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「介護をつらい思い出にしてほしくない」 今までになかった老犬ホーム設立を目指して

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愛犬と飼い主さんが最後までともに暮らせるよう、シニア犬介護のサポートを行う「オレンジライフ湘南」の取り組みについて紹介します。

1回目の記事|「愛犬と飼い主さんが最後まで幸せに暮らすため」のお手伝いをする老犬ホーム

左は介護チーフスタッフ、堀内章さん。獣医師と犬の健康状態についての打ち合わせ
左は介護チーフスタッフ、堀内章さん。獣医師と犬の健康状態についての打ち合わせ

愛犬の介護経験者の声を集めることからスタート

まず堀内理恵さん(老犬ホーム オレンジライフ湘南 代表)は、国内外の伴侶動物の加齢医学に関する専門書や論文を取り寄せて勉強し、また実際に愛犬の介護をしている飼い主さんの声を数多く集めたそうです。

「SNS上にシニア犬の飼い主さんが集うグループがあって、そこで飼い主さんが実際にどんな工夫をして愛犬の介護をしているのか勉強することができました。やはり現場の声こそがいちばん参考になるんですね」
 
ホームを開業するにあたっては、堀内さんの家族も全面協力することに。堀内さんの実弟で大の動物好きな章さんは、前職を辞めて老犬介護士の資格を取り、チーフスタッフとしてホームを取り仕切ることになりました。そして、堀内さんが重視したのは、ホームに預けた愛犬に飼い主さんが頻繁に会いに来られるよう、都心から近く、駅からも近い立地でした。
 

獣医師、野々垣友香子先生による診療は毎週金曜の午前中に行われ、飼い主さんに細かく報告されます
獣医師、野々垣友香子先生による診療は毎週金曜の午前中に行われ、飼い主さんに細かく報告されます

こうして、2015年にホームはスタートし、現在は常に20頭前後のシニア犬のお世話をす
る忙しいホームとなりました。
「ホームにいらっしゃる飼い主さんはどの方も愛犬への愛情が大変強く、一生懸命に介護をやりすぎてしまうことから、ご自身が体調を崩してしまったり、精神的に疲れてしまったりするんですね。そんな飼い主さんには、まず1週間程度のお預かりプランを利用してもらい、心身ともに少しリセットしてもらうんです。そして、スタッフが在宅介護の負担を軽減させる方法をアドバイスしたり、必要に応じて犬の介護グッズのレンタルもしています」

オレンジライフで過ごすシニア犬たちの一日

ホームのテラスには、足に負担のかからないウッドチップを敷きつめたスペースがあり、散歩が難しい犬はここで四本足で立つ練習や、歩行の練習をします
ホームのテラスには、足に負担のかからないウッドチップを敷きつめたスペースがあり、散歩が難しい犬はここで四本足で立つ練習や、歩行の練習をします

取材当日は、20頭の犬たちがホームで過ごしていました。寝たきりの犬、元気に歩き回れる犬、みんなが同じ部屋で自由に過ごしています。
ホームで、毎週金曜日に診療を行っている獣医師の野々垣友香子先生によると、
「こうして、ほかの犬同士を常に交流させるようにすると、お互いにいい刺激になり、認知症の予防にもなるんです。認知症の犬は昼夜逆転してしまうケースが多いのですが、犬同士で遊ぶことがよい運動になり、夜にもちゃんと寝られるようにもなるんです」とのこと。

野々垣先生の診療を受けたあと、犬たちはシニア犬介護の専門知識をもつ3名のスタッフにより、丁寧なケアを受けます。
 
ゴハンの時間、散歩の時間、排泄の時間などはタイムスケジュールで決められ、スタッフはそれぞれの犬の状態に合わせたお世話を行っています。

車いすで散歩を楽しむ矢真斗くん(柴・14才)。後ろ足が麻痺していても元気にリハビリ
車いすで散歩を楽しむ矢真斗くん(柴・14才)。後ろ足が麻痺していても元気にリハビリ

散歩の時間には、歩ける犬も、歩けない犬も必ず外の空気に触れさせるようにするそう。
「寝たきりの犬でも、車いすを使って四本足で立つ姿勢を取らせるだけで、かなりの運動になるんです。また床ずれや誤嚥を防ぐ効果も」と堀内さん。
 
どの犬たちもスタッフの呼びかけにうれしそうに反応して、生き生きとした表情をしているのも印象的でした。
「飼い主さんから寄せられる相談でもっとも多いのが、認知症になった犬が昼夜逆転して夜通し吠えてしまうこと、また、ずっと回り続けてしまう旋回行動によるケガなどです。
そこで、飼い主さんには、愛犬がまだ元気なうちから当ホームの利用をおすすめしているんです。『足がちょっと弱くなってきたな』『呼びかけに対する反応が少し鈍くなってきたかな』という段階で来ていただければ、症状の悪化を軽減させることができるし、また犬をホームに慣れさせていくこともできるんですね。
私は、犬の飼い主の皆さんに、愛犬の介護でつらく大変な思いをしてそのコと過ごしたたくさんの幸せな日々まで否定してほしくないんです。そのためにも今後もサポートを続けていければと思っています」
と堀内さんは語ってくれました。

ゴハンの時間。柴のラッキーくん(17才)は、ふやかしたフードを自分で上手に食べます
ゴハンの時間。柴のラッキーくん(17才)は、ふやかしたフードを自分で上手に食べます

次回は、オレンジライフを利用したことで救われた飼い主さんたちの声をご紹介します。

※各情報は2021年10月7日現在の情報です。

出典/「いぬのきもち」2021年12月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/尾﨑たまき
取材・文/袴 もな

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