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思い出の牧場ソフトクリーム【穴澤賢の犬のはなし】

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先日、清里周辺を車で走っているとき、唐突に「あ!昔、このあたりにソフトクリームを食べに来たことがある」と思い出した。旅行だったのか、取材か何かの仕事の途中に立ち寄ったのか、まったく覚えていない。隣には富士丸がいたから、恐らく12、3年前のことだろう。甘党でもないのに、なぜわざわざソフトクリームを食べに行ったのか。だけどものすごくおいしくて驚いたことは覚えている。

せっかく近くまで来たのだから、また食べてみたい。あのときの衝撃的なおいしさは間違いないのか、確認したい。そんな衝動にかられたが、どこで食べたのか、場所もお店の名前も何も覚えていない。たしか牧場みたいなところだったこと、広い敷地内にいくつか建物があったこと、そういう断片的な画像の記憶しかない。そこで地図を見て、牧場と書いてある場所へ行ってみることにした。現地に行って頼りない記憶と照合するしかない。

まず1カ所目の牧場に到着するが、知らないところだった。ソフトクリームの看板はあるが、ここではない気がする。もしかしたら曖昧な記憶もあてにならないかもと不安になりつつ、そこから車で10分くらいのところへ向かった。近づくにつれ、見たことある気がしてきた。やがてそれが確信に変わった。ここだ、間違いない。なんと運良く2件目で発見。

ここに、たしかに富士丸と来た。誰と来たのか、何をしに来たのかは思い出せないが、昔あいつと来たことはちゃんと覚えていた。そんなことはすっかり忘れていたが、現地に来たら当時の映像が甦った。ただ、当時はなかった新しい建物があり、今はそこでソフトクリームを販売しているらしい。さて、果たしてあのとき感じたように、おいしいのだろうか。

そこでさっそく食べてみたら、これが驚くほど美味しかった。ソフトクリームに関して、私はこだわった濃厚なミルク味より、昔ながらの味が好きだ。でもここで食べたソフトクリームはどちらでもない。他にはない、ここでしか味わえないクリームなのだ。久々に食べたが、あのとき「何これ、おいしい!」と感激した味が、たしかにあった。

10年以上前に富士丸と来た場所へ、今度は大吉と福助と訪れたことが、なんとなく不思議だった。あの頃、やたら嬉しそうにしていた富士丸の顔を思い出した。

「清泉寮」というところで、後で調べたらかなり有名な場所みたいだし、建物以外の敷地は犬も入れるので、清里に行く機会があったら立ち寄ってみてね。景色がよくて空気もとても気持ちいいから。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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