言葉では伝えにくい愛犬の症状も、動画や写真があると獣医師に伝わりやすく、診断の助けになります。なかでも写真は、愛犬の体から出たものや皮膚、毛の異常などを記録しておくのに役立つでしょう。
そこで今回は、犬の症状を写真撮影する際のポイントを、獣医師の若山正之先生に教えていただきました。
症状の写真を撮るときのポイント
症状の撮影は難しく考えなくてもOK。以下のポイントを頭に入れ「気になったら撮ってみる」を習慣にしましょう。
うまく撮ろうとせず、自然体で撮影する
愛犬の様子が変だと感じたら、まずは撮ることが大切。愛犬が心配で画像がブレていても、獣医師が見ると診断のヒントが隠れている場合もあります。
全身が画面に入るように撮る
画面の向きは縦でも横でもかまいませんが、犬の全身が画面に入るように撮るのがポイント。異常がある部分をアップしたくなりますが、全身の様子を確認できるほうが判断材料として役立つ度合いが高いです。
ここからは、症状別の撮影のポイントを見ていきましょう。
うんちやおしっこ、吐いたものを撮影するとき
消化器系のトラブルが考えられるほか、うんちの異変からは寄生虫感染、おしっこの異変からは膀胱炎や腎臓の病気、吐いたものからは誤食などが疑われます。
経過がわかるように、出たものはその都度撮る
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
うんちやおう吐物はその都度写真に撮っておきましょう。時間経過とともに形状や量などの変化を確認することができるため、診断に役立ちます。できるだけ新鮮なうちに撮ると、水分量なども把握しやすくてベター。
真上から全体を撮る
実物を見るのと同じように見えるとよいので、真上から全体が写るように撮影を。可能なら血液や粘膜、異物をアップにした写真を別で撮りましょう。目で見た実物の色とスマホの画面に写った色が違っていても、受診時に口頭で補足すれば問題ありません。
例えばこんなときに撮ってみよう
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
皮膚のできものや炎症を撮影するとき
皮膚のできものや炎症からは、皮膚病や皮膚の腫瘍、アレルギー反応など、さまざまな病気が疑われます。
異常のある部位を指で示して体全体を撮る
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
異常がある部位がどこなのかがわかるように、該当部分を飼い主さんが指で示し、その状態を引いて撮りましょう。皮膚の診察で案外手間取るのが異常箇所の特定です。飼い主さんが申告した部位を探しても、なかなか見つからないこともあるようです。
プラスして症状のアップの写真も
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
おうちでおなか側の皮膚をチェックしよう
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
診察では全身を確認しますが、診察時に仰向けにされるのを嫌がる犬も。診察前に家でおなかや足のつけ根の皮膚をチェックしておき、異変があれば写真を撮っておきましょう。
脱毛している様子を撮影するとき
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
脱毛からは皮膚病のほか、内分泌疾患、ストレスなどが疑われます。
同じ姿勢を撮り続ける
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
1週間ごとなど、間隔をあけて撮り続けることで、変化を把握しやすくなります。気になる箇所だけではなく、体の側面(左右)、背中、正面、後ろ、おなかの6カ所を同じ姿勢で撮影します。脱毛する部位が決まっている病気もあるため、診断に役立つでしょう。
症状の写真があれば、疑わしい病気を絞り込めて検査や治療がスムーズに行え、愛犬の負担軽減につながることも。スマートフォンでいつでも撮影できる時代ですから、気になる症状は積極的に撮影しておきましょう。
お話を伺った先生/若山正之先生(若山動物病院院長)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
文/長谷部サチ
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。