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【獣医師監修】犬にゴーヤを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

沖縄料理の「ゴーヤチャンプルー」の材料としておなじみの「ゴーヤ」。強い苦味には健康維持に役立つ成分が含まれているため、犬が食べても大丈夫です。ただし、ゴーヤを犬に与えるときには、少し注意が必要です。犬にとってのゴーヤのメリットとデメリット、与え方を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬にゴーヤを与えるときは種と過剰摂取に要注意

白い背景にゴーヤ
YuanruLi/gettyimages
沖縄料理の材料として知られるゴーヤですが、今では九州以北の地域でも手軽に手に入る夏野菜のひとつとなりました。

ゴーヤには、ビタミンC やビタミンK、カリウム、葉酸などが豊富に含まれているほかに、独特の苦味には夏バテ防止や疲労回復に役立つ成分が含まれています。
犬は苦いものを嫌う傾向がありますが、なかにはその苦味を嫌がらず、むしろ好んで食べる犬もいるようです。愛犬がゴーヤを好むようなら、夏の食事やおやつに使ってもよいかもしれません。

ゴーヤのおもな栄養素|約94%が水分

目の前に差し出されたゴーヤに口を寄せているミニチュア・ダックスフンド
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ゴーヤに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー15kal
水分94.4g
タンパク質1.0g
脂質0.1g
炭水化物3.9g
灰分(無機質)0.6g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がゴーヤを食べるメリット|豊富なビタミン、ミネラルで健康維持

手のひらに載ったゴーヤ一切れを無表情で見つめる柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ゴーヤには、犬の健康を維持するために役立つ栄養素が含まれています。代表的なものを以下に紹介します。

ビタミンC|歯や骨の健康、解毒、ホルモン代謝のサポート、アンチエイジング

ビタミンCには愛犬の長期的な健康維持に役立つさまざまな働きがあります。コラーゲンの合成、鉄分の吸収促進、解毒やホルモン代謝のサポート、さらには病気や老化の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用もあります。

ゴーヤに含まれるビタミンCは、100g中76mgで、きゅうりやトマトの5倍以上になります。ビタミンCが多いといわれるレモン果汁でも、100g中のビタミンCは50mgですから、いかにゴーヤがビタミンC豊富な野菜であるかがわかります。

なお、人にとっては食べ物から摂取しなければならない必須栄養素のビタミンCですが、健康な犬は体内でブドウ糖からビタミンCを合成することができます。そのため、以前は「犬にビタミンCの摂取は必要ない」と考えられていました。
しかし最近の研究により、犬にもビタミンC欠乏症があることがわかってきました。健康な犬でも5歳を過ぎればビタミンC合成能力が低下してくるとも考えられているので、シニア犬などでは食べ物やサプリメントからビタミンCの補給を図るとよいかもしれません。

ビタミンK|出血を止める、骨を丈夫にする

出血があった際に血を止める凝固作用を発揮するのが、ビタミンKです。また、骨にカルシウムを沈着させ、骨を丈夫にする役割も果たします。犬は自分の腸内細菌でビタミンKを合成することができますが、それだけでは1日の必要量には足りないため、ゴーヤから補うのもよいでしょう。

カリウム|不要な塩分の排出と高血圧の予防

カリウムはナトリウムとバランスを取りながら、細胞を正常な状態に保ち、体液の浸透圧を調整します。また、体内の余分なナトリウム、つまり塩分を尿と一緒に体外に排出することで、血圧を下げる役割も果たしています。

葉酸|貧血を予防

葉酸はビタミンB群のひとつで、DNAの合成に関わっています。胎児がお腹にいる母犬や、成長期の犬にはとくに必要であると考えられます。また、葉酸の欠乏は貧血や口内炎の原因になることもあります

モモルデシン|胃腸の粘膜保護と胃液の分泌で食欲増進

ゴーヤ独特の苦味は、モモルデシンという成分です。モモルデシンには、胃腸の粘膜を保護し、胃液の分泌を促す作用があるため、食欲増進につながり、夏バテ防止や疲労回復に役立つと考えられています。さらに、モモルデシンは、血糖値や血圧を下げる作用もあるといわれています。

ゴーヤが癌に効くってホント?

