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獣医師監修|犬に与えていい果物・ダメな果物 与える際の注意点も解説

犬に与えてもよい果物と与えてはいけない果物があることをご存じですか? 人にとって健康によいとされている果物でも、犬にとっては命の危険が潜んでいることもあります。ここでは、犬に与えてもよい果物、与える際に注意が必要な果物、与えてはいけない果物を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬に与えてダメな果物・与える際に注意が必要な果物・与えてよい果物リスト

まずは、犬に与えてよい果物・与えてもよいが与える際に注意が必要な果物・与えてはいけない果物一覧をチェックしておきましょう。
犬に与えてはいけない果物ぶどう イチジク ドライフルーツ レーズン グレープフルーツ プルーン など
犬に与える際に注意が必要な果物パイナップル メロン ブルーベリー カムカム さくらんぼ 桃 マンゴー ライチ レモン など
犬に与えてよい果物いちご リンゴ バナナ キウイ みかん オレンジ スイカ 柿 梨 アセロラ クランベリー クコの実 アサイー ブラックベリー カシス 栗 など

犬に与えてはいけない果物

犬が食べてはいけない食品には、チョコレートやねぎ類、キシリトールの入ったもの、アルコールなどがありますが、果物のなかにも犬に与えると危険なものがあります。

ぶどう

ぶどうを犬に与えたことが原因で、嘔吐や下痢、急性の腎障害を引き起こした中毒報告があります。干しぶどう(レーズン)は、生のぶどう以上に危険です。絶対に与えないようにしてください。

グレープフルーツ

グレープフルーツといった柑橘類の外皮部分には、嘔吐や下痢の原因になる中毒成分が含まれています。皮を剥かずに包丁で切って食べるフルーツは、与えないようにしましょう。

イチジク

イチジクは、皮や葉、果肉に中毒性のある成分を含んでいます。口内の炎症や嘔吐の原因になるので、与えないようにしましょう。

ドライフルーツ

ドライフルーツには多様なフルーツが混ざっている場合が多いため、犬が中毒を起こすフルーツが含まれている可能性もあります。さらに、ドライフルーツは糖分が高く、食物繊維も多いため、軟便や下痢の原因になることも。犬には与えないでください。

プルーン

プルーンの葉や種、茎を食べたことで、呼吸困難やショック症状を起こすことが報告されています。プルーンの毒性は乾燥する過程でより強くなるため、プルーンのドライフルーツはとくに危険です。生でも乾燥状態でも、犬には与えないようにしましょう。

犬に与える際に注意が必要な果物

赤い毛糸の洋服を着て、黒い皮のソファの上に座ってこちらを見ている茶色いチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬の体に役立つ栄養素が含まれている一方で、与える際に注意が必要な成分が含まれているものや、与え方に気をつけなければならない果物もあります。

パイナップル

パイナップルは、脂質をエネルギーに分解するビタミンB2、疲労を解消するクエン酸を含みます。しかし、食物繊維の含有量が多いので、与え過ぎは軟便や便秘につながります。缶詰やドライ製品のパイナップルは砂糖を含むので与えないようにしましょう。

メロン

メロンは水分を多く含むため、水分補給で熱中症予防に役立つでしょう。ただし、カリウムが多いので腎臓病や心機能の低下している犬に与える際は注意が必要です。
与える際は、皮を剥き、種とワタを取り除いて小さくカットして与えましょう。

ブルーベリー

ブルーベリーには、抗酸化作用のあるアントシアニンやルテイン、ビタミンEが豊富に含まれています。ちなみに、「アントシアニンは目によい」というイメージがありますが、犬の効果についてはまだわかっていません。
ブルーベリーは比較的カロリーの高い果物なので、過剰摂取はカロリーオーバーから肥満や糖尿病の原因に。また、適量であれば便秘の解消に役立つと考えられますが、摂り過ぎはかえって排便困難を引き起こすので、与え過ぎないよう注意しましょう。

さくらんぼ

さくらんぼを犬に与えるときは皮ごとに与えてもOKですが、水洗いを行い、一口大に切った果肉のみを与えましょう。さくらんぼの葉や茎、種は、犬にとって中毒性があり有害なので、犬が誤食しないよう気をつけましょう。また、さくらんぼの実には「ソルビトール」という成分が含まれているため、多量に摂取すると下痢を引き起こすことがあります。適量を守るようにしてください。

