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愛犬との信頼関係は1日にしてならず|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.94
今回は、信頼関係に関するお話。愛犬と飼い主さんは、言ってみれば最初は他人同士の関係。信頼関係をイチから築く作業が必要になります。迎え入れてから、どうやって信頼関係を築けばいいか、西川先生がユニークなたとえで解説します(編集部)。
信頼関係そのものは目に見えるものではありませんが、信頼関係ができているかいないかは、ひとつひとつの具体的な事象にフォーカスすると、それが見えてきます。
例えば、犬がくわえているものを取ろうとしたときに、素直に飼い主の手に渡すか、取られまいと抵抗するか。
例えば、オイデと呼んだときに、飼い主のそばまでしっかり来るか、来ても離れたところで止まるか。
いずれも、前者は信頼関係ができている姿、後者はできていない姿となります。
ひとつひとつの事象にフォーカスすると、それが見えてくるということは、ひとつひとつの事象に対する関係の積み重ねが、信頼関係を作り上げているということにもなります。
積み重ね。
積み重ねには時間がかかる。
すなわち信頼関係の構築には、それなりの時間を要するということなのです。
信頼関係は1日にしてならず
片想いをしたとします。
相手は自分のことをなんとも思っていません。
好きになった方は相手に対して一方的に信頼を置くかもしれませんが、なんとも思っていない相手の方はそうはいきません。ひとかけらの信頼すらそこには存在しないかも、です。
この想いを実らせるためにはどうするか。まずはさまざまな手段を通して、相手からの信頼を少しでも得ようとすることでしょう。
プレゼントをあげ、食事を共にし、荷物を持ってあげ、困ったことには力になり、嫌がることはせず……。
友達同士の信頼関係も、上司と部下の信頼関係も、関係によって必要な事象は異なりますが、さまざまな事象の積み重ねにより時間をかけて作られていく。そういうものです。
犬との信頼関係の構築、その積み重ねに必要な事象
親子のようなモノといえども、相手がこちらを好きかどうかの同意も得ずに一方的に連れて来た、そうした子どもたちとの間に信頼関係を作り上げていくことになるわけです。
まず欠かせないのは、食べ物を分け与えてくれる存在、楽しい存在、やさしい(心安らぐ)存在、と相手に伝えることです。
この3つはお父さんお母さんのことが大好きと口にする子どもに、その好きな理由を尋ねたときの答えのトップ3とも重なります。
ではその3つを伝えるにはどうすればいいのか。
世の中には、飼い主が運んできた食事を食べ始めると、守りに入る(飼い主が近づくとうなる、噛みつく、などの行為を示す)犬がいます。
1日数回食器で食事を与えていれば、信頼関係が構築できるわけではないということがわかります。
フードは、手から直接あげることです。
楽しい存在と伝えるためには、犬が喜ぶ遊びを上手にできるようになることです。
やさしい(心安らぐ)存在と伝えるには、叱ることを排除することとスキンシップが上手にできる、その術(気持ちのいい、リラックスのできる触り方)を身につけることです。
社会化と好ましい行動を教えることも重要
犬は家の中にいても来訪者を目にしたり、外の音を耳にしたりします。
散歩にも、お出かけ・旅行にも行くわけです。
であれば、どんな状況でも飼い主といれば怖いことは起きない、どうすればいいかわからない状況にも陥ることとがない。これらを伝えることも重要です。
社会化と好ましい行動をたくさん教えることです。
様々な状況に慣らす、さまざまな状況においてこういうときにはこうすれば飼い主は、ほめてくれる。そうしたことをしっかり教えることです。
すなわち、家庭犬に必要なしつけのトレーニング行うということなのです。
信頼関係はひとつひとつの事象の積み重ね、すなわちしつけのトレーニングの日々の積み重ね、によって構築されていくのです。
ローマは1日にしてならずではありませんが、信頼関係は1日にしてならず。まさに、そういうことなのです。
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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