ビタミンCには、強い抗酸化作用や免疫力を向上させる働きがあることから、病気の予防や改善に役立つと考えられています。実際に、人間のがん治療の一環として「ビタミンCの大量投与」を行っている医療機関もあるようです。アメリカでは、ゴーヤによる癌の抑制作用の研究も進めているそうです。

そうしたことから、「ゴーヤは犬のがん治療にも有効なのでは」という情報が流れていますが、残念ながら犬に対しての効果はまだ明らかにはなっていません。

犬がゴーヤを食べるデメリット|腎臓病、食物アレルギーがある犬には要注意

ゴーヤが茂るトンネルの下に顔を少し横に向けて佇む茶色のミニチュア・ダックスフンド
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ゴーヤには犬の健康維持に役立つ栄養素が多い一方で、過剰摂取するとかえって健康を損ねかねない栄養素もあります。

食物繊維|不溶性食物繊維の摂り過ぎは便秘の原因に

腸内環境を健康に保ち、正常な便通を維持するには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が、バランスよく含まれていることが大切です。ゴーヤには、水溶性と不溶性の両方が含まれていますが、不溶性は水溶性の約4倍 。不溶性食物繊維が多いと、食物繊維が水分を吸って便が大きくなり過ぎたり、固くなり過ぎたりして、かえって排便が困難になってしまいます。

カリウム|過剰摂取は高カリウム血症の原因に。腎臓病の犬は要注意

不要になったカリウムは、腎臓で濾過され尿として体外に排出されます。カリウムを過剰に摂取すると、腎臓に負担がかかり、腎機能を低下させる恐れあるだけでなく、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」になる危険があります。
カリウム値が高くなると、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈など体の不調をきたし、重篤な場合は命を落とす場合もあります。腎臓病を患っている場合は、カリウムの排出がうまくできないので、ゴーヤを与える前に獣医師に相談してください。
また、心機能が低下している犬の場合も与える前に必ず獣医師に相談しましょう。

ナトリウムやカリウムなど電解質の異常は、臨床症状などでははっきりとわからないことも多いです。ゴーヤを与える、与えない とは関係なく、定期的な健康診断と血液検査の実施をおすすめします。

タンパク質に免疫機能が過剰反応する場合も

食物アレルギーは、食べ物に含まれるタンパク質に体内の免疫機能が過剰に反応して起こります。ゴーヤには100g中1gのタンパク質が含まれているので、稀にアレルギー症状を引き起こすことも。食物アレルギーがある犬にゴーヤを与えるときは、最初は少量から。体の痒みや湿疹、下痢、嘔吐などが起こらないかよく観察してみましょう。

犬にゴーヤを与えるときの注意ポイント|種とワタは取り、加熱して細かくカットを

鼻先に差し出された一切れのゴーヤを見上げるワイヤー・フォックス・テリア
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬にゴーヤを与えるときの注意点は、以下の通りです。

与えてよい部位

ゴーヤを割ると中に種とワタがあります。それらは、犬にとって消化しにくいものなので、必ず取り除いてから与えましょう。
とくに、種は犬がそのまま飲み込むと喉に詰まらせる恐れがあるので要注意。熟したゴーヤの種は赤く、まわりにゼリー状の甘い果肉がついています。甘いものを好む犬が誤飲してしまう可能性もあるので、取り除いた種が犬の口に入らないよう気をつけましょう。

与えるときの適量

犬にゴーヤを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。

犬の体重目安
1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)125g~0249g(0.5本~1本)
中型(6~15kg)286g~569g(1本~2本)
大型(20~50kg)706g~1404g(3.5本~7本)

※ゴーヤ(生)1本249g(可食部211g)として算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

ゴーヤは生のままでは消化に悪いので、犬に与えるときは必ず加熱(茹でる、炒める、電子レンジ)しましょう。
加熱したゴーヤは、喉に詰まらせないよう細かく刻んでから与えましょう。

与え過ぎに注意すれば、犬はゴーヤを食べても大丈夫

ゴーヤ独特の苦味も、犬の体のためによい成分であることがわかりました。ほかにも、犬にとってメリットになる栄養成分が豊富なので、与える量と調理方法を守って、愛犬の健康維持に活用するのもよいかもしれません。
ほかの野菜(果物)についても、与えるときに注意が必要なものがあるので、確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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