冬は暑い季節よりも、愛犬が水を飲む量が減ってしまいがちに。飲水量の減少は、体に不調をきたすこともあります。そこで今回は、愛犬の飲水量が減りがちになってしまう理由と、対策について獣医師の野矢雅彦先生に聞きました。
飲水量が減ることで起こる不調と理由
水を飲む量が減ると、深刻な病気になることもあります。まずは、飲水量が減る原因と、なりやすい病気について説明します。
冬に飲水量が減る理由について
冬は暖かい時季より活動量が減るため、犬が体温調節のために水を欲さなくなることが考えられます。
たとえば、外の寒さから散歩の回数が減ったり、散歩時間が短くなったりすることも原因の一つに。
また、部屋の中の暖かい場所から動かなくなったり、さらに室内での遊びも減ったりすると運動量が落ち、その結果、水を飲むきっかけが少なくなり、飲水量が減る原因となることがあります。
飲水量が減ると起こりやすい病気
まず注意したいのは、尿石症や細菌性膀胱炎。オシッコの回数や量が減るために、結晶や細菌が膀胱内にとどまりやすくなってしまうために起こります。
また、歯周病にも注意が必要です。水を飲むことは、口内の汚れや細菌を流し清潔に保つためにも重要ですが、飲水量が減ることで、そうした汚れや細菌が口の中にとどまりやすくなってしまいます。その結果、歯周病リスクが高まることも。
フードにひと手間かけて水分補給
ではここで、冬でも飲水量を減らさないための工夫をご紹介します。
ドライフードをウェットフードに置き換える
1日数回に分けて与えているドライフードの1回分を、水分含有量の多いウェットフードに置き換えてみるのもいいでしょう。ただし、噛む回数が減少することもあるので、歯垢がたまらないように歯磨きなどのケアも忘れないようにしてくださいね。
ドライフードをふやかす
普段食べているドライフードに水やぬるま湯を加えて、ふやかす方法もあります。少量から少しずつ水分量を増やしていきましょう。
水に愛犬好みのニオイや味をつけてみる
犬用ミルクや肉のゆで汁など、愛犬が好む味を少量加えてみてください。ただし、味をつけた水を与える場合には、カロリーに気をつけましょう。また、水が傷みやすくなるのでまめに取り替えることが必要です。
水のみ容器や置き場所にも注意!
給水器をボウルにする
犬の体の構造上、顔を上げて水を飲まなければならないボトルタイプだと、あまり飲まない犬もいます。さらに、出てくる水の量も少なめです。
犬にとっても飲みやすいボウルタイプにすることで、飲水量を増やせる可能性があります。
ボウルの高さを変えてみる
シニア犬や関節痛のある犬にとっては、低い位置にボウルがあると、頭を下げて飲む行為が痛みを伴いつらい場合があります。関節に負担をかけないよう、台の上にボウルを置き、頭を下げなくても水が飲める環境を作りましょう。
室内の水飲み場を増やす
無意識に飲水量が増えるように、室内の水飲み場を増やしてみましょう。水を取り替えるタイミングをそれぞれずらすことで、常に新鮮な水がある状況にするのも効果的です。味を変えた水を置いてみるのもいいかもしれません。
愛犬にはいつまでも元気でいてほしいもの。日々、水を与える中で「なんだか水の減りが少ないな」と感じることがあったら、ぜひ上記のアイデアを試してみてくださいね!
監修/ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生
参考/「いぬのきもち」2020年1月号『冬も上手に水分補給しよう!水を飲む量が減ると起こる不調・病気』
文/みづかめ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。