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検証、大福の距離感【穴澤賢の犬のはなし 】

犬と暮らしている人に「うちは見送りもお出迎えもしてくれないよ」と言うと、よく驚かれる。出かけるときは「置いていくの?」という顔をしたり、帰宅するとしっぽふりふりで喜んだりする犬が一般的らしい。何となく知っている。が、大福はしない。

外出後は観察される

私が出かける雰囲気を察知すると、大吉は寝室へ消え、福助が後に続く。帰宅したときも気配は絶対気がついているはずだが、寝室から降りても来ない。ただし、外出が6時間を越えてくると、帰宅したときに階段の上から見下ろされる。

夕方まで会わない2頭と私

その顔に「おかえり!」と歓迎しているようすはなく「どこ行ってたんだよもう」という抗議の色が見える。そのくせ、家で仕事しているときには好き勝手に寝室に行き、夕方の散歩の時間まで降りてこないことがある。
現に、これを書いている私の後ろに彼らの姿はない。なのに出かけたら「どこ行ってたんだよ」と抗議されるのはどうも腑に落ちない。いてもいなくても一緒だろ、なぜだ。そもそもあいつら、何やってんだろうと寝室を覗きに行ってみると……。

のんびり昼寝している

やっぱり。のんびり昼寝か。福助は寝起き丸出しの顔だし、大吉は振り向きさえしない。
まぁ、ちょっと肌寒い1階の仕事部屋より、3階のベッドの日だまりの方が快適だろうから、正解だとは思うが。

留守番とは違う感覚なのか

きっと留守番しているのと、私が家にいるうえで自由気ままに寝室で昼寝するのは違うんだろう。それはなんとなく分かるのだが、やっぱりどこか納得できない。
あ、昼寝の邪魔ですか。悪かったね。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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