桃は果肉に水分がたっぷり含まれていて、整腸作用のあるペクチンも豊富な果物です。しかし、桃の葉や茎、種は犬の中毒性が報告されていて、とくに種には有毒のシアン化合物が含まれるので、誤食には注意が必要です。中毒を防ぐため、毒性のある種と皮は必ず取り除いて犬に与えてください。
また、桃はリンゴやさくらんぼと同じバラ科の果物です。以前にそれらを食べてアレルギー症状が現れた犬には、与えないでください。

マンゴー

マンゴーは水分やビタミンなど犬の体に役立つ栄養素が含まれている果物で、細胞の老化を防ぐ働きなどがありますが、糖分が多いので与え過ぎるとカロリーオーバーになる恐れがあります。また、マンゴーはウルシ科の果物なので、アレルギーの犬は皮に触れただけで皮膚炎を生じることがあります。愛犬の手の届くところにマンゴーを置かないようにしましょう。

レモン

ビタミンCやクエン酸などが含まれるレモン。犬が中毒を起こすような成分は含まれていませんが、そもそも犬は酸っぱいものが苦手。レモンの強い酸味は、消化器官の弱い犬にとっては負担になります。レモンは積極的に犬に与えたい食べ物ではないといえます。もし与えるとしても、ごく少量にとどめておきましょう。

カムカム

カムカムにはビタミンCが豊富に含まれていて、酸味の強い果物です。ビタミンCはレモンの60倍、クエン酸やビタミンB群、ミネラルなども豊富で、人にとっては、アンチエイジング効果があるスーパーフードとして注目されています。酸味が強いのであえて犬に与える必要はないでしょう。

ライチ

ライチには抵抗力を高めるビタミンCのほかに、赤血球の合成にかかわる葉酸も含まれています。ただし、ライチは普段食べ慣れない果物のため、消化不良を起こすこともあるので注意が必要です。もし犬にライチを与えるのなら、皮と種と薄皮は取り除き、生の状態で1日15gの量を目安にしましょう。

犬に与えてよい果物

歯ブラシを口に入れられている黒い柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬の健康を保つために役立つ栄養素が豊富で、適量であれば犬に与えてもとくに問題のない果物を紹介します。

いちご

ビタミンCやポリフェノールなど、犬の体によい栄養素が豊富で、低カロリーないちご。ダイエット中のおやつにもおすすめです。与えるときは、洗ってからヘタを取り、細かく刻むか潰して与えましょう。

リンゴ

リンゴに多く含まれるペクチンは、腸内環境を整え便通をサポートする効果があります。低カロリーなので、減量中のおやつにもぴったりです。犬に与える際は、よく洗ってから芯と種を取り除き、皮ごと小さく刻んで与えましょう。

バナナ

バナナはエネルギー補給にもなる果物です。バナナに多く含まれるカリウムには、細胞を活性させて筋肉の収縮や、腸の運動を助ける整腸作用が期待できるので、愛犬が便秘気味のときに与えるとよいでしょう。
与える際は、皮を剥き、繊管束というスジも取り除き、小さくカットして。子犬やシニア犬には潰して与えてもよいでしょう。

キウイ

キウイには、たんぱく質分解酵素が含まれていて、肉の消化を助け腸内環境を整える効果があります。ただし、食物繊維が多いため、与え過ぎは下痢の原因になるので気をつけましょう。また、種は消化されにくいので、取り除いたほうが安心です。

みかん・オレンジ

みかんやオレンジは手軽に水分補給ができる果物です。しかし、与え過ぎは嘔吐や軟便、下痢の原因になります。柑橘系の果物は、茎、葉、外皮に中毒性物質を含むものがあるので、生のまま、房の薄皮や白いスジを取り除いた果実部分だけ与えましょう。
缶詰やゼリー、果汁100%以外のジュースは糖分など添加物を加えてある可能性が高いので、犬に与えてはいけません。

スイカ

スイカはカリウムが豊富で利尿作用もあり、90%が水分の低カロリーの果物なので、夏バテ解消にも効果的です。皮や種は取り除いて、生の状態で与えましょう。
ただし、メロンやきゅうりなどのウリ科の果物や野菜でアレルギーを起こしたことのある犬には与えないでください。

柿は細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用のあるβ-カロテンとビタミンCを豊富に含んでいます。食物繊維が多く含まれるため、与える際は葉やヘタを取り除き、皮を剥き、種を取って実の部分を小さくカットして。すりおろしてご飯にトッピングするのもおすすめです。
なお、柿は生でも干し柿でも大丈夫。ただし、熟していない硬い柿や渋柿はNGです。

