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単語派?それとも文章派?【穴澤賢の犬のはなし】

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以前から感じているが、犬には2つのタイプがあると思う。1つは「単語派」で、もう1つは「文章派」だ。もちろん、犬が話すわけではない。

犬は目で訴えてくる

どういうことかというと、単語派は「遊ぼ」、「くれ」、「もっとくれ」、「やんのか!」と目で訴えかけてくるのに対して、文章派は「今暇なら、ちょっとこれ引っ張って遊ばない?」、「それ、1つくらいくれてもいいんじゃない?」というように視線から文章が伝わってくるのだ。

もちろん受け手側の感覚だと思うが、そのときによって変わることはない。常に訴え方のタイプが違うように感じる。前にも書いたことがあるが、福助は単語派で、大吉は文章派だ。

単語派・福助の場合

たとえば、私が刺し身を肴に晩酌していたとする。すると、福助は近くに来て目で「くれ!」と訴えてくる。いや、あげないから。

文章派・大吉の場合

対して大吉の質が悪いのは、「あのぉ、もう何日も食べてないんです。それ、ひと切れ分けてもらえませんか?」と、うそを織り交ぜてくるところだ。そんなことを言っているわけではないのかもしれない。が、目になんともいえない悲壮感が漂っている(意図的に漂わしている)。その視線に文章を当てはめると、それがしっくりくるほどに。

興味深いのは、揚げものや味のついたものは絶対もらえないことが分かっているのか、そういうときは決してアピールしてこない点だ(これはどちらも共通)。あわよくばおすそ分けがゲットできるかもというときを見極めて、悲壮感を漂わせてくる。結局負けてひと切れあげてしまうことになる(結果的に福助にもあげる)。

タイプの違いは生まれつき?

この単語派と文章派の違いは、ピンとこないかもしれない。でも犬と暮らしている人なら分かるのではないかと思う。昔から犬はすべて文章派だと思っていた。富士丸もそうだったからだ。けれど、福助と暮らしてから「単語派もいるのか」と知った。

ちなみにこれは年齢によるものではないらしい。幼いころは単語派だったが、成長するに従って文章派になるということはない。福助は6才になる今も単語派だし、大吉は幼いころから文章派だった。

そして、どちらが賢いという話でもない。福助だって物わかりがいいし、今では何の悪さもしない。ただ、演技をするという点では、大吉の方がズル賢いのかもしれない。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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