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獣医師監修|犬の下痢の原因 家で様子を見る際の注意点と病院へ行く目安

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犬のウンチは健康のバロメーターともいわれ、下痢をしているときは不調が隠れているおそれがあります。今回は、犬の下痢の症状や原因、お家で様子を見ながら行う対処法や、病院に連れていくべき危険度の高い下痢についてもご紹介します。

この記事の監修

健康的な便と下痢の症状、大きな違いは?

たれ耳犬
getty

健康的な便の特徴

犬の健康的な便は、茶~こげ茶色の親指大くらいの便の塊がいくつかまとまっていて、長い塊状になった形状でつやがあり、人が手で掴めるくらいの程よい固さをしています。小型犬~中型犬では、ペットシーツにほとんど付かない程度の湿り気で、大型犬ではそれよりはやや水分が多めの傾向があります。

下痢のときの便の状態は?

下痢とは便の中の水分が何らかの原因によって増え、柔らかくなった状態です。便の中の水分が増える要因としては、腸そのものの機能の不調や感染などに伴って、便の水分や電解質の吸収不良が起こったり、また腸内へ水分や電解質の分泌が起こったりすることで生じます。犬が下痢になるときは、小腸や大腸に不調が起こっている場合が多いものの、膵炎など腸以外の臓器疾患や、必ずしも下痢の症状が出るわけではありませんが、内分泌疾患などの場合もあります。特に小腸や大腸、膵臓の不調の際などには、それぞれに特徴のある下痢便を排出する場合がありますが、このような便の特徴が、診断や治療の方向を決める際の助けになることもあるため、便の状態を確認することはとても大切です。日頃から便の形、色などをチェックしておきましょう。

便の形に注意

下痢のときの便の状態は、どの程度形が残っているかによって大きく3つに分けられます。
◆軟便:形はあって掴めるが、いつもより水分が多く柔らかい便
◆泥状便:形はなく泥のような状態の便
◆水様便:ほぼ水のような状態の便

軟便が1回だけ出てその後はいつもの便に戻る、などの一時的な症状の場合は大きな問題がないことが多いですが、良くなったり、軟便が出たりと繰り返し症状が続く場合は、獣医師に相談してください。

便の色をチェック

下痢は通常の便の色(こげ茶色~黄土色)以外の色をしている場合もあります。
◆白色便:グレーや白っぽい薄い色をした便
◆タール便:黒いドロドロとした便(血便)
◆赤い便:便に赤い血液が混じっている便(血便)
◆粘血便:便にゼリー状の粘液や血液が混じる便(血便)

上記のような色の下痢が出ている場合は、大きな病気が関係しているなど、特に危険度が高い下痢のおそれがあります。早急に動物病院で検査を受けるようにしてください。

小腸性下痢と大腸性下痢の違いは?

チワワ
getty

小腸に問題がある場合に出ることがある小腸性下痢は、“1回の便の量は多くなるものの、回数はいつもとあまり変わらない”“しぶり(便意を感じて排便姿勢はとるものの、便がなかなか出ない症状)はあまり見られない”などの症状であることが多く、形は軟便から水様便までさまざま。長引くと体重減少などが見られます。
一方、大腸に問題がある場合に出ることがある大腸性下痢なら、“1回の便の量は普段と同じか少なめになり、回数が増える”“しぶりの症状が起こりやすい”のが特徴です。また、便の形は軟便で粘液が混ざることも多いようです。

以下の記事にそれぞれの特徴をまとめた表を掲載しているので、参考にしてみてください。

犬が下痢をしてしまう原因って?

ウンチスタイル
getty

具体的に、犬の大腸や小腸の機能に悪影響をもたらす原因とは何なのでしょうか。食事や環境、外部要因などさまざまな事柄を視野に入れる必要があります。

原因1. ドッグフードや食べ物による影響

ドッグフードを切り替えたタイミングで、便の状態に変化が見られることがあります。また、食物アレルギーが関係して下痢になるケースも。ほかにも、人の食べ物をあげたり、ドッグフードやおやつを与えすぎたりするなど、いつもと違う食環境も下痢につながります。

原因2. 環境の変化などによるストレス

季節の変わり目や引っ越し、ペットホテルに預けられるなど、普段と生活環境が変わると緊張やストレスを感じ、腸の機能が低下して下痢をすることがあります。環境の変化のみならず、犬は何かしらのストレスを感じると、嘔吐や下痢などの消化器症状が見られる場合もあるので、注意してください。