梨の成分は、90%が水分で適度な甘さもあるため、犬の水分補給や熱中症予防に役立つかもしれません。食物繊維も豊富なので、整腸作用と便秘の解消にも期待できそうです。与える際は、皮を剥き、芯を取り除いてから小さくカット。超小犬や小型犬にはペースト状にして与えるのもおすすめです。

栗はでんぷんやビタミンを含み、秋のエネルギー補給に適した旬の味覚です。与える際には、必ず加熱し、渋皮を取り除いて、細かくして与えましょう。

アセロラ

アセロラは暑い国で育つ果物なので、紫外線から身を守ることができるビタミンCやβ-カロテンが豊富に含まれています。これらの成分は免疫力を高めたり、感染症を予防したり、体調の回復を早めたりする効果が期待できます。ヘタを除いた生のアセロラ1日1粒までが、犬に与える目安量です。

クコの実

クコの実は、昔から漢方薬として使われています。カロテンやビタミンAを豊富に含むため、粘膜を保護する働きや、被毛や爪を強くする効果が期待できます。犬に与える場合は1日3~4粒までを目安に、種を取り除いてあげましょう。

アサイー

アサイーは、ポリフェノールがブルーベリーの18倍も含まれる栄養価の高い果物です。その反面、食物繊維も多く含まれているため、与え過ぎると下痢を起こすこともあります。1日1粒程度、様子をみながら少量ずつ与えましょう。

カシス

カシスは、アントシアニン、ビタミンA・C・Eの抗酸化成分を豊富に含みます。人の場合は動脈硬化の予防や、視力の改善、アンチエイジングなどに効果的とされています。食物繊維を多く含むため、1日1粒を目安に、与え過ぎには十分注意しましょう。

クランベリー

クランベリーは、フラボノイドやプロアントシアニジンといったポリフェノールや、ビタミンCが多く含まれている果物で、犬の尿路感染症や歯周疾患の予防効果に期待が寄せられています。犬に与えるときはヘタや種をしっかり取り除き、生の状態で1日1~2粒までを目安としましょう。

ブラックベリー

ブラックベリーは、ビタミンやアントシアニン色素などのポリフェノールを多く含みます。人には血液をサラサラにする効果があると期待されていますが、食物繊維も多く含んでいるので、犬に多く与えると下痢を引き起こすことも。与える場合は1日1粒程度とし、おなかの調子をみながら与えるとよいでしょう。

犬に果物を与える際の注意ポイント

木のデッキの上に腹ばいになっている薄茶色のパグ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬に与えてよい果物であっても、与える際に注意したほうがよいことがあります。以下をチェックしておきましょう。

初めて与える果物は少量からスタート

犬に初めて果物を食べさせる際には、いきなりたくさん与えず、少量から与えてください。犬が食べても大丈夫な果物であったとしても、犬によってはアレルギーや下痢、嘔吐、発疹を引き起こすことがあるので注意しましょう。もし初めての果物を与えたあとに、愛犬にいつもと違う様子がみられたら、動物病院を受診してください。

中毒を起こす可能性がある部分は取り除く

中毒を起こす可能性のある部分は、必ず取り除きましょう。皮や種、芯、茎は取り除くのが基本です。

子犬に果物を与えるときはごく少量をすりおろして

どうしても子犬に果物を与えたい場合は、ごく少量をすりおろしてあげるようにしましょう。そのまま与えるよりも、消化に負担がかかりません。ただし、下痢やアレルギーなどの体調不良を防ぐためにも、子犬に無理に果物を食べさせるのはやめましょう。

なお、腎臓病、糖尿病、癌などの持病があるなど、何らかの食事制限のある犬や、投薬治療を行っている犬の場合は、果物を与える前にかかりつけの獣医師に確認してください。

犬に果物を与える際は量を守って

犬に与えてよい果物でも、与える量を誤れば体調不良につながります。そのため、あくまで「与える場合は少量」ということを頭に入れておいてください。愛犬に果物を与える際は、与えられるかどうかを調べるのはもちろん、与え方や量などをきちんと確認することが大切です。
今回紹介しきれなった果物については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

獣医師監修 犬が食べると危険な食べ物図鑑 

監修/佐野忠士先生(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 准教授 )
文/村田 典子
※一部写真はスマホアプリ「まいにちのいぬのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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