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【ホントにあった犬の事件簿⑤】リハビリ中の飼い主さんが散歩中に転倒し再びケガ!気になる判決は?

ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!

この連載では、過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。

今回ご紹介するのは、大阪地方裁判所で平成21年9月8日に判決が出た事例です。

※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。

お話してくれたのは……渋谷 寛先生

弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。

事故のケガでリハビリ中の飼い主さんが、散歩中に転倒!

リハビリを兼ねた愛犬の散歩で、さらに大ケガを負ってしまった

イラスト/別府麻衣
イラスト/別府麻衣
Aさんが愛犬に引っ張られて転倒した事故からさかのぼること約3カ月。マンションの駐車場の入り口で、Bさんの車に右足をひかれたAさんは、右ひざ挫傷(ざしょう)、右足の打撲や骨折といったケガを負い、約半年間もの通院を余儀なくされました。担当医から犬の散歩を許可され積極的に歩くよう指示されていたAさんは、通院中のある日、リハビリを兼ねて愛犬と散歩に出かけます。ところが愛犬はまだ子犬で好奇心旺盛だったためか、急にリードを引っ張って走り出してしまいました。Aさんは愛犬に引っ張られて転倒し、左大腿骨骨折という、手術や入院が必要なほどの大ケガを負ってしまったのです。Aさんは、この転倒事故による大ケガはそもそもBさんが起こした事故に原因があるとして裁判を起こしました。

転倒事故でのケガはAさんにも原因があると判断

裁判の結果、Aさんの主張が認められ、転倒によるケガはBさんが起こした事故によるケガに原因があると判断されました。しかしAさんは事故当時76才で、もともと骨粗しょう症を患っていました。Bさんは、Aさんが転倒したのは骨粗しょう症で骨が折れやすかったことが原因で、事故によるケガは関係ないと裁判で主張。審議の結果、Aさんの骨粗しょう症もケガの原因のひとつとされ、裁判所は5割減額した損害賠償約463万円の支払いをBさんに命じました。

判決は……事故の加害者に損害賠償約463万円の支払いが命じられた

イラスト/別府麻衣
イラスト/別府麻衣
判決では、交通事故で負ったケガによって足の踏ん張りがきかず転倒したと認められ、損害賠償約463万円の支払いが事故の加害者に命じられました。

今回の裁判では、Aさんが愛犬を制御できなかったことの責任はとくに問われませんでしたが、愛犬が散歩中に引っ張ってしまったことも原因のひとつという見方もできます。飼い主さんが高齢で踏ん張りがききづらい場合や、力が強い大型犬などの場合も注意が必要です。愛犬が飼い主さんを見上げながら、飼い主さんの足元について歩けるようしつけ、危険を予防しましょう。

参考/『いぬのきもち』2016年10月号「ホントにあった犬の事件簿」
イラスト/別府麻衣
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