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初対面の犬に試してほしい、人→犬に伝わるしぐさ|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.132
前回のコラムで、初対面の犬にやってはいけないしぐさをお話しました。今回は逆で、初対面の犬や、緊張している犬、ストレスを感じている犬を落ち着かせるために、ぜひ試してほしいしぐさを、西川先生が解説します(編集部)。
相手を落ち着かせる、自らを落ち着かせる、そうした意味をもつカーミングシグナル。
カーミングシグナルのなかには、我々が犬に見せることができ、犬に伝わるものもある(犬のストレスを軽減できる)。その話を持ち越すと約束したのが、前回の話の締めでした。
視線を外す、ブルブルと体を振る。前回紹介したしぐさ以外にも、犬のボディランゲージ、カーミングシグナルには、たくさんあります。
いくつか紹介すると、目を細める、まばたきをする、顔を背ける、背中を向ける、排泄行為、鼻をなめる、止まる(動かない)、あくびをする、弧を描いて近づく、ゆっくり動く、プレイバウ、スワル、フセル、地面の匂いを嗅ぐ、体をかく、体をブルブルっと振る……などなどです。
我々が見せることができ、犬のストレスを軽減できるしぐさ
これらのしぐさは、我々が見せることができ、犬に伝わることがある。
例えば、初対面の犬とお近づきになろうとするとき。
正体せずに、相手を見ないで、ゆっくりと弧を描いて近づいて、犬が匂いを嗅げる位置で止まって、座る。
カーミングシグナルを出しながら相手に近づくようにする、ということです。
ちなみに、逆のしぐさはすべて相手にストレスをかける、あるいはときとして相手を威嚇する行為ともなりますので、結果犬に嫌われることとなります(場合によっては噛まれることも。Vol.115参照。
逆のしぐさが威嚇を意味することがあるのは、人間同士でも同じ。
あなたが男性なら、今夜あたり繁華街に出向き知らない相手に対して、目を見開き、視線をロックし、まばたきせず、真正面からズカズカと近づいてみてください。
何が起きるかは想像がつくはずです。
ファーストコンタクト以外でも利用できる
たとえば、散歩の途中で止まってしまった犬。
止まる(動かない)、はカーミングシグナルです。
何かしらのストレスを感じているということです。
多くの飼い主は、犬と向き合って犬を見て「オイデ」と声をかけリードを引っぱって動かそうとしますが、しかしそれではますます動きません。
なぜなら、リードで引っ張られる、飼い主に見つめられる(にらまれる)など、犬を来させようとする行為がすべて、犬にストレスを与えてしまっているからです。オイデと強く言うのももちろんストレスを増大させている。
では、どうすればいいか。
犬に背を向け、しゃがんで、リードをたるませることです。
リードをたるませストレスを軽減し、加えてカーミングシグナルを人間側が犬に発することで、犬のストレスをさらに軽減する。
試してみればわかりますが、犬はあっさりと動いたりするものです。
地面の匂いを嗅ぐ代わりに
地面をいじるしぐさなども効果があったりします。
え? 地面をいじるしぐさがカーミングシグナルになるの?
これがなるのです。
地面をいじるしぐさは、犬が地面の匂いを嗅ぐしぐさに似ているからではないかと推測されます。
警戒して私に近づかない犬に対して、しゃがんで背中を向け、地面をいじるしぐさを見せると、犬は私の後ろに回り込んで私の匂いを嗅ぎに来たりもします。
さて、なかには見せようにも見せられない、見せようと思えば見せられるけど……というしぐさもあります。
そうしたしぐさは果たして犬に伝わるのか。
例えば排泄行為。コレ、見せられません。
外でやったら、犯罪ですから。よって確認不可能。
鼻をなめる、コレは私、物理的にできません。もし、自分の鼻をなめることができるのなら、確認してみたいところなのですけどね。
鼻に舌が届くどなたか、コレ確認くれませんかね?
西川文二氏 プロフィール
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