5才は人間だと

未だにオモチャを与えると大吉の分まで横取りして独り占めしようとするし、スキあらば大吉にけんかをふっかけているし(まったく勝てないが)、大吉をなでると必ず「オレも!」とすっ飛んでくる。そして、大吉の姿が見えないと不安がる。ようするに、やることなすことガキンチョなのだ。

諸説あるが、犬の5才を人間の年齢に換算すると30才をすぎたくらいではないだろうか。30才の男はもうちょっと大人だろう。種が違うので比べても仕方ないが、経験上5才の犬はもっと落ち着いている。実際、大吉の5才のころを思い出すと、その差は歴然だ。福助の優れている点は、大吉が怖がる花火や雷の音がしても、その隣で爆睡していることくらいだろうか。

わが家だけではなかった事実

やはりそれは育った環境のせいだろうか。血はつながっていないが、大吉のことを兄だと思っているようだし、大吉も福助のことを弟だと思っているのか、多少のわがままは許しているように見える。本気で怒ることもない。かといって、福助が兄を慕っているかというと、そうでもなく許してもらえることを知ったうえで、ただ甘えているような気がする。

思えば、人間の兄弟も似たところがあるのかもしれない。私も2人の姉がいる末っ子だが、姉を慕っていたかというとまったくそんなことはなかった。けんかを売ったりはしなかったし甘えたりもしてないが、好き勝手やっていた。そんな子ども時代の私を、姉は「こいつめ」と思っていたんだろう。今頃反省しても遅いが。

しかし種が違うのに、犬と人間の兄弟の関係が似ていることが不思議だ。犬にも個性があるし、わが家がたまたまそうなのかと思っていたが、先日複数飼いの方と話す機会があったので聞いてみたら「うちもまったく同じ!」と言うので驚いた。なぜ末っコの犬はこうなるのだろう。対して、心の広い大吉は偉いなぁと思う。

福助も心の中では、そんな大吉のことが好きで好きで仕方ないらしい。見ていてそれがわかる。そういう姿を見ながら、この関係が少しでも長く続くことを願ったりしている。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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