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犬の口角が上がるとき【穴澤賢の犬のはなし】

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先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

この前の連休、私は山に避難していた。正確には暑さから避難していたのは大吉と福助で、私はずっと草刈りやテラスにオイルステインを塗ったり、汗だくで作業していたが。とはいえ、標高1500メートルにある山の家は朝夕20℃前後で寒いくらい、日中も30℃くらいなので、腰越(神奈川県鎌倉市)に比べたらずっと涼しい。

山の家に遊びに来たモグちゃん

そんな中、以前『要求を知らない犬』で紹介したことのある平田家とモグちゃんが遊びに来た。約束通り、山の家の合鍵を渡していつでも使っていい状態だが、今回リノベーションしてスイッチの場所など色々変わったからそれらの説明がてら声をかけたのだ。

久々に会ったモグちゃん(元保護犬)は、以前に比べたら表情が豊かになっていたが、まだ警戒心はあるらしく、しかも部屋の雰囲気がずいぶん変わったからどこか落ち着かないようだった。まぁ、そりゃそうか。

しかし、一晩寝たら表情がぱっと明るくなっていた。山の家のことを思い出したのか、都心の暑さと比べたら驚くほど涼しいし、大好きな平田夫妻はずっとそばにいるし、うれしくて仕方ないのだろう。朝4時半には起きていたらしい。

笑顔に見えるモグちゃん

ちなみにこれは暑くてハァハァいっているわけではなく、口角があがって口が開いているのだ。うれしいのかどうか本当のところは犬に聞いてみないと分からないが、少なくとも嬉しくてリラックスしていることは間違いない。君もそういう顔をするようになったか。

横では朝から「やんのかお前!」と騒がしいやつらがいるが、モグちゃんも楽しそうにドッグランを走り回っていた(ひとりで)。大福との仲は悪くないが、ほどよい距離を保ちつつ、お互いにあまり干渉しない関係だった。

近年の夏の暑さは、犬にはきっと地獄なんだろう。人間でもしんどいのに彼らは毛皮を着て裸足なんだから。わが家も6月頃からクーラーはフル稼働だが、やっぱり山の涼しさのほうが心地いいらしい。

遊び疲れてうとうとするモグちゃんだったが、それを眺める平田夫妻もにこにこしていた。まだどこか気を使っているようだったが、もっとわがままに自由にやっていいんだよと思った。

どこかの誰かさんみたいに。彼らはちょっと自由気まますぎるけど。

またおいで、モグちゃん。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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