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不幸な犬を増やす間違った叱り方|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.5
さて、今回は、犬の殺処分を減らすため、保護された犬たちを新しい家族に迎えてもらうという活動のなかで見えてきた問題。人を本気で噛む犬は引き取られことは難しく、悲しい結果になる現実も。では、なぜ、人を本気で噛む犬がいるのでしょう。(編集部)
当連載で、2000年以前の犬の常識、しつけの常識は間違いだらけという話をしてきています。はてさて、これらの叱り方はどうなのでしょうか。真実か否か?
知っていますか? 環境省からのアナウンス
環境省が取りまとめとなり、改正動物愛護法が作られたのは2005年。この法律ができたことで、犬の販売方法などさまざまなことが変わっていきました。なかでも大きく変わったことのひとつに「殺処分減少への取り組み」があります。里親探しに力をいれるようになっていったのです。
里親探しに力を入れるなかで、ひとつの問題が見えてきました。人間を本気で噛みつく犬たち。彼らには、どうしても新しい飼い主を見つけることができない。
そして、本気で噛む犬は過去に先の罰を受けていた可能性が見られる、ということが。
ちなみに、首根っこを持ち上げる行為に関しては、行動学者のキャンベルが彼の著書で調査結果らしきものを記したことがあります。もちろん、母犬がやっているという根拠はない、というお話としてです。
なぜ本気で噛むようになってしまうのか
しかし、この正の罰には、「攻撃性を高めていく」リスクがあることも、動物の行動研究のなかでわかっているのです。
結果的に嫌なことがなくなる行動の頻度を高める。負の強化といい、これも学習の心理学で解き明かされている、動物たちの行動原則のひとつです。噛まれるリスクを排除したいのなら、嫌なことは起こさない、嫌がることは無理にしない、ということなのです。
リスクのない方法があるのなら、そちらを選択する
リスクのない方法を選択する。科学的なアプローチを導入するのであれば、叱る行為も然り。昔は叱るしか犬の行動の改善方法を知らなかっただけ。でも学習心理学にのっとれば、叱らなくても困った行動はリスクなく改善できる。
だったら、子犬が甘噛みしてきたらどうする? 叱らないでいいのか? そんな声も聞こえてきそうですね。では、そのあたりの話を次回にいたしましょう。
写真提供/Can ! Do ! Pet Dog School
西川文二氏プロフィール
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