犬が興奮したときなどにうっかりしてしまう“うれしょん”、お困りの飼い主さんも多いのではないでしょうか。今回は、犬がうれしょんしてしまう理由を解説するとともに、うれしょんしやすい犬の特徴や直し方、どうしても直らないときの対策について紹介します。
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なぜ犬はうれしょんするの?
うれしょんのいちばんの原因は「興奮」です。大好きな飼い主さんになでてもらったときや、遊んでいてはしゃぎ過ぎてしまったときなど、嬉しさや楽しさのあまり興奮状態になって、ついおしっこを漏らしてしまうのです。
トイレ以外の場所でおしっこをしてしまう、いわゆる“おもらし”とは意味合いが少し異なり、うれしょんは「甘え」や「服従」を意味していると考えられています。
うれしょんしやすい犬ってどんな犬?
① 子犬
何に対しても興味があり、すぐに感情があふれて興奮してしまうのが子犬というもの。また、膀胱括約筋という尿を溜めておく筋肉がまだ成長過程にあり、自分でうまくコントロールができないことも一因です。
そのため、子犬期のうれしょんは、それほど気にする必要はありません。成犬になると自然に改善されることもあるため、長い目で見てあげて良いでしょう。
② 小型犬
うれしょんは服従心を表す行動でもあるため、体格差から服従対象の多い小型犬は、うれしょんをする確率が高くなる傾向にあります。また、大型犬に比べて室内で飼われることが圧倒的に多い小型犬は、飼い主さんと過ごす時間もそれだけ長く、そういった点もうれしょんをする確率が高いことに影響しているのではないかと考えられています。
③ 依存心が強い犬
飼い主さんへの依存や服従といった気持ちが強い犬の場合、その気持ちをアピールするために、うれしょんをすることがあります。これは、犬がもともともっている、「おしっこを漏らすことで服従心を相手にアピールする」という習性のため。つまり、うれしょんは犬の本能によるものともいえるのです。
④ 精神的に不安定な犬
気が弱い性格であるなど、精神的に不安定ともいえる犬の場合、ストレスや恐怖心からうれしょんをしてしまうことがあります。これまで一度もうれしょんをしなかった犬が、突然してしまうようになったときは、大きなストレスを感じている恐れもあるため、注意が必要です。
正しいしつけでうれしょんを直そう!
うれしょんのしつけで大切なのは、“興奮させないこと”です。愛犬のふだんの様子を見ていると、飼い主さんの帰宅時など、愛犬がうれしょんしやすいケースが見つかるでしょう。つまり、そのようなケースになったときに、愛犬を興奮させないようにすればいいのです。
ここでは、よくあるケース別にうれしょんのしつけ方法をご紹介します。
飼い主さんが帰宅したとき
飼い主さん自身が愛犬に会えた嬉しさから、愛犬をかまいすぎてしまい、その興奮状態をMAXまで引き上げてしまうことがよくみられます。例えば、帰ってきてすぐに名前を呼んだり、高い声で喜びを表したりすると、愛犬の興奮をあおることになってしまうのです。
このケースで大切なのは、愛犬が落ち着くまでいっさい構わないこと。とても難しい対応ではありますが、愛犬が喜んで駆け寄ってきても通り過ぎるなど、無視を徹底するようにしましょう。
抱っこやなでているとき
抱っこをしているときならすぐに下ろし、なでているときなら即座になでるのをやめましょう。このケースの場合も、無視をすることがポイントです。
突然うれしょんをされてしまうと、飼い主さんもびっくりして大きな声を出して騒いでしまいがちですが、それは愛犬にとって、かまってもらえていると勘違いする要因になります。決して慌てず、掃除や後始末など冷静に対処しながらも、愛犬に対しては見ないふりをすると良いでしょう。
お客さんがくるとき
人見知りをしない性格の犬は、飼い主さんだけでなく、お客さんに対してもうれしょんをしてしまうことがあります。また、それが犬好きな人だと悪気なく愛犬をかまってしまい、うれしょんを助長させてしまうことも。
こういったケースでは、来客時はクレートで待機させ、落ち着いてから対面させるようにしましょう。さらに、対面させるときには距離をおいて、リードをつけているとコントロールできるので安心です。場合によっては、お客さんにも事前に愛犬の興奮がおさまるまでは相手をしないでほしいと伝えるのもいいかもしれませんね。
うれしょんのしつけは、飼い主さんにとっても心苦しいものがありますが、これらの行動を繰り返すことで愛犬は「うれしょんをしても何も良いことは起きない」と学習していきます。心を鬼にして取り組んでいきましょう。
しつけをしても直らないときは?
しつけをしてもどうしても直らないときは、飼い主さんが対策をするしかありません。お客さんがくるときや、うれしょんをされると困る場所などでは、オムツをしたりマナーバンドをしたり、あらかじめ汚れないように工夫をしましょう。また、事前にトイレをさせることも大切なポイントです。
病気の可能性も疑って!
それほど興奮しているように見えないのに、少しだけおしっこを漏らしてしまう場合などは、膀胱炎など泌尿器のトラブルの可能性もあります。特にメスの場合は、肛門と尿道が近いため膀胱炎にかかりやすい傾向があるので、注意してあげましょう。少しでも気になることがあれば、かかりつけの獣医師に相談をしてください。
【調査】 愛犬はうれしょんをしたことはありますか?
「いぬのきもちアプリ」ユーザーの犬の飼い主さんに「愛犬はうれしょんをしたことはあるかどうか」アンケート調査をしました。今回の調査では約6割が「したことがある」という結果に。
一方、今回の調査では「うれしょんがなかなかなおらない」という経験を持つ飼い主さんは約2割という結果でした。
突然うれしょんをされると、つい叱りたくなってしまうこともあるかもしれません。しかしお伝えしてきたとおり、うれしょんは犬にとってその相手への「大好き!」という気持ちや服従心を表すものなので、叱らないであげてほしいのです。
うれしょんをしてしまったときのために汚れやすいものは片付けておくなど、飼い主さんにできる予防策をとった上でうれしょんに対しては平常心で対応することを心がけるようにしましょう。
参考/「いぬのきもち」2018年3月号『2号連続トイレ企画 第2弾 「失敗した」「できない」ギモンにアレコレ答えます!トイレのお悩みまるごと解決!しつけ編』(監修:家庭犬しつけインストラクター 「SKYWAN!DOG SCHOOL」代表 東京都立木場公園ドッグランしつけ教室 講師 井原亮先生)
いぬのきもちWEB MAGAZINE『愛犬の生態に関するアンケート』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/mieux
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。