「隠れIQ 」は、記憶力や集中力のほか、与えられた課題をひとりで解決する力などを、愛犬がどれぐらい発揮できているかを示すものです。この能力は犬が備えもっているものですが、可能性は無限大。遊びを通じて飼い主さんが引き出してあげることができますよ! ドッグトレーナーの藤本聖香先生に隠れIQを引き出す遊びを教えていただきました。
問題解決能力を引き出す遊び方
問題解決能力とは、愛犬が自分だけでゴールにたどり着くための力です。飼い主さんは手助けしたい気持ちをグッとこらえて、うまくヒントを出しつつ見守りましょう。
難易度★☆☆☆☆ くぐり抜け<フープを使って輪くぐりをする>
片手でフープを持ち、もう片手にはおやつを握りこみます。おやつを握った手を愛犬の鼻先に近づけて誘導し、フープをくぐらせましょう。くぐりきったらおやつを与えて盛大にほめて。フープがない場合は、飼い主さんの足の間(股の間)をくぐらせたり、愛犬の体高に合ったイスの下をくぐらせてもOK 。
難易度★★☆☆☆ 慣れたら2個に挑戦!
ヒントの出し方=輪の向こう側におやつを置く
くぐるという行動が苦手な犬は意外と多いです。片手でフープを立てた状態で、輪の向こう側の床の上におやつを置いて誘います。怖がって後ろ足だけくぐれない犬なら、輪の向こう側に、一直線上におやつを並べておいてもよいでしょう。
難易度★★☆☆☆ たから探し<紙コップに隠したおやつを探し出す>
愛犬の目の前で紙コップの中におやつを入れ、口の部分を折りたたんで愛犬の前に置き、スタートの合図をかけます。愛犬が苦戦していたら、折りたたんだ部分を指で少し広げてとりやすくしたり、おやつの場所を指さして教えてもOK 。指さしでヒントを出すときは、あえて対象から少し離れた位置で行うと脳トレ度がアップします。
記憶力を引き出す遊び方
犬は飼い主さんが思っているよりも記憶力がよい生き物です。同じ言葉を繰り返し聞かせることで、記憶力をアップさせる助けになります。慣れるまではハンドサインを併用しても。
難易度★★★☆☆ おもちゃトッテ<物の名前や見た目を覚えて正解を探す>
愛犬にマッテをかけた状態で、「フクロウとボールとお肉だよ」など、名前を言いながら目の前におもちゃを複数並べます。そのうちひとつを指さし、「ボールをトッテ」など、おもちゃの名前を言いましょう。愛犬がとれたらおやつを与えてたっぷりほめて。慣れたら指さしはせずに言葉だけで指示してもOK 。おもちゃの個数を増やすほど難易度がアップします。
ヒントの出し方=おもちゃの名前を会話に入れる
物の名前を覚えてもらうには、繰り返し何度も聞かせることが大切です。ふだんの遊びのなかでも「これはボールだよ」「ボールで遊ぼうね」など、会話の中でおもちゃの名前を何度も言って聞かせることで、愛犬の記憶に残りやすくなります。
難易度★★★★☆ あっち行ってホイ!<数字で記憶した指定の場所へ向かう>
ベッドとハウスとマットなど、愛犬の居場所を複数カ所用意し、ハンドサインをしながら「ここ(ベッド)が❶番、ここ(クレート)が❷番……」と言って教えます。マッテをかけたら「❷番へ入って」など、ハンドサインとともに声をかけましょう。愛犬が迷っていたら、手でトントンと正解の場所を軽くたたいてヒントを出してもOK 。
ヒントの出し方=指と言葉で番号を伝える
ふだん指示しつけをする際にハンドサインも併用している飼い主さんなら、場所の名前を繰り返し言って聞かせるほか、ハンドサインを併用すると愛犬に伝わりやすくなります。慣れたらハンドサインなしで、言葉だけで指示を出しましょう。
犬がもともともっている高い知能を引き出せるかは飼い主さん次第! ぜひ、トライしてみてくださいね。
お話を伺った先生/英国APDT 認定ペットドッグトレーナー。獣医師 藤本聖香先生
参考/「いぬのきもち」2023年1月号『愛犬の隠れIQを引き出そう』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室