目に見えない恐怖から愛犬を守ろう!
うだるような暑さはどこへやら、涼しい風が吹き、秋の気配が強まってきました。季節の変わり目は犬も人も体調を崩しやすいタイミングですが、これからの季節、気を付けたいのが「ウイルス」です。乾燥しやすい秋冬の季節は、体の抵抗力も落ちるため、ウイルスに感染しやすい時季。この記事では犬にとって危険なウイルスをご紹介しますので、対策も合わせてチェックしてみましょう!
まずは知っておきたい!そもそもウイルスって?
そもそもウイルスとは何でしょうか。私たちや愛犬の生活している環境の中には、目に見えない菌が存在していますが、大きく「細菌」「真菌(カビ)」「ウイルス」の3つに分けられます。このうち細菌と真菌は、人や犬と同じように細胞をもっている「生き物」で、栄養などの条件が揃っていれば自分で生きていくことができます。一方ウイルスは細胞を持っていませんが、代わりに遺伝子をもっていて、ほかの生物の細胞に取りついて増殖するという特徴があり、細菌や真菌とはまったく異なる存在なのです。
要注意!犬に有害なウイルス3選
突然死を招くことも!「パルボウイルス」
まずご紹介したいのが「パルボウイルス」です。犬がこのウイルスに感染すると、なんと1~2日ほどで急性の出血性腸炎を発症し、死に至る症状を引き起こしてしまうことも。感染した犬のウンチなどから感染することもあるなど、感染力が非常に強いため、要注意のウイルスです。
神経症状を引き起こす!「ジステンパー」
「ジステンパーウイルス」の形は人の麻疹(はしか)ウイルスに似ていると言われています。こちらも強い伝染性をもつウイルスで、犬の脳に感染すると、神経症状など重篤な症状を引き起こしてしまいます。感染した場合の死亡率も高く、助かっても後遺症が残ることが多いようです。
2種類の病気を引き起こす「アデノウイルス」
「アデノウイルス」には、伝染性肝炎を引き起こす1型と、伝染性咽頭気管炎を引き起こす2型があります。抵抗力の低い子犬やシニア院では重症化しやすい、危険なウイルスです。
怖いウイルスから愛犬を守るには?
特に恐ろしいウイルスを3つご紹介しましたが、これらのウイルスから愛犬を守るためにはどうしたらいいのか不安になりますよね。でも、大丈夫です。ウイルスは恐ろしい病気の原因になりますが、実はワクチン接種で予防できるるものも多いんです。例えば上でご紹介した「アデノウイルス」は、2型のワクチンを接種すれば1型も予防できると考えられています。
そのほかにも、愛犬を怖いウイルスや細菌から守るためにできることは色々あります!
散歩のあとは足を拭く
地面にはたくさんの菌が存在しています。散歩後やドッグランなどのお出かけ後は、水で濡らしたタオルで愛犬の足を必ず拭きましょう。付着した菌やウイルスを落とすことができます。
拾い食いをさせない
道を歩いていると、タバコの吸い殻やゴミなどさまざまなものが落ちていますが、どんな有害な菌やウイルスが付着しているかわかりません。散歩中は気を抜かずに注意して、拾い食いは絶対にさせないようにしましょう。
予防接種を徹底する
事前に予防接種を受けていれば、ウイルスや菌への感染リスクを最小限に抑えられます。生活スタイルや環境によって、接種すべき種類が変わりますので、かかりつけの獣医師に相談しつつ対策を徹底しましょう。
対策を徹底して、元気に秋冬を過ごそう!
いかがでしたか?肉眼では見えないうえに、感染力も高く恐ろしいウイルスばかりでしたが、予防接種をきちんと受け、毎日の習慣などを気を付ければ、愛犬をウイルスから守ることに役立ちます。乾燥しやすいこれからの時季、愛犬の健康管理に生かしてくださいね!
参考/愛犬との暮らしをもっと楽しむ『いぬのきもち』2017年6月号「犬をとりまく菌の世界」(監修:斉藤動物病院院長 齊藤邦史先生)
イラスト/来迎純子
写真/CDC's Public Health Image Library
文/影山エマ
※写真の菌は犬以外の症例のものを含んでいる場合があります。