新型コロナウイスの蔓延によって生活スタイルが大きく変わるなど、急激な変化にストレスを感じている犬が増えているようです。愛犬がストレスを感じ続けると、心の病気の発症のきっかけになってしまうことも。今回は、獣医師で獣医行動診療科認定医の菊池亜都子先生に、ストレスが高まるとかかりやすい病気についてお伺いしました。
悲鳴のような声を上げる 「分離不安」
イラスト/naohiga
分離不安という病名は聞いたことがある飼い主さんが多いかもしれません。これは、飼い主さんと離れたときに強いストレスを感じ、問題行動が出る病気です。最近では、リモートワークだった飼い主さんが出社することになり急に留守番の時間が増えるなど、ひとりでいることに慣れていない犬も多く、増えている傾向に。また、愛犬と片時も離れずに生活するなどの依存関係にある場合には、発症しやすくなるといわれています。
分離不安になるとどんな症状が出る?
分離不安になると、飼い主さんが少し間見えなくなっただけで鼻を鳴らして鳴いたり、遠吠えをしたり、悲鳴に近いような声をあげることを繰り返します。物を噛んで壊そうとするなどの破壊行為や、そそうや嘔吐、よだれが大量に出るなど体の不調が出る場合もあります。
同じ行動を繰り返し行う 「常同障害」
イラスト/naohiga
日常生活に支障がでるほど、意味のない行為を繰り返し行ってしまう病気です。何もすることがなく退屈な時間が長い、飼い主さんとのスキンシップの時間がない、不安な気持ちを抱えているなどのストレス状態が続くことが発症のきっかけになります。飼い主さんがコロナ疲れでストレスを抱えていると、共感力の高い犬も同じようにストレスを抱えることがあるため、今注意したい病気のひとつです。
常同障害になるとどんな症状が出る?
しっぽを追いかけてぐるぐるとまわり続ける、血が出るほどしっぽをかじる、影や光を追う、実際にはいない空中の虫を追う、空気を噛むような行動をするなど、強迫的・幻覚的な行動を繰り返し行うのが特徴です。
愛犬の心の病気が心配になったら?
撮影/尾﨑たまき
こうした心の病気は、犬の行動学に基づく治療や薬物療法など組み合わせた「行動治療」という方法によって、症状の改善を目指していきます。もし愛犬に上記のような病気の症状が見られた場合は、行動診療科がある動物病院や訪問診療などに一度相談してみましょう。
いかがでしたか? 愛犬が必要以上のストレスを感じないようにケアをするとともに、もし気になる症状が出ている場合は、早めに受診し、愛犬をストレスから解放してあげてくださいね。
お話を伺った先生/獣医師、獣医行動診療科認定医 菊池亜都子先生
参考/「いぬのきもち」2021年10月号『犬のストレス』
イラスト/naohiga
撮影/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室