愛犬とのお別れについてはあまり考えたくない、と思う方も多いかもしれません。ですが、愛犬とのお別れについて、さまざまな向き合い方を知っていることで、つらい気持ちが少しだけ軽くなることもあります。今回は、僧侶でペットカウンセラーでもある横田晴正さんに、自身の経験から得た「ペットロスとの向き合い方」についてお話をお伺いしました。
悲しみを素直に感じて泣くことの大切さを知った幼少期
幼いころから生き物が大好きで、ペットの猫や鳥、昆虫、家にいついた猫などたくさんの生き物に囲まれていた横田さん。猫が車にひかれて亡くなったり、鳥が病気で亡くなったりすると、成仏させてあげたくて自宅の庭に埋葬していたそう。
「猫や鳥が死んだくらいで泣くなと両親に言われていた私は、悲しくて泣きたいのを必死に我慢していました。そんな私に祖父が『そんなに悲しいっていいことだね』と言ってくれ、素直に泣いたら少し苦しかった気持ちが癒えました」
涙を流すことは心を浄化させる。だから我慢しないで
横田さんはペットロスの相談も受けていますが、愛犬が亡くなって悲しくても、素直に泣けずに、悲しみを押し殺してしまう人は意外に多いと言います。
まわりを気にして涙するのを我慢したり、泣いてばかりいては愛犬が成仏しないなどと言われ、我慢させられたりするのです。
「そういう方には、素直に泣いていいのですよと語りかけ、気持ちに寄り添います。涙は心を浄化して、気持ちを一歩前進させてくれますよ」
後悔しないよう、愛犬に毎日気持ちを伝えている
これまでペットロスの相談を受けた経験から、「愛犬と旅行をしたいと思っていたのに行かなかった」など、「愛犬とやろうと思っていたことをしなかった」という後悔をもつ人のほうが、ペットロスの悲しみが長く続く傾向があるようだと横田さんは言います。
後悔にはつらく苦しい気持ちを伴うため、回復に時間がかかるのです。
「後悔しないようにと言えば、私は3頭の愛犬に毎日 『ありがとう』 『大好きだよ』と伝えています。今日会えても、明日会えるかはわかりません。だから、愛犬との別れがいつきても後悔しないように、感謝と愛情を伝えるようにしています」
横田晴正さん/ペット霊園ソウルメイト長福寺(曹洞宗)の住職。日本ペットカウンセラー協会認定カウンセラー。動物たちにお経をあげてあげたくて、広告代理店を辞めて出家。ペットの葬儀やペットロスの相談も行う。著書に『ありがとう。また逢えるよね。ペットロス心の相談室』(双葉社)などがある
参考/いぬのきもち2021年2月号「ペットロスのときの心の整え方 「その日」と向き合うために」(監修:ペット霊園ソウルメイト長福寺住職 横田晴正さん ほか)
撮影/殿村忠博
文/melanie