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【ホントにあった犬の事件簿②】逃げ出した大型犬が、近所の子どもの頭を噛んだ!気になる判決は?

ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!

この連載では、過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。

今回ご紹介するのは、東京高等裁判所で平成12年6月13日に判決が出た事例です。

※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。

お話してくれたのは……渋谷 寛先生

弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。

犬舎で飼われていた大型犬が金網を破って逃げ出した!

大型犬に噛みつかれ、女児は頭に全治1カ月のケガ

イラスト/別府麻衣
イラスト/別府麻衣
大型犬が暮らしていた犬舎は、金網のフェンスでおおわれていました。逃げ出した大型犬は、フェンスの下のほうの金網を噛んで引き抜き、飼い主さんが鍵を閉め忘れていた扉を抜けて、近所の家の庭先に進入。そこで、3才の女の子の頭に噛みつき、頭部の骨折や顔の傷など、全治1カ月のケガを負わせました。第一審の裁判で、飼い主さんには、5年以下の懲役や100万円以下の罰金が課される「重過失傷害罪」が言い渡されましたが、判決を不服に思ったAさんは、高等裁判所に控訴しました。

大型犬は、事件の約2年前も小型犬を噛み殺していた

控訴審でAさんは、飼っていた大型犬が逃げ出して人を攻撃するという危険性を事前に認識していたとはいえないのだから、罪を軽くするべきだと主張します。しかし裁判所は、犬が、事件の約2年前にも逃げ出し、近所の小型犬を噛んで死なせてしまっていた事実を指摘。また、Aさんが、5年近くにわたり、同じ犬種の犬を何頭も飼育してきたこともあわせて、Aさんは充分に愛犬の攻撃性を認識していたと判断しました。

犬舎の金網自体も、もともと固定が甘く、Aさんが自ら補修工事をしていたものの、事件を起こした犬が逃げ出した部分だけ補修が施されていませんでした。裁判所は、このことと鍵の閉め忘れを考慮し、第一審の判決どおりAさんに重大な過失があったと結論づけました。

判決は……重過失傷害罪が成り立つとされた

イラスト/別府麻衣
イラスト/別府麻衣
判決では、犬の危険性を知りつつ、施錠や金網の修理を怠った罪は重いと、第一審の判決どおり、重過失傷害罪が成り立つとされました。

この裁判のように、愛犬が人を噛んでしまったとき、問われるのは飼い主さんの責任です。ふだんから噛みグセ直しにはしっかり取り組み、外飼いの人は、つないでいる鎖やひも、犬舎のフェンスなどはこまめに補修をしましょう。また、室内飼いの人も、散歩中はリードを短めに持ち、愛犬から目を離さないように気を配りましょう。

参考/『いぬのきもち』2016年7月号「ホントにあった犬の事件簿」
イラスト/別府麻衣
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