飼い主さんが知っておきたい犬の健康について獣医師さんに聞いてみました。今回のテーマは、『犬の骨折』です。(監修/いぬのきもち獣医師相談室)
『犬の骨折』とは?
犬の骨折とは、骨が変形したり折れたりして体を正常に支えられなくなった状態です。転倒や打撲など骨に体の外側から強い力がかかって起こる骨折と、骨の腫瘍などによって、骨の内部から構造が変化して起こる病的骨折があります。
愛犬のお留守番中にケージに足が挟まれたり、ドアや扉に挟まれて骨折する場合も
Q. 犬の骨折の原因を教えてください
A. 犬の骨折の原因に多いのは、高い所からの落下事故や衝突、交通事故などです。また飼い主さんについて歩いて踏まれたり、お留守番中にケージに足が挟まってしまったり、ドアや扉に挟まれるという事故が原因になる事もあります。過度の運動や肥満が原因になる事もあります。
病的骨折には骨の悪性腫瘍や、他の組織に発生した腫瘍の骨への侵食や転移が原因となる骨折と、栄養のバランスが悪かったりホルモンの異常で骨が弱くなる事が原因となる骨折などがあります。
Q. 犬が骨折するとどんな症状が出てきますか?
A. 骨折した箇所や折れ方で症状も様々ですが、一般的には局部が腫れて、痛みから不自然な動きが多くなります。折れた足を上げたまま歩く、強い痛みから、動きたがらないそぶりや元気のない様子、痛みによる震えがみられる傾向があります。折れた骨の周囲の筋肉などが腫れて熱を持ち、全身の発熱の症状を伴う場合もあります。また食欲不振を起こす事もあります。
Q. 犬が骨折した場合、どのような治療が行われますか?
A. 折れた骨同士の位置のずれやねじれがなく、折れた骨の端が皮膚を破って外に突き出すなどの重傷な状態でない時には、その折れた骨がずれないように外側からきちんと固定して折れた部分が治るのを待つ“外固定”という方法で治癒を促します。
一方、折れた骨の位置のずれやねじれがあったり、折れた骨の端が皮膚を破って外に突き出すような重傷の状態の場合には、全身麻酔をかけて折れた骨の位置を整復して固定する外科手術を行います。
Q. 犬の骨折の予防法を教えてください
A. 骨折はふとした事故で起こる事が多く、予防には飼い主さんの管理が最も重要となります。室内飼いの犬の骨折予防には、室内環境の整備と、しつけや飼い方の工夫が大切です。
特に交通事故は骨折だけでなく命にかかわる事故なのでリードの老朽化などのチェックなども含めて細心の注意をしましょう。また、適切な食事を与える事も骨を強くして骨折しにくい体を作ります。適度な運動で肥満も予防しましょう。