犬が震えるのはどんな場面でしょうか? 人と同じように寒さや恐怖でブルブルと震えることもありますが、実は病気のサインとして出ていることもあります。
今回は、犬が震える原因について、獣医師の野矢雅彦先生に教えていただきました。
犬が震える原因(1)生理的なもの
犬の震えの理由は生理的なものから病気の症状までさまざま。生理的な原因は以下のような点が挙げられます。
寒さ
人は寒いと小刻みに体が震えますが、これは犬も同じ。筋肉を細かく動かして体を震わせることで熱を発生させ、体温を保ちます。体が温まると震えは止まります。
ストレス
恐怖や不安などのストレスで自律神経が乱れ、体が震えることがあります。花火や雷などが怖くて震える犬も多いのですが、終わっても止まらず、翌日も震えが続く場合は、動物病院に相談して対処しましょう。
興奮
「うれしい」「楽しい」など、ポジティブな感情が高まって震える犬もいます。興奮状態になって自律神経が乱れることから、体が震えてしまいます。
老化
加齢により筋力が低下すると、踏ん張りがきかなくなってきます。寝た姿勢から立ち上がるときや、排泄時などに、小刻みに震えることがあります。
シニアの震えは放っておいていいの?
シニア犬の震えは、必ずしも生理的なものとは限りません。病気のリスクが高まるシニア犬は、関節の痛みや病気の症状で震えている可能性もあります。
「柴のシニアは、後ろ足が震えることがよくあります」と野矢先生。検査をしても原因となる病気はなく、老化現象によることが多いそうです。
犬が震える原因(2)病的なもの
病気の影響
ホルモン異常が原因で筋力が落ちて震えたり、病気によって体力が低下して体温を上げられずに寒くて震えたり……。病気の症状として震えが出ることもあります。
痛み
犬が痛みで震えるのはよくあること。胃腸や腎臓といった内蔵のほか、皮膚や関節、筋肉などあらゆる部位に生じる痛みによって、筋収縮が起こり震えの症状が出ます。
脳や神経の異常
脳や脊髄(せきずい)の異常によって体の一部に力が入らず(麻痺)、震えることもあります。けいれん発作の前兆として震えが見られることもあるようです。
薬の作用
一例を挙げると、せき止めの薬は気道を広げるために筋力をゆるめる作用があることから、用法・用量を守らないと筋肉に作用しすぎて震えることがあります。また、投与した薬が体に合わずに震えが出るケースも。
生理的な震えであればそれほど気にする必要はありませんが、なかには痛みや病気によることも。震えが続くようなら動物病院に相談しましょう。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「いぬのきもち」2025年4月号『寒い、怖いだけじゃない!隠れた病気のサインを見きわめよう 犬のふるえ』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。