この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは、生まれつき重度のてんかん発作があるスタンダード・プードルのマーリちゃん。病気とつきあいながらの暮らしについて、飼い主さんに伺いました。
マーリちゃんの毎日のお世話と工夫
神奈川県・Yさん宅のマーリちゃん(メス・1才5カ月/18㎏/スタンダード・プードル/無邪気でマイペース)
神奈川県にお住まいのYさん宅のマーリちゃんは、生まれつき重度のてんかん症状があり、1才になった現在も、家族の懸命なケアのもと病気と闘い続けています。そんなマーリちゃんの日々のお世話で気をつけていること、心がけていることを飼い主さんに聞きました。
フードはケージの前で与えて食後はケージ内で静かに過ごさせる
てんかん発作に加えて胃腸が弱いマーリちゃんなので、ゴハンは高い位置で食べさせ、食後はケージ内で安静にさせます。ケージに入っているときは、必ず誰かが見守るようにします。
撮影/犬丸美絵
シャンプー後は手早く乾かせるようにプロのトリマー用ドライヤーを使用
月2回のシャンプー時は途中で発作が起きないよう、夫婦2人で手早く行い、乾かすときはプロのトリマー仕様の大型ドライヤーで時間を短縮。シャンプーの翌日にトリマーさんにはカットだけお願いするように。
撮影/犬丸美絵
1日に6種類の薬を飲ませて、フードは消化吸収のよいものを選ぶ
フードは1日2回、療法食のドライフードに手作りのトッピングを加えます。飲みにくい漢方薬などはフードに混ぜ、ゴハン時以外に飲ませる薬はチューブのおやつに混ぜます。
投薬の間違いがないよう工夫して、お世話日誌を毎日細かくつける
毎日のお世話日誌には、フードと水の量、排泄、その日の天候と体調などを記録。ゴハン時を含めた1日5回の投薬を間違えないよう時間割を作り、キッチンカウンターに薬の袋を貼りつけておきます。
水をがぶ飲みする傾向があるので水は1回ずつ計量して与える
薬の影響なのか不明ですが、頻繁に水をがぶ飲みして胃捻転にならないよう、水は1回に100㎖ずつ、1日10回に分けて与えます。水のボウルも高めに設置。
撮影/犬丸美絵
現在、マーリちゃんは毎日の散歩を楽しめるようになり、トレーナーさんのもとで基本的なしつけを学んでいます。
「マーリは1才になるまでずっと闘病生活が続き、社会化も遅れ、しつけもできない状態でした。今は散歩も楽しめるようになっていろいろなことを吸収しています。これから病気がもっとよくなって、元気に長生きしてくれることが、マーリから私たちへのいちばんの親孝行だと思ってます(笑)」とYさんは最後に語ってくれました。
今は1日2回、約40分の散歩が楽しめるように。きちんとYさんの左について歩くマーリちゃん。散歩時には必ず緊急用の抗てんかん薬を携帯
出典/「いぬのきもち」2024年7月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/犬丸美絵
写真提供/Yさん
取材協力/池田動物病院
取材・文/袴 もな
※掲載の情報は「いぬのきもち」2024年7月号発売時のものです。