その子はだぁれ？柴犬ももと謎の猫の出会い｜連載「柴犬ももと猫たち」vol.10

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柴犬ももと、黒猫の天。一緒に成長していく大切な日々｜連載「柴犬ももと猫たち」vol.9

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謎のニャンコ登場

それはとてもよく晴れた、とある初夏の日の事でした。

ももと朝の散歩を楽しんでいると、夫から「至急帰宅せよ」というメッセージとともに１本の動画が送られてきました。
それは、彼の足元にくっついて離れない一匹の猫の動画でした。

その子はだぁれ？

どうやら、見知らぬ猫が彼にまとわりついて離れないようなのです。
うちは田舎という場所柄もあり、野良猫がふらりとやってくることは珍しくもないのですが、普通は少し近づこうとしただけですぐに逃げてしまいます。ここまで人懐こい猫は初めてでした。
私達はとにかく急いで家へ帰ることにしました。

夫が帰宅していることを感じ取ったのか、はたまた謎の訪問者の気配をいち早く嗅ぎ取ったのか、家が近づくにつれ、ももも、グイグイとスピードを上げていきます。
やっと家に着く頃には、私たちはゼーハーゼーハーと肩で息をするほどでしたが、見知らぬかわいこちゃん（猫）を見た瞬間、その疲れもどこかへ吹き飛んでいました。

こんにちは。謎のニャンコです

小柄な体にしましま模様のその猫は、突如現れた犬のももに少し驚く素振りをみせましたが、それも最初のうちだけ。すぐに、「おかえり。遅かったね」と、まるで友達の家にでも遊びに来たかのようなまるで緊張感のない雰囲気でこちらを眺めていました。

一方のももはというと、天がうちに来た時と同様、今にも飛びつきそうなほどの勢いでその猫に詰め寄り、キュンキュンと切なくなき叫んでいるのでした。

あの子もおうちへ入れてあげようよ

とても人懐こく穏やかそうな猫とはいえ、この子がどこからどうやって来たのかわからない以上、気軽にももと接触させるわけにはいきません。
ももはこの可愛いお客様にご挨拶する間もなく、パパに抱きかかえられ嫌々するように家の中へ連れ戻されていきました。

謎の猫ちゃんを見ているももと天

それからのももは、猫ちゃんから片時も目を離すまいと窓際での熱心な張り込みを開始。
目が合ったと言っては「キューンキューン！」と騒ぎ、猫ちゃんが移動するとももも慌てて家の中を右へ左へ目まぐるしく走り回ります。

君はいったいどこから来たの？

しかしこの謎の猫ちゃん、どこかへ帰る様子もなく、いつまでたっても玄関や窓の前でのんびりとお昼寝をしたり毛づくろいをして過ごしています。
そして私が洗濯や何かの用事で外へ出ると、すぐにタタタッと駆け寄ってきてためらいもなくゴロンとお腹を見せるのです。
こんなに人懐こい猫は今まで見たことが、、、いや、ありました。

一匹だけ、この猫について思い当たる猫がいたのです。

もしかして・・・

実は以前、この子に見た目も人懐こさもとてもよく似た子猫がうちへ迷い込んできたことがあったのですが、あまりにそっくりだったので当初私は、あの時の子猫がまた迷い込んできたのだろうと信じて疑っていませんでした。
時間がたてば自分でお家へ帰るだろうし、もし帰らなくてもあの時の飼い主がまた探しにくるだろうと思っていました。

けれど、二日目が過ぎ、三日目になっても、この猫ちゃんがうちの前を離れることはなく、飼い主が探しに来ることもありませんでした。

私の思い違いだったのかしら？
でも、もし今日の夕方まで迎えが来なかったら、あのお家へ連れて行ってみよう。

それまであとほんの数時間。
次はいつ会えるかわからないから、たくさんなでなでさせてね。
そしていっぱいお話しをしよう。

そうやって、私たちは日が暮れるまでの時間を一緒に過ごしました。