原因3. 寄生虫やウイルスなどによる感染症

子犬によく見られるのが、寄生虫が原因の下痢です。子犬だけではなく高齢犬など、免疫力が低下している犬がかかると、重症化してしまうこともあるので注意が必要です。

また、犬パルボウイルスやコロナウイルスなど、ウイルス感染が原因で下痢を起こすことも。ほかにも、大腸菌やサルモネラ菌といった細菌性の下痢もあります。

原因4. 内臓疾患

内臓に何らかの疾患を抱えていると、下痢の症状が見られることがあります。下痢を起こすことがある病気としては、急性の腸炎や炎症性腸疾患(IBD)などの慢性消化器疾患、消化管腫瘍など腸そのものの疾患のほか、膵外分泌不全や膵炎のような、腸以外の内臓の疾患なども挙げられます。

生まれつき下痢になりやすい犬もいる?

生まれつき消化管機能が弱いと、下痢になりやすくなる傾向があります。また、アトピー性皮膚炎などアレルギー体質の犬は腸内環境が乱れやすいため、少しの体調の変化や、ドッグフードの原料などの影響を受けて、下痢をしやすくなる場合もあるようです。

下痢の原因については以下の記事でも解説しています。

自宅で様子見しても平気?お家で見守る症状の目安

あごのせ犬
getty

自宅で様子を見る場合も、後々病院へかかる際に備えて具体的な症状の把握が必要です。飼い主さんの観察が重要な手がかりになりますので、元気や食欲はあるか、いつから・どのくらいの頻度で下痢をしているのか、下痢の形状や色などをチェックし、振り返ることができるように記録しておきましょう。

こんな症状の場合は、まずは自宅で様子見を

・下痢の回数が1回だけで、その後症状が続かない
・元気がある/食欲が変わらない
・嘔吐や腹痛など、その他の症状が見られない

上記に当てはまる場合、一過性の下痢の可能性も考えられるので、下痢症状のぶり返しやその他の症状が出ないかを確認しながら、次の便が排泄されるまで自宅で経過を見ることも可能です。次の便の様子が悪くなく、その他の心配な症状も見られないようであれば、その後2~3日くらいの間は食生活やストレスに気をつけながら、引き続きお家で様子を見てみてもよいでしょう。ただし、元気や食欲があっても、次にした便もやはり下痢や軟便だったりなど、不安定な便の症状が続く場合は、早めに動物病院で診てもらってください。

自宅で様子見をする場合、食事はどうしたらいい?

床に伏せて食事を待つ犬
Eva Blanco/gettyimages

愛犬に元気や食欲があり、ご自宅で様子見をする場合、ふやかしたフードなどをいつもより少なめに、様子を見ながら与えるようにしてください。水は自由に飲めるようにしましょう。食欲があるからとゴハンをあげすぎると、かえってお腹に負担がかかり、回復が遅れてしまうことがあるので注意が必要です。食が進まないようなら無理には食べさせず、早めの受診を考えましょう。なお、3ヶ月齢未満の幼い子犬の場合は、食餌の調節によってさらに体調不良を招くことがあるので、家での対応の前にまずは速やかに受診をしましょう。

絶食ってさせていいの?

下痢のときは、半日ほど絶食させて、お腹を休ませてみるのも有効な手段です。しかし、ゴハンを抜くと胃液を吐き戻してしまう犬もいるので、その場合はゴハンをごく少量のみ与え、その後負担のない範囲でお腹を休ませる時間を取るようにしてください。長期の絶食は犬にとって悪影響を及ぼしてしまうため、絶食しても調子が戻らないようなら、獣医師に相談したほうがよいでしょう。

下痢のとき、人の薬はあげていいの?

人用の医薬品を愛犬に与えるという飼い主さんもいると聞きますが、使用してよいかどうかは自己判断せずに担当獣医師に判断をしてもらいましょう。また、動物用であっても下痢止めを飼い主さんの判断で使うのは控えましょう。下痢は原因によって、下痢止めを使ったほうがよい場合とそうではない場合があります。こちらも、必ず獣医師の判断に従うようにしてください。

下痢にはヨーグルトを与えるといいってホント?

ヨーグルトには整腸作用があり、犬の腸内細菌にも効果が期待できるものですが、あくまでも健康な状態の際に与えて、お腹の環境を整うよう促す補助的なものです。そのため、実際に下痢をしている際には、与えるのは控えましょう。なお、健康な状態の際に与える場合は、乳製品のアレルギーなどがない犬なら、5kgくらいの犬で、プレーンヨーグルトを小さじ1~2杯程度までが、一日に与える際の目安です。ただし、初めて与える際には量はごく少量からにとどめ、愛犬の様子を見ながら徐々に増やして与えるようにしてください。

こんな症状があれば病院を受診しましょう

ダックスフンド
getty

・便の色がいつもと極端に違う(白っぽい、赤い、黒いなど)
・下痢便に、粘膜や粘液状の分泌物などが混じる
・下痢便で、血液が混じる
・泥状と水様が混ざるような下痢便が見られる
・元気がない/食欲が低下している
・嘔吐や腹痛、震えなどその他の症状が見られる
・子犬・シニア犬である
・下痢が短時間に何度も繰り返し出る
・元気や食欲がある成犬で、下痢の症状が丸2日以上続く

上記に1つでも当てはまる場合は、より早期に治療が必要な疾患の可能性がありますので、できるだけ早く動物病院を受診したほうがよいでしょう。元気がなくぐったりしているなど、その他の強い症状も見られるときは、夜間でも救急にかかったほうが安心です。また、生後3ヶ月以下の子犬やシニア犬の場合は、たとえ元気があっても状態が急変しやすいので注意しましょう。

動物病院での治療法は?

動物病院での下痢の治療は、原因によって異なります。たとえば、寄生虫が原因で下痢をしている場合は、駆虫薬などで治療するのが一般的ですし、食物アレルギーが原因の場合は、低アレルゲンの療法食を処方されることもあるでしょう。また、腫瘍などが原因なら、手術が必要となるケースも考えられます。腸ではない場所に根本的な原因がある場合は、腸の治療と併用して、原因に対する治療を行います。
そしてこのような下痢の原因そのものに対する治療とあわせて、下痢の症状を緩和する目的で、腸の動きや腸内環境を整える目的での投薬や、また、下痢に伴う脱水があればそれを補うなどの対症療法(症状そのものに対する治療)を併用し、下痢の症状の辛さを緩和しながら回復を促すのが一般的です。

病院へ行った後の注意点

動物病院を受診し、自宅に帰ってからの飼い主さんの対応も重要です。薬が処方されたときは獣医師の指示どおり与え、回復したからといって飼い主さんの判断で薬を中断することはやめてください。また、ストレスが原因の可能性がある場合は、何が愛犬のストレスになっているのか生活を振り返り、生活環境を見直すことも大切です。

愛犬が元気でも下痢が長引く場合は動物病院へ

獣医師に抱っこされるボストン・テリア
Wojciech Kozielczyk/gettyimages

犬はウイルスや病気、ストレスなどのさまざまな要因によって腸内環境に異常をきたし、下痢になることがわかっています。下痢を引き起こす感染症のなかには、定期的なワクチンの接種によって予防できるものもあります。また、消化管内への寄生虫感染については、フィラリア予防の際に、フィラリア予防薬とお腹の寄生虫の駆虫薬とが含まれている合剤の製品を選ぶことで、定期的な駆虫も可能です。毎年の健康診断は、下痢を症状とする病気だけでなく、さまざまな不調の早期発見にもつながるので、積極的に受けさせるようにしましょう。

ほかにも、乳酸菌サプリメントなどを取り入れて、愛犬の腸内環境を整える習慣をつけるのも、下痢予防につながるかもしれません。愛犬が下痢をすると心配になりますが、症状をしっかり観察し、落ち着いて対処することが大切です。また、少しでも不安が残る場合は、かかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。

以下の記事では、ここではご紹介しきれなかったワクチンについて、さらにストレス性の下痢についても解説していますので、参考にしてみてくださいね。

参考/「いぬのきもち」2017年6月号『危険な固さ・色がわかる2大スケールつき 愛犬のウンチで健康チェック!』
   「いぬのきもち」2016年11月号『食べ物の通り道をたどれば、内臓の病気がよくわかる 犬のウンチ・オシッコができるまで』
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
文/いちのへ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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