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室内トイレの教え方|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.53
今回は、トイレの教え方に関するお話。西川先生によると、盲導犬の子犬を育てるパピーウォーカーさんのところでは、トイレのしつけの失敗がほどんどないのだそう! 一般の飼い主さんと、どう違うのでしょうか? それは、プロだからできるというわけではなく、「サークル」にヒントがあるようです(編集部)
排泄は目を覚ましたり、食事のあとにすることが多く、犬を見ていて犬がそわそわしだしたり、床面の匂いをクンクン嗅ぎ始めたら、犬をトイレトレーの上に。そこで上手に排泄ができたら、ほめてあげます。
これ、私がかつて百貨店でペットショップを営んでいたときにお客様に説明していた、今でもほとんどのペットショップが話すであろう、室内トイレの教え方です。
ほかにもトイレスペースを少しずつ狭めていく方法、クレート(プラスチック製のキャリーケース)を活用する方法など、2〜3の教え方が存在していましたが、一番面倒臭くなさそうなのが、この「サークル内にトイレトレーとベッド」という方法(=サークル飼い)でした。
しかしこの方法、すぐ覚える犬からなかなか覚えない犬までさまざま。確実性に欠けるのです。
トイレの相談に悩まされた日々
ショップの店頭に立っていて、トイレの相談はトップに上がっていました。すぐに覚えたというお客様はいいのですが、そうでないお客様が来店すると、「いやぁ、困ったな。またトイレの話かな」と、ちょっと憂鬱な気分になったものです。
私がペットショップの運営を生業にし始めたのは、1991年からです。
1994年からJAHA(公益社団法人日本動物病院協会)が主催する家庭犬しつけインストラクター養成講座を受講し始めたのですが、家庭犬(=コンパニオン・ドッグ)の育て方を知っている人物は日本にはいなかったわけで、当時、講師はアメリカの先生でした。
ただ残念ながら、家の中で靴を脱ぐ日本人の生活スタイルに合った、これはという室内トイレのしつけ方を、私は先生からちゃんと教わった記憶がありません(忘れているだけかもしれませんが……)。
欧米では、例えばドッグドアを設置し、排泄したくなったら庭へ、排泄を済ませたら戻って来る。そうしたことを目指して、屋外での排泄を端から教える。しかし、日本では事情が違う。
トイレに困らないパピーウォーカーさんたち
盲導犬協会では2カ月齢から1才までのパピーを、ボランティアのPWさんたちに預け、一般家庭の中で育ててもらいます。
預けている間は月に1〜2回、盲導犬協会のトレーニング施設に来てもらい、健康診断、簡単なトレーニング、そして困っていることなどをお伺いしアドバイスする。
そして、お手伝いにお伺いし始めてすぐに気づいたのです。
何に気がついたかというと、PWさんたちは「トイレを覚えない」といった相談をしてこない、ということにです。
確実性のあるクレートを活用する方法
トイレを失敗させることなく、なんの苦もなく、ある意味勝手に犬がトイレを覚えていく。
サークル飼いの場合は、すぐ覚える犬から1年経っても覚えない犬まで広く分布し確実性がないのに対して、クレート法はこんなにも確実性が高いのかと、驚きを覚えたものです。
クレート法の確実性を知って以来、サークル飼いを勧めることは一切しなくなりました。
おっと、申し訳ない。また続きは次回に、となってしまいました。
何せ、拙著「子犬の育て方・しつけ」でもトイレの教え方に関して20ページを割いている、それくらいにそれなりの文字数が必要ですので、なにとぞご容赦を。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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