頭が痛い、体がだるい、やる気が出ない……。人が感じている体の不調、犬にもあるのでしょうか?
知っているようで意外に知らないこんな疑問を、獣医師の南直秀先生がジャッジ! ここでは、人の「心」の不調のなかで、犬にも「ある」ものをご紹介します。
【うつ病】環境の変化やふれあい不足など、ストレスから起こりうる
現代病として知られているうつ病ですが、犬でも見られる心の不調のひとつです。飼い主さんと離れることを極度に不安がる分離不安症のほか、自分の尾を追いかけ続けるなどの行動が見られる常同障害などがあります。
コロナ禍で飼い主さんの環境が変化することも多い昨今、注意すべき症状のひとつでしょう。
【PTSD】災害救助犬などがなってしまうことも
強くストレスを受けるような体験から発症するもので、犬でも見られます。交通事故や虐待などのほか、生死にかかわる体験をした災害救助犬などで見られ、海外の調査によると、戦地に赴いている軍用犬の約5%が発症。パニックを起こしたり、攻撃的な反応をすることがあります。
【認知症】寿命が延びたぶん犬でも見られるように
加齢によって脳細胞や自律神経がうまく機能せず、認知力が低下して夜鳴きやそそう、徘徊などが見られる症状で、犬でも起こるものです。近年では医学の発達や食生活の改善などで犬の寿命も延び、人と同様に高齢化が進んでいるため、どの犬種でも見られるようになりました。
【円形脱毛症】なめたりむしったりなどで毛が抜けてしまう
人ではおもにストレスなどが原因で、頭髪の一部が部分的に抜けてしまうことを指しますが、犬でも見られる症状です。たまったストレスを解消しようと、自分の被毛をなめたり引っ張ったりしてしまうことで一部分が脱毛してしまうことがあります。
【偽妊娠】ホルモンの影響で起こしてしまう
ホルモンの影響によって、妊娠していないにもかかわらず、乳腺が張ったり乳汁が分泌されるなど、妊娠に似た変化が見られる症状で、避妊手術を受けていないメスに見られます。ぬいぐるみを離さなくなるなど、まるで子育てをしているようなしぐさを見せることもあります。
南先生によると、うつ病のひとつとされる「ウインター・ブルー(冬季うつ)」や「五月病」も犬にも起こりうるそう。
愛犬が今回ご紹介したような病気にならないよう、ストレス対策にも気をくばってあげたいですね。
お話を伺った先生/東京動物医療センター副院長 南 直秀先生
参考/「いぬのきもち」2021年12月号『人のカラダの不調 犬にもある? ない?』
文/いぬのきもち編集室