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【獣医師監修】愛犬の下痢や嘔吐 同時に起こったら場合は?それぞれの原因と対処
今回は、犬が下痢や嘔吐をしてしまうそれぞれの原因や、危険かどうかの判断方法、下痢と嘔吐を併発したときに考えられる病気と自宅での対処法、そして予防法についてお伝えいたします。重篤な病気のサインの場合もあるため、甘く見ずに対応しましょう。
芝崎 考次郎 先生
犬が下痢になる原因
下痢になる原因
前者は、フードを変えたことや量の与えすぎ、人の食べ物などの犬の体に適さないものを与えてしまったことによる消化不良、季節の変わり目や外出などの環境変化からくるストレスによる腸の機能低下などが原因です。
食餌や環境に配慮したり、症状に応じた治療を行ったりすることで、比較的速やかに回復する傾向にあります。なお、生まれつき環境変化などのストレスに弱い子もいるので、愛犬に合わせた飼い主さんの対応が求められます。
後者のケースは、感染症や内臓疾患などが原因となり、通常、病院での診断および治療が必要になります。なお、犬パルボウイルス、コロナウイルスといった特定のウイルスによる感染症はワクチンで防げますが、その他の感染症については、それぞれ症状などに応じた対応が必要です。寄生虫は駆除薬の投与が必要になる場合もあります。また、内臓疾患の中でもすい炎や炎症性腸疾患(IBD)といった重度の内臓疾患が下痢の原因になることもあります。
ウンチから判断しよう
ですが、「もともと健康な成犬で、たまたま今は下痢をしたけどその他は変わりなく元気に見える」そんな状況だと、その下痢に対してどのように対応をしようか困ってしまうこともあるでしょう。そのような時には、ウンチの状態から下痢の重症度を判断し、どのように対応するのかをある程度判断することも可能です。
●便の形はあるものの、いつもよりも水分の量が多い軟便の場合
●更に水分量が多く、水のように緩い下痢便の場合
●下痢便にゼリーのような粘液状のものが混じっている
対応は、下痢便後の状況によって判断をします。自宅で経過を見る際に、この粘液状のものがでる症状が続かないか、注意して確認をしましょう。もしも症状が続く際には、腸の病気の可能性が疑われるため、犬に元気があっても受診をするほうが良いでしょう。
●下痢便の色がいつもと違う
ただし、いつもに比べて極端に薄い下痢便が大量に出る場合には、腸の病気による消化不良などの可能性もありますので、速やかに受診をするほうが良いでしょう。また、下痢便全体が黒く見える場合には、胃や小腸など、大腸よりも上にある消化管での出血の可能性があります。こちらも、速やかに受診をしましょう。
犬が嘔吐する原因と判断方法
嘔吐する原因
二つ目は注意が必要な「病気が要因」のケースです。すい炎や胃炎、胃捻転、肝疾患(肝炎、肝癌、肝不全)、腎疾患(腎不全)、腫瘍(がん)、ウイルス性疾患、細菌性疾患などの感染症、そして寄生虫が原因で吐いていることがあります。
見極め方としては、【一つ目:一時的な要因】が「未消化なものを吐いている」のに対して、【二つ目:病気が要因】は「消化物を吐いている」という点で異なります。なお、「神経症状」で嘔吐(吐気)を生じることもあります。
危険かどうかの判断方法
その一方で、吐いた後に元気や食欲が低下する、嘔吐を繰り返す、吐しゃ物に血が含まれている、水を飲んでも吐くなど、明らかに「異常」な様子が見られたら、病気の可能性があります。少しでも心配だと思ったら早めに動物病院を受診してください。可能なら、吐しゃ物も一緒に持っていけると診察がスムーズにいきます。ほかにも、高齢犬の嘔吐にも注意が必要です。
下痢と嘔吐が同時に起こっている?原因は?
胃腸炎やすい炎
パルボウイルス腸炎
大腸炎
自宅でできる対処法は?
下痢を様子見する場合
最近の研究では消化器症状が出た場合、長期の絶食は犬にとって悪影響を及ぼすことがわかっています。あまり長期の絶食は避けましょう。なお下痢は再発することもあるため、しばらくは様子見を続けましょう。
嘔吐を様子見する場合
ほかにもフードの粒の大きさが消化不良を起こしている可能性もあるので、もし自分で原因が分からない場合は獣医師に相談するのも良いでしょう。
下痢・嘔吐の予防法は?
そして感染症や病気が原因の下痢・嘔吐に対しては、定期的なワクチン摂取や予防薬の投与など、予防できる病気についてはきちんと予防に努めたり、病気の際の早期発見、早期治療につながるよう定期的な健診を受けたりするなど、日頃からアンテナを高く張っておくことが大切です。また、子犬の時には必ず1度は便検査を受けましょう。寄生虫が関連している可能性もあります。症状が出ていなくても感染しているケースもあるので、下痢してないから大丈夫とは言えません。
『いぬのきもち』16年11月「犬のウンチとオシッコができるまで」(監修:野矢 雅彦先生)
『いぬのきもち』WEB MAGAZINE「犬の下痢の症状と原因、対策について」「犬の嘔吐についてのまとめ~原因、症状、対処法、予防策」
監修/芝崎考次郎先生(相模大野プリモ動物病院副院長)
文/JANE